Waveboxの使い方|Macでアカウントを分ける手順と有料の線
wavebox 使い方で検索してたどり着く人は、だいたい2種類に分かれる。1つは、タブが数十個になって仕事のGmailと個人のGmailを行き来している状態で、アプリ集約ブラウザという言葉を知って調べ始めた人。もう1つは、すでにMacで動かしていて、無料プランの上限か、導入時のアカウント登録か、年額の請求のどこかで手が止まっている人だ。どちらの場合も、知りたいことは同じところに行き着く。この道具が何をどう区切っていて、どこから有料になるのか、という点になる。この記事では、Macでの始め方から、Cookieの入れ物という中心の仕組み、無料でできる範囲、そしてつまずきやすい場所までを順に整理する。
Waveboxが何をする道具なのか
WaveboxはChromiumをもとにしたブラウザで、ページではなくアプリを中心に組み替えた作りになっている。Gmail、Slack、Notion、AsanaといったURLを持つサービスが、タブの列ではなく左側のリストの項目になる。対応OSはmacOS、Windows、Linuxの3つで、アプリのまとまりごとにCookieの入れ物を分けるため、同じサービスの複数アカウントをログインしたまま並べておける。
土台がChromiumなので、Chromeで慣れている部分はそのまま残る。Chromeの拡張機能が入り、開発者ツールも同じものが使え、ページの描画も他のサイトが想定しているとおりに動く。変わるのはページの外側だ。常に出ている左のレール、アプリのまとまり、通知の集約先、そして「同じアプリを1日中開きっぱなしにする」前提で作られた設定群になる。
見た目の話に見えるが、この種類の道具をタブ拡張と分けているのはCookieの入れ物だけだ。他の機能は並べ方の工夫であり、仕事のGmailと個人のGmailが互いを知らないまま同時に生きていられる理由は、この1点にある。使い方を覚えるときも、ここを先に理解しておくと設定の意味が分かりやすい。
Macでの始め方と、アカウント登録の扱い
Waveboxは導入時に提供元のアカウントを作る形になっている。インストール後のセットアップでメールアドレスの入力を求められ、そのアカウントが有料プランの設定同期にも使われる。ダウンロードして開いた瞬間から使い始める形ではないため、社内の端末に入れる場合は、この登録が許容されるかを先に確認しておきたい。
ここで分けて考えたい問いが2つある。1つ目は「始めるのにアカウントが要るか」、2つ目は「作った設定がどこに置かれるか」だ。Waveboxは前者が必要、後者は有料プラン以上で提供元のクラウドという答えになる。同じ分野の他の製品は答えが違い、アカウントが不要なもの、利用者自身のiCloudやGoogle ドライブに置くもの、Ferdiumのようにオープンソースで自前のサーバーや手動のバックアップに逃がせるものがある。
どれが正しいという話ではない。困るのは、この違いを使い始めて3か月後に知ることだ。設定を作り込んでからでは、移し替える手間が判断を縛る。始め方の手順としては、インストールより前にこの2つの問いに答えを出しておくのが早い。
グループとCookieの入れ物という考え方
Waveboxの使い方でいちばん効くのは、アプリのまとまり(グループ)をどう切るかになる。1つのグループは1つのCookieの入れ物を共有する。つまり、同じグループに入れたアプリはログイン状態を共有し、別のグループに入れたアプリは互いのログインを知らない。
この仕組み自体は、Chromeのプロファイルと同じ考え方の延長にある。Google自身の説明も同じ立て付けになっている。
プロファイルを使用すると、Chrome 上の情報全体(ブックマーク、履歴、パスワードなど)を、プロファイルごとに分離できます。 出典: support.google.com
ここから、グループの切り方の答えが出る。サービスの種類でまとめるのではなく、文脈でまとめるのが正しい。仕事のGmailと個人のGmailを同じグループに入れると、せっかくの分離が効かなくなる。仕事のGmail・仕事のSlack・仕事のNotionを1つのグループにまとめると、実際の作業時間の区切りと一致し、グループを切り替えるだけで文脈ごと切り替わる。
