仕事用と私用のブラウザを分ける手順|先に決める3つのこと

仕事用と私用のブラウザを分ける作業でつまずく原因の多くは、設定の知識ではなく順番にあります。先に決めておくべきことを決めないまま設定画面を開くと、プロファイルが増えすぎたり、どちらで開けばいいか分からない画面が残ったりして、数日で元の使い方に戻ります。ここでは、手を動かす前に決める3つのことと、そのあとに踏む5つの手順を順番に並べます。

手を動かす前に決める3つのこと

設定は後から変えられますが、決めごとを変えると作り直しになります。ここに30分かけると、あとの作業が短くなります。

分ける単位を、サービスではなく人格で決める

よくある失敗が、サービスごとに分けようとすることです。メールは分けたい、チャットも分けたい、ドキュメントも、と数えていくと、境界の数が増えて管理できなくなります。

決めるのは「自分がいくつの顔を持っているか」です。会社員として働きながら個人で受注もしている人なら、会社の顔と個人事業の顔と私生活の顔で3つです。複数の取引先に常駐している人なら、取引先の数だけ顔があります。この数が、そのまま必要な保存領域の数になります。サービスの数は関係ありません。1つの顔の中に、メールもチャットもドキュメントも全部入ります。

どちらを既定にするかを決める

既定のブラウザは端末に1つしか指定できません。メールソフトやカレンダー、他のアプリから踏んだリンクは、どちら側のものであってもその1つで開きます。ここを決めずに分け始めると、リンクを踏むたびに「開き直す」動作が挟まり、その手間が積もって運用が崩れます。

判断の基準は、外部アプリからリンクを踏む回数が多いのはどちらか、です。仕事のメールから資料のリンクを何度も踏むなら、既定は仕事側にします。私用側は、その窓に直接ブックマークを置いて入る形にします。

切り替えの引き金を1つ決める

切り替えが習慣になるかどうかは、引き金が1つに決まっているかで決まります。時間で切り替えるのか、場所で切り替えるのか、道具で切り替えるのか。時間なら「18時以降は私用側」、場所なら「机では仕事側、ソファでは私用側」、道具なら「この窓を開いたら仕事側」です。

引き金が複数あると、そのつど判断が発生します。判断が発生すると、面倒なほうが使われなくなります。

手順1: 保存領域を、決めた数だけ作る

ここで初めて設定画面を開きます。Chrome ならプロファイルの追加、Safari ならプロファイルの作成、Firefox ならコンテナの追加です。作る数は、先に決めた顔の数と同じにします。予備として余分に作らないほうがうまくいきます。使われない保存領域は、切り替えの一覧を長くするだけです。

作った直後にやることが1つあります。それぞれの保存領域で、その顔に属するアカウントだけにログインすることです。仕事側に私用のアカウントを1つでも足すと、境界はその時点で意味を失います。パスワード管理の道具を使っている場合は、どの保存領域にどの保管庫を紐づけるかも、ここで決めておきます。

今使っているブラウザの中身をどちらに残すかも、この時点で決めます。長く使ってきた環境には、履歴もブックマークも拡張機能も溜まっています。これを新しく作った側に移そうとすると、移行作業そのものが重くなって途中で止まります。今の環境はそのまま片方の顔に割り当て、もう一方を空の状態から作るほうが、着手までが速くなります。空のほうに入れるのは、その顔で毎日使うものだけです。足りないと感じたときに足す形にすると、使っていないものが持ち込まれません。

手順2: 目で見て分かる印を付ける

保存領域を分けただけでは、画面上の窓は同じ見た目のままです。Chrome のプロファイルにはテーマカラーとアイコンを設定できます。装飾ではなく、文字を読まずに判別するための印として使います。

印は、窓の中ではなく端に付いているものを選びます。窓の中身は開いているページによって変わりますが、端の色は変わりません。視界の隅で色が見えれば、今どちら側にいるかを確認する動作そのものが要らなくなります。

