Slackのワークスペースを複数、常時開いておく方法と限界
slack ワークスペース 複数で検索する人の状況は、ほぼ2通りに分かれる。自社と客先の両方にSlackがあって行き来している人と、プロジェクトごとにワークスペースが増えてしまった人だ。どちらも困りごとは同じところに出る。いま開いていないほうで何が起きているのかが分からず、確かめるために切り替え、戻ってきたときには手が止まっている。
この記事では、Slackが公式に用意している複数ワークスペースの扱いがどこまでを引き受けるのか、それでも残る部分はどこなのかを、公開されている資料に沿って切り分ける。結論を先に置くと、Slackの中でできることは思ったより多い。詰まるのはSlackの外側にある。
Slackが公式に用意している複数ワークスペースの扱い
まず、追加の道具を入れずにできる範囲を正確に押さえる。ここを曖昧にしたまま代替手段を探すと、設定で済む話に余計なものを足すことになる。
アカウントの前提として、1つのワークスペースのメンバーであっても多数のワークスペースのメンバーであっても、同じメールアドレスですべてのアカウントにサインインできると案内されている。つまり、ワークスペースが増えたからといってアカウントを作り直す必要はない。
追加の手順は短い。サイドバーのワークスペースアイコンをクリックし、ワークスペースを追加するを選び、他のワークスペースにサインインするに進む。複数にサインインした後は、同じワークスペースアイコンから切り替えられる。
複数の Slack ワークスペースにサインインしている場合は、ワークスペース間を簡単に切り替えることができます。 出典: slack.com
見落とされがちなのが、ワークスペースの一覧をサイドバーに出したままにできる設定になる。ワークスペーススイッチャーのアイコンをクリックするか、MacならCommand + Shift + Sを押すと、サインインしているワークスペースが常に左端に並んだ状態になる。並び順はアイコンをドラッグして変えられる。切り替えの操作はこの状態でもクリック1回だが、未読の有無が視界に入り続けるため、確認のために切り替える回数そのものが減る。
なお、Enterpriseプランではサイドバーのすべてのワークスペースを選ぶと、会話がワークスペースごとにフィルタされる形も用意されている。プランによって見え方が変わる部分なので、手元の画面と案内が食い違うときは、まず自分のプランを確かめるとよい。
独立ウィンドウを開けば、常時見える範囲は広がる
切り替えずに見たい、という要望に対しては、Slackの側にも窓を増やす手段がある。しかもここは制限が緩い。
デスクトップアプリでは、任意のチャンネルやダイレクトメッセージを別のウィンドウで開ける。手順はホームでCommandを押しながらチャンネル名やDMの名前をクリックするだけになる。スレッドは3つのドットのアイコンから新しいウィンドウで開くを選ぶ。アクティビティと後でのタブ、canvasも同じように独立した窓にできる。
マルチタスクで一度に複数のチャンネルやダイレクトメッセージ(DM)についていく必要がある場合は、Slack デスクトップアプリで新規ウィンドウを開くことができます。ウィンドウの数に制限はありません。 出典: slack.com
ウィンドウの数に制限がないと明記されているのは、判断材料として大きい。客先のプロジェクトチャンネルと自社の報告チャンネルを左右に置いたまま1日を過ごす、という形が作れる。
ただし範囲には条件がある。この手順はデスクトップアプリで開く前提で案内されている。ブラウザのタブでSlackを使っている場合、同じ操作をそのまま当てはめられるとは限らない。窓を増やす方向で整理するなら、デスクトップアプリを入れるところが先になる。
切り替えの回数が増えても壊れない条件
ワークスペースが3つを超えたあたりから、運用の差がはっきり出てくる。壊れない人と壊れる人の違いは、だいたい次の3点に集約される。
1つ目は、未読を開かずに判別できているかどうか。ワークスペーススイッチャーを常時表示にしてあれば、どこに何が来ているかが視界の端に残る。ここが無い状態だと、確かめるためだけの切り替えが1日に何十回も発生する。