順序としては、アプリから決めずにアカウントから決めるとよい。1日のあいだログインしたままにしておく必要がある識別子を全部書き出す。仕事のGmail、個人のGmail、取引先のGoogle Workspace、メールアドレスの違う2つのSlack。この一覧が本当の要件であり、無料プランで足りるかどうかもこの時点で判断できる。
無料プランの範囲と、有料の価格
無料でどこまで使えるかは、評価がそこで終わることが多い行なので、はっきり書いておきたい。各社が自社サイトで公表している内容にもとづく2026年8月時点の情報として、Waveboxの無料プランは2スペース・各スペース2アプリ・拡張機能1つ・ダッシュボード1つとなっている。有料は年99ドルで、月あたりに直すと8.33ドルほど。チーム向けは1ユーザーあたり月12.50ドルの表示になっている。
合計4アプリという枠は、実際に使うと小さい。よくある構成はメール1つ、チャット1つ、ドキュメント1つ、進行管理1つで、これだけで無料枠がちょうど埋まる。そして検索のきっかけになった「2つ目のGmail」を入れる余地が残らない。3つのGmailを同時に開きたい人は、初日から有料プランを見ることになる。
これは欠点というより設計の線引きで、入れる前に知っておけばよい種類の話だ。比べるべきは同じ製品の無料と有料ではなく、年99ドルという金額でここが手に入るものと、同じ金額で他の製品が出すものになる。手元のアプリとアカウントの一覧を紙に書いてから比べると、判断が早い。
使い方でつまずきやすい3か所
しばらく使った人が挙げる引っかかりは、おおむね次の3つに集まる。
- 複数のOSを前提にした作り。macOS、Windows、Linuxに同じ土台で提供されているため、自宅がMacで職場がWindowsという人には利点になり、Macだけで完結する人には使われない部分になる。ウィンドウまわりの作法もmacOS固有のものに寄せきらない形になりやすい
- アプリの見た目を変える手段。自分のCSSやJavaScriptを差し込む設定は自社サイトに記載がなく、代わりに独自の拡張機能を作るためのWavebox Flowが公開されている。作り込みたい人には強い道具だが、「あるアプリの目障りなサイドバーを消したい」だけの用途には遠回りになる
- ターミナルの扱い。ブラウザ内蔵のターミナルについては自社サイトに記載がない。大半の人には関係のない話だが、開いているサービスに対してコマンドを打つ働き方をしている人にとっては、9つのWebアプリをまとめても10個目の窓が残ることを意味する
3つ目は使い方の工夫では埋まらない性質のものなので、該当するかどうかを先に見ておきたい。
通知とリンクの行き先は、最初の週に決めておく
窓をまとめる設定が済んだあと、使い続けられるかどうかを分けるのは通知とリンクの2点になる。どちらも後から直せるが、放っておくと元のタブ運用に戻る原因になりやすい。
通知は、集約先が1か所になるかどうかと、時間帯の指定ができるかどうかを見る。Waveboxにはフォーカス用の仕組みがあり、集中したい時間の鳴り方を抑える形で使える。macOSの集中モードでも近いことはできるが、あちらはアプリ単位で効くため、9つのサービスを1つのアプリの中で動かしていると、まとめて静かにするか、まとめて鳴らすかの二択になりやすい。サービスごとの緊急度は普段からほぼ固定なので、うるさい順に並べて、鳴らすものを3つまでに絞る作業を最初の週にやっておきたい。
リンクの行き先はもっと地味だが、効き方は大きい。ブラウザの外から届いたリンク、たとえばチャットで共有されたドキュメントのURLは、どのログイン状態で開かれるかが決まっていないと権限エラーになる。これが何度か続くと、URLを正しい窓に貼り直す手癖が戻ってきて、まとめた意味が薄れる。リンクをそれを持っているアプリとアカウントに振り分ける動きがあるかどうかは、無料の試用期間のうちに意識して試しておく価値がある。
他の製品と条件を並べて見る
同じ分野の製品を、判断が変わる行だけで並べると次のようになる。各社が自社サイトで公表している内容にもとづく2026年8月時点の情報で、料金や条件は変わるため契約前に各社の表示を確認したい。