Webアプリをそれぞれ独立したアプリとして切り出す方法もあります。Dock に別々のアイコンが並び、アプリの切り替え一覧にも別々に出てくるので、ブラウザの中からタブを探す動作がなくなります。できることのページでは、Webアプリを1つの窓にまとめながら個別に呼び出す作りが説明されています。

手順3: 置き場所を固定する

印を付けたら、次は窓の住所を決めます。macOS には操作スペースという仕組みがあり、Mission Control で追加のデスクトップを作れます。

Macのデスクトップが開いたアプリウインドウでいっぱいになってきたら、Mission Control を使って操作スペースと呼ばれている追加のデスクトップを作成してウインドウを整理できます。ある操作スペース内で作業しているときは、その操作スペース内のウインドウのみが表示されます。 出典: support.apple.com

操作スペースは最大16個まで作れますが、仕事と私用を分けるだけなら2つで足ります。作りすぎると、左右のスワイプで目的の画面にたどり着くまでの回数が増えます。

置き場所を固定するには、Dock のアイコンを Control キーを押しながらクリックし、「オプション」から「割り当て先」を選びます。「このデスクトップ」を選べば、そのアプリは常にその操作スペースで開きます。「すべてのデスクトップ」を選ぶと、どの画面にいても表示されます。仕事側のブラウザは仕事の操作スペース、私用側は私用の操作スペースに割り当てます。

もう1つ、既定で有効になっている挙動を知っておくと迷いが減ります。アプリに切り替えたとき、そのアプリのウインドウが開いている操作スペースへ自動的に移動する設定が最初から入っています。左の画面で作業していたのに、切り替えた瞬間に右へ飛ばされるのはこの設定のためです。意図した挙動でなければ、システム設定の「デスクトップとDock」にある Mission Control の項目で切り替えられます。

操作スペースごとに壁紙を変えておくと、切り替わったことが一目で分かります。印を付ける作業と同じ考え方で、判別にかかる時間を削る目的です。

手順4: 入口を1つに絞る

ここまでで境界はできますが、入口が複数あると崩れます。仕事側に入る方法が、Dock のアイコンからと、検索からと、既に開いている窓からの3通りあると、そのつど違う場所に着地します。

入口は1つに決めます。Dock の決まった位置のアイコンか、キーボードの決まった操作か、どちらかです。決めたら、もう一方の入口は使わないようにします。よく使う窓を呼び出す操作を1つ覚えるだけで、探す動作はほぼ消えます。ターミナルのページで扱われているような、キーボードだけで目的の画面に入る作りは、この入口を1つにする考え方と同じ方向です。

手順5: 通知の線を引く

最後が通知です。境界をどれだけ丁寧に引いても、通知が両側から届いていれば、注意は切り替わり続けます。

macOS の集中モードは、どのアプリからの通知を通すかを指定でき、時間帯や場所で自動的に切り替えられます。仕事用の集中モードでは私用側のアプリの通知を止め、私用の集中モードでは仕事側を止めます。手順1で決めた切り替えの引き金が時間なら、その時間に集中モードが切り替わるように設定しておくと、切り替えを思い出す必要がなくなります。

通知を全部止める設定は、たいてい長続きしません。止めたことで見落としが起きると、不安になって解除するからです。通す通知を数個だけ決めて、それ以外を止めるほうが残ります。

手順の途中で引っかかりやすい場面

順番どおりに進めても、途中で手が止まる場所はだいたい決まっています。先に知っておくと、そこで作業が止まりません。

2段階認証のコードを出すアプリは、保存領域とは無関係に端末側に1つあります。分けたのはブラウザの中だけなので、コードを出す場所は共通のままです。仕事側と私用側で同じアプリを使うことになるため、項目名に顔の名前を入れておくと、どちらのコードか迷わなくなります。

カレンダーの招待は、届いたメールと開くブラウザがずれやすい場所です。私用のカレンダーに仕事の予定が入ると、その予定に紐づいた会議のリンクは私用側で開きます。予定を入れる先を顔ごとに固定しておくと、この行き違いが減ります。