2つ目は、常時見る必要があるものと、後でまとめて見ればよいものを分けているかどうか。独立ウィンドウに出すべきなのは前者だけになる。すべてを窓にすると画面が埋まり、結局どれも見なくなる。窓の数に制限はないが、視界には限りがある。
3つ目は、ワークスペースの並び順が意味を持っているかどうか。ドラッグで並べ替えられる以上、順番は自分で決められる。左から利用頻度の順に並べておくと、位置で覚えられるようになり、名前を読んで探す動作が消える。
この3つが揃っていれば、ワークスペースが4つあっても回る。逆に、どれか1つでも欠けていると、数が増えた分だけ確認の往復が増えていく。
通知を絞ると、切り替えの回数そのものが減る
ワークスペースが増えたときに効く調整は、実は通知の側にある。見る対象を減らせば、確認のために開く回数が減るからだ。
設定の入口は共通になっている。サイドバーにある自分のプロフィール写真をクリックし、環境設定を選び、通知を開く。ここで扱えるものが3つある。
1つ目は通知スケジュールで、特定の曜日と時間帯にだけ通知を受け取る形にできる。設定した時間以外は通知が一時停止されるため、客先のワークスペースを業務時間だけ通す、といった分け方ができる。
2つ目はキーワード通知になる。参加しているチャンネルの中で、登録した単語やフレーズを誰かが使ったときに通知が届き、その語が黄色でハイライトされる。大文字と小文字は区別されないが、完全一致のときだけ発火する点と、スレッド内で送られたメッセージのキーワードでは発火しない点は、あらかじめ知っておくと期待がずれない。
3つ目はアクティビティに表示する内容の選択になる。DM、メンション、絵文字リアクション、スレッドへの返信は常に表示されるが、通知がすべての新しい投稿に設定されているチャンネルや、後でのアイテムの期限が来たときのリマインダーは、表示するかどうかを選べる。ワークスペースが増えるほど、この取捨選択の効き目は大きくなる。
客先のワークスペースが混ざると、サインインの条件が変わる
複数のワークスペースを常時開いておく運用で、意外に足を引っ張るのがサインインの条件の違いになる。
ワークスペースやオーガナイゼーションで2要素認証が必須になっている場合、サインインのたびに6桁の認証コードの入力が必要になると案内されている。シングルサインオンが必須に設定されている場合は、会社のSSOプロバイダを経由してサインインを完了する形になる。自社は簡単に入れるのに客先だけ手順が長い、という状態はここから生まれる。
サインインの手段そのものも複数ある。メールアドレスに届く確認コードで入る方法のほか、AppleまたはGoogleのアカウントで続行する方法が案内されている。複数のワークスペースのメンバーである場合は、開きたいワークスペースの横にある矢印のアイコンを選ぶ形になる。
運用として決めておきたいのは、条件の重いワークスペースほどデスクトップアプリに置いて、サインインした状態を保つことになる。切り替えが面倒だと感じている原因が、切り替えの操作そのものではなく、再サインインの手間に寄っていることは珍しくない。どちらが原因なのかを分けてから手を打つと、無駄な道具を増やさずに済む。
詰まりはSlackの中ではなく、Slackの外で起きる
ここまでの範囲は、Slackが自前で用意している。実際に机の上が散らかる原因は、その外側にあることが多い。
自社と客先の両方に関わっている状況では、二重になるのはSlackだけではない。メールも2つ、ストレージも2つ、案件管理も2つになる。Slackはアプリの中でワークスペースを並べてくれるが、Gmailの2つ目のアカウントは並べてくれない。結果として、Slackは整理されているのに、その周りのブラウザのタブが元のまま残る。
さらに厄介なのは、対策の形がサービスごとに違うことになる。Slackはアプリ内の切り替え、Gmailはアカウントの切り替えかブラウザのプロファイル、別のサービスはまた別の手順という具合に、覚えることが増えていく。サービスが増えるたびに、その数だけ手当てを足す構造になっている。
問題の立て方を変えると見通しがよくなる。解くべきなのは「Slackのワークスペースを複数どう扱うか」ではなく、「1台のMacで2つの所属をどう扱うか」になる。所属を単位にすれば、その中に入るサービスが何であっても扱いは同じになる。