| 製品 | 対応OS | 開始にアカウント登録 | 無料の範囲 | 有料 | 設定の同期先 |
|---|---|---|---|---|---|
| Wavebox | macOS / Windows / Linux | 必要(導入時に作成) | 2スペース・各2アプリ・拡張1つ | 年99ドル | 提供元のクラウド(有料以上) |
| Shift | macOS / Windows | 購入時のみ | 5スペース・各10アプリ | 月19.99ドル / 年199.99ドル | 提供元のクラウド |
| Rambox | macOS / Windows / Linux | 必要 | アプリ数無制限、ワークスペースなし | 月7ドル / 年70ドル | 提供元のクラウド |
| Ferdium | macOS / Windows / Linux / FreeBSD | 不要 | 制限なし(Apache-2.0) | なし | 自前のサーバーまたは手動バックアップ |
この表で二度見しておきたいのがSidekickの不在だ。同じ分野で名前の挙がっていたSidekickはPerplexityに買収されて終了しており、サイトはCometへ転送される状態になっている。検索結果には推奨する記事がまだ残っているため、候補を絞る段階で「いまも新規登録を受け付けているか」を確認する手順を入れておきたい。料金の比較より先に確認すべき行になる。
内部リンクから読み取れる、選び分けの分岐点
この分野の資料を横に置いて読むと、判断が集まる場所は3か所しかない。
1か所目は分離の仕組みそのものだ。アプリごとに独立したワークスペースという考え方と、それによって同じサービスの複数アカウントが同時に生きたままになる理由は、ワークスペースのページに整理されている。グループの切り方で迷ったときに戻る場所になる。
2か所目は条件の並びだ。対応OS、開始時のアカウント登録、無料の範囲、同期先といった行を1製品ずつ並べたものがWaveboxとの比較にあり、この記事の表より細かい粒度で確認できる。製品を1つに絞って眺めたほうが、どの行が自分に効くのかは見えやすい。
3か所目は、上で触れたターミナルの話にあたる。ブラウザの中で本物のシェルを開く設計がどういうものかはターミナルのページに説明があり、Webアプリとコマンドを行き来する働き方をしている人にとっては、ここが有無を分ける行になる。該当しない人はこの行を無視してよい。
最後に、無料の範囲がどこで切れているかを候補ごとに確認する。料金のように無料と有料の線を明示しているページを開き、最初に書き出したアカウントの一覧と照らし合わせる。候補3つでも15分ほどで終わり、入れて試して消してを繰り返すより早く答えが出る。
よくある質問
WaveboxはMacで無料のまま使えますか?
2026年8月時点で公表されている無料プランは、2スペース・各2アプリ・拡張機能1つ・ダッシュボード1つとなっている。合計4アプリなので、メール・チャット・ドキュメント・進行管理を入れると埋まる。2つ目のGmailを足したい時点で有料プランの検討に入ることになる。
導入にアカウント登録は必要ですか?
必要になる。インストール後のセットアップでメールアドレスの入力を求められ、そのアカウントが有料プランの設定同期にも使われる。同じ分野にはアカウント不要で始められる製品もあるため、会社の端末に入れる場合は登録の可否を先に確認しておきたい。
同じサービスの複数アカウントを同時に開けますか?
開ける。アプリのまとまりごとにCookieの入れ物が分かれる仕組みなので、シークレットウィンドウやプロファイルの切り替えなしで複数アカウントを保てる。制限になるのは仕組みではなく無料プランの枠で、2スペース各2アプリは2つ目3つ目のアカウントを足すとすぐに埋まる。
乗り換えるとき、作った設定はどうなりますか?
設定の置き場所によって変わる。Waveboxは有料プランで提供元のクラウドに同期する形になっているため、手元に独立した控えは残らない。利用者自身のクラウドストレージに置く製品や、ローカルのバックアップを取れる製品なら、提供元の状況に関わらず控えが残る。乗り換える前に同期先の行を確認しておきたい。