ファイルの保存先も分かれません。ダウンロードしたファイルは、どの保存領域から落としても同じフォルダに入ります。仕事の資料と私用のファイルを同じ場所に置きたくない場合は、ブラウザごとにダウンロード先のフォルダを変える設定を入れます。ここは手順3の置き場所の話とは別で、ファイルシステム側の話です。

拡張機能は保存領域ごとに入れ直しになります。片方にだけ入れたいものがあるなら利点ですが、両方で使いたいものは二重に管理することになります。更新の通知も別々に来るため、入れる数が多いほど手間が増えます。分ける前に、本当に両方で要る拡張機能がいくつあるかを数えておくと、作業量の見積もりが立ちます。

1週間後に崩れる場所と、その直し方

分けた直後はうまくいくのに、1週間ほどで元に戻ることがあります。崩れ方には型があります。

  • 急いでいるときに、近いほうの窓で開いてしまう。原因は入口が2つ残っていることです。使っていないほうの入口を Dock から外します
  • リンクを踏むと毎回違う側で開く。既定のブラウザの設定が、決めたものと違っています。手順の前半で決めた側になっているか確認します
  • 通知が切り替わらない。集中モードが手動のままで、自動化されていません。時間か場所の条件を足します
  • 片方のログインが毎回切れる。保存領域にまたがるログインを扱う拡張機能が、片方にだけ入っていないか確認します
  • 分けた意味が感じられない。分けた顔の数が多すぎる可能性があります。使っていない保存領域を削ると、切り替えの一覧が短くなります

崩れたときに全部を作り直す必要はありません。崩れているのは、たいてい5つのうち1つです。

手順を短くしたい場合に見る選択肢

ここまでの手順は、標準機能だけで進められます。追加の費用はかかりません。一方で、保存領域の作成・印付け・置き場所の固定・入口の設定を、それぞれ別の設定画面で行う手間は残ります。分ける顔が2つなら30分ほどで終わりますが、5つも6つもある場合は、設定の数が増えて管理が重くなります。

複数のWebアプリを1つの窓にまとめて扱う道具は、この手間をまとめることを狙って作られています。ワークスペースのページで説明されている単位は、保存領域と窓の位置と呼び出し方を1つの設定として持つ考え方です。手順2から手順4までを個別にやる代わりに、単位を作った時点で決まります。

選ぶときに見る点は、扱える保存領域の数と、費用の形です。Sidekickとの比較Ramboxとの比較のページでは、同じ「まとめる」でも重心の違う作りが並べられています。費用については料金のページで確認できます。標準機能で分けてみて、手順4の入口の設定と手順5の通知の線引きが面倒だと感じた時点で検討するのが、順番としては無駄がありません。最初から道具を足すと、自分が本当に分けたかった単位が分からないまま設定することになります。

よくある質問

保存領域はいくつ作るのが適切ですか?

自分が持っている顔の数と同じにするのが目安です。会社の仕事と個人の受注と私生活なら3つ、取引先ごとに資格情報が分かれているならその数です。サービスの数で数えると増えすぎます。予備として余分に作ると、切り替えの一覧が長くなるだけで使われません。

分ける作業にはどのくらい時間がかかりますか?

標準機能だけで2つの顔を分ける場合、保存領域の作成から通知の設定までで30分ほどが目安です。時間がかかるのは設定そのものではなく、どのアカウントをどちらに置くかを決める部分です。先に紙で振り分けてから設定画面を開くと短くなります。

既定のブラウザは仕事用と私用のどちらにするべきですか?

外部のアプリからリンクを踏む回数が多いほうにします。仕事のメールやカレンダーから資料を開くことが多いなら仕事側です。既定は端末に1つしか指定できないため、もう一方はブックマークや決まった入口から直接入る形にすると、開き直す手間が減ります。

分けたあとに元の使い方に戻ってしまうのはなぜですか?

入口が複数残っていることが最も多い原因です。決めた入口以外からも入れる状態だと、急いでいるときに近いほうが使われます。使わない入口を Dock から外し、切り替えの引き金を時間か場所のどちらか1つに絞ると、判断が発生しなくなって習慣が残ります。

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