仕事用と私用のブラウザを分ける代わりになるもの|手放してよい機能
仕事用と私用のブラウザを分ける daitai を探している人が本当に困っているのは、分け方そのものではありません。ブラウザを2本立てにすると、拡張機能もパスワードもブックマークも二重管理になり、どちらに何を入れたか分からなくなる。その負担を避けたいから、代わりの手を探しています。結論から言えば、分け方は5通りあり、それぞれ手放すものが違います。何を諦めるかを先に決めれば、選ぶ手は自動的に絞れます。
ブラウザを2本入れる方式が定番になった理由
Chromeを仕事用、Safariを私用というように、別のブラウザを割り当てる方式が広まったのは、設定が要らないからです。ログイン状態もCookieも履歴も、アプリが違えば自動的に分かれます。誰かに説明する必要もありません。
代償は3つあります。ひとつは、拡張機能を両方に入れ直すことになる点です。パスワード管理、広告の遮断、翻訳、スクリーンショット。日常的に使うものだけでも数が出ます。ふたつめは、リンクの行き先が固定されない点です。macOSの既定のブラウザは1つしか選べないため、メールやSlackから飛んだリンクは常に片方で開きます。仕事のリンクを私用側で開いてしまい、ログインし直すという事故はここから起きます。
3つめは、更新とメモリの二重負担です。常駐させるアプリが2本になれば、それぞれが裏で動き続けます。タブを合計で40枚も抱えている状態だと、この差は体感に出てきます。定番の方式ではありますが、無料で楽な代わりに毎日少しずつ払っている費用がある、という理解が出発点になります。
代わりになる分け方を5つ並べる
ブラウザを2本入れる以外に、実際に使われている分け方は次の5つです。
| 分け方 | 分かれるもの | 主に手放すもの |
|---|---|---|
| ブラウザを2本入れる | すべて | 拡張機能の一元管理、既定のブラウザの一本化 |
| 1つのブラウザでプロファイルを分ける | 履歴、Cookie、パスワード、設定 | 切り替えの手間の少なさ |
| Safariのプロファイル | 履歴、Cookie、サイトデータ、タブグループ、お気に入り | 古いmacOSでの利用 |
| Firefoxのコンテナ | Cookieとログイン状態 | 履歴やブックマークの分離 |
| macOSのユーザーアカウントを分ける | OSごと全部 | 同時に両方を見ること |
| Webアプリを窓ごとに分けるブラウザ | アプリ単位の在籍と通知 | 従来のタブ運用の習慣 |
Chromeのプロファイルは、ブックマーク、履歴、パスワード、設定が分かれます。Safariは、Safari 17から同じ考え方のプロファイルが入り、履歴、Cookie、サイトデータ、拡張機能、タブグループ、お気に入りが分かれます。Safari 17はmacOS Sonoma以降に含まれ、macOS VenturaとMontereyでも最新の更新を当てていれば使えます。
Firefoxのコンテナは、これらとは分け方が違います。同じウィンドウの中で、タブごとにログイン状態を分ける仕組みです。公式の配布ページには、コンテナごとにCookieが分かれることが明記されています。
Cookies downloaded by one Container are not available to other Containers. 出典: support.mozilla.org
同じサービスに2つのアカウントで同時にログインしたいだけなら、コンテナ方式は費用ゼロで済みます。ただし、履歴やブックマークは分かれないので、画面を他人に見せる場面があるなら別の手が要ります。
macOSのユーザーアカウントを分ける方式は、この一覧の中でいちばん分離が強い代わりに、いちばん行き来しづらい方式です。ログインパスワードを入れ直す必要があり、切り替えている間はもう片方の通知が届きません。逆に言えば、仕事の時間に私用の連絡を遮断したい人にとっては、これが最も確実な手になります。
一覧を見て分かるとおり、どの方式も「全部を分けて、全部を同時に見る」を同時には実現していません。分離を強くすれば行き来が重くなり、行き来を軽くすれば分離が緩くなります。この交換条件は道具を変えても消えないので、自分がどちらを重く見るかを先に決める必要があります。
手放してよい機能1: 端末をまたぐ同期
分けることをためらう理由の上位にあるのが、同期です。仕事用のブックマークをスマートフォンでも見たい、という前提があると、プロファイルもアカウントも分けにくくなります。