単位をサービスから場所に変える
この発想で作られているのが、サービスごと、アカウントごとに独立した入れ物を持たせるタイプのブラウザになる。アプリごとに独立したワークスペースを持てば、2つのSlack、2つのGmail、2つのカレンダーを、サインアウトなしで同時に開いたままにできる。切り替えるのは場所のほうで、サービスを1つ増やしたときに増える作業は、場所の中に追加する1手だけになる。
この分け方の考え方はワークスペースのページにまとまっている。アプリ単位の窓の扱いや通知の見せ方についてはできることで確認でき、手元で使っているサービスが対象に入っているかどうかは使えるアプリで確かめられる。
同じ考え方の道具は複数あり、料金も無料で使える範囲も違う。比較の軸を作るには、順位付けされた一覧を読むより1対1で並べたほうが早く、Waveboxとの比較やShiftとの比較、Ferdiumとの比較のページが該当する。費用が判断に関わる場合は料金を先に見ておくと、機能の比較がぶれにくくなる。
決める順番
手段が複数あるときは、安いものから順に試すのが結局は早い。
最初にやることは、Slackの中で完結する調整になる。デスクトップアプリを使い、ワークスペーススイッチャーを常時表示にして、並び順を決める。常時見たいチャンネルを2つか3つだけ独立ウィンドウに出す。ここまでは費用がかからず、その日のうちに終わる。
それで足りない理由が「Slack以外も二重になっている」ことに寄っていたら、次の段に進む。ブラウザのプロファイルを分ける方法は無料で試せるが、同じアイコンの窓が並ぶこと、拡張機能と通知の設定が二重になることを受け入れる必要がある。
所属が2つあり、そのそれぞれに5つ前後のサービスがぶら下がっている状態なら、単位を場所に変える方法が現実的な選択肢になる。この段まで来ているかどうかは、Slackを開いた理由を思い出すと判別できる。新しいメッセージの中身を読むために開いたのか、何か来ていないかを確かめるために開いたのかで、必要な打ち手が変わる。後者が多いなら、足りないのは機能ではなく、開かずに分かる見せ方のほうになる。判断の目安として、1日のうちにワークスペースやアカウントを切り替えた回数を数えてみるとよい。10回を超えているなら、切り替えという操作そのものが仕事の一部になっている。その回数は減らせる種類の手間になる。
よくある質問
複数のワークスペースに入るには、ワークスペースごとにアカウントを作る必要がありますか?
必要ありません。1つのワークスペースのメンバーでも多数のワークスペースのメンバーでも、同じメールアドレスですべてのアカウントにサインインできると案内されています。追加するときは、サイドバーのワークスペースアイコンからワークスペースを追加するを選び、他のワークスペースにサインインするに進みます。
ワークスペースを常にサイドバーに表示しておくことはできますか?
できます。ワークスペーススイッチャーのアイコンをクリックするか、MacならCommand + Shift + Sを押すと、サインインしているワークスペースが一覧で並んだ状態になります。アイコンをドラッグすれば並び順も変えられるため、利用頻度の順に置いておくと探す動作が減ります。
複数のチャンネルを同時に見ておく方法はありますか?
デスクトップアプリで独立ウィンドウを使います。ホームでCommandを押しながらチャンネル名やDMの名前をクリックすると別ウィンドウで開き、スレッドやcanvasは3つのドットのアイコンから新しいウィンドウで開くを選びます。ウィンドウの数に制限はないと明記されていますが、画面の広さには限りがあるため、常時見る必要があるものだけに絞るのが現実的です。
Slackは整理できたのに、机の上が片付いた感じがしないのはなぜですか?
二重になっているのがSlackだけではないからです。自社と客先の両方に関わっていると、メールもストレージも案件管理も2つになり、それぞれ別の手順で切り替えることになります。Slackの中の整理はSlackにしか効かないため、サービス単位ではなく所属単位で場所を分ける方向に切り替えると、増えるサービスに対して同じ扱いで対応できるようになります。