ここは疑ったほうがよい前提です。実際に外出先のスマートフォンから開くブックマークは、多くの人で数えるほどしかありません。全部を同期対象にしておくのは、使う数本のために全体を人質に取っているのと同じです。よく使う数本だけをスマートフォン側のホーム画面に置いてしまえば、同期そのものを手放しても困りません。
同期を切ると、副次的に得られるものもあります。私用のアカウントで検索した内容が仕事用の予測変換に出てこなくなり、画面共有のときに慌てなくなります。会社から貸与された端末を使っている場合は、そもそも同期が管理側で制限されていることもあるので、手放す前提で組んでおくほうが安全です。
全部を手放す必要もありません。同期の設定は項目ごとに選べるのが普通で、パスワードだけを同期して履歴とブックマークは同期しない、という組み方ができます。パスワード管理を専用のサービスに逃がしてしまえば、ブラウザ側の同期はすべて切っても実害がなくなります。こう組むと、ブラウザを分けるか分けないかという問題から、パスワードの置き場所という別の問題を切り離せます。分けにくさの正体が同期ではなくパスワードだった、というのはよくある話です。
手放してよい機能2: 拡張機能を全部そろえること
2本立てが面倒になる最大の原因は拡張機能です。ただし、両方に同じものをそろえる必要があるかというと、そうではありません。
仕事側で本当に必要なのは、パスワード管理と、業務で使うサービスの補助にあたるものです。私用側で必要なのは、広告の扱いと動画まわりくらいで、実際には重なりが少ない。両方に入れるのをやめて、片方にだけ入れると決めれば、二重管理という問題そのものが消えます。
Safariのプロファイルはこの点が分かりやすく、拡張機能はすべてのプロファイルで使える状態にありながら、オンとオフはプロファイルごとに管理されます。同じものを入れ直す作業が要らず、使う場所だけを選べる形です。分けたいのは拡張機能の本体ではなく、どこで動くかである、という整理がここで効いてきます。
手放してよい機能3: ブックマークの一元管理
ブックマークを1か所にまとめたいという要求も、実態を見ると弱いことが多い。毎日開くWebアプリはブックマークから開いているのではなく、常駐させた窓や固定したタブから開いているはずです。ブックマークが本当に必要なのは、たまに見る資料と、あとで読むページです。
そうであれば、仕事用と私用でブックマークが分かれても実害はほとんどありません。分けて困るのは「どちらに入れたか忘れる」場面ですが、これは検索で解決します。むしろ一元管理をやめたほうが、フォルダの階層が浅くなって探しやすくなります。
手放せないものが1つだけあるとすれば、業務で使う社内システムのURLです。これは仕事側に固定して、私用側には置かない。この一線だけ引いておけば、残りは分かれたままで運用できます。
移し替えの最初の1週間で起きること
分け方を変えた直後は、たいてい一度使いにくくなります。原因はほぼ決まっていて、3つに集約されます。
- リンクが想定と違う側で開く。メールやチャットから飛んだ先が私用側に出てしまい、ログイン画面に当たる
- 二要素認証をやり直すことになる。Cookieが分かれた時点で、どのサービスも初回は本人確認からになる
- 前の環境に残したものを探す時間が増える。履歴が分かれるので、先週見たページが出てこない
どれも一度きりで終わる作業ですが、同じ日にまとめて起きると「この方式は自分に合わない」と判断してしまいがちです。避け方は単純で、切り替えを一気にやらないことです。最初の日は毎日開く3本だけを新しい側へ移し、残りは従来の場所に置いたままにする。二要素認証も、その3本の分だけ済ませます。既定のブラウザの切り替えは最後に回します。ここを最初にやると、リンクの行き先が変わったせいの不便と、分け方そのものの不便が混ざって、原因の切り分けができなくなります。
1週間ほど並走させると、実際に毎日開いているものが何本なのかがはっきりします。その数が判断の材料になります。
分けても守られないものを知っておく
もうひとつ、代わりの手を選ぶ前に押さえておきたい点があります。プロファイルを分けることは、他人から中身を隠す仕組みではないということです。Chromeのヘルプには、端末を共有する相手についての注意が書かれています。
Only share your device with people you trust. If someone has your device, they can switch to any other Chrome profile on it. 出典: support.google.com
端末を手にした人は、別のプロファイルへ切り替えられます。つまりプロファイルは整理のための仕切りであって、鍵ではありません。家族と1台を共用している、退席時に画面を開けたままにする、といった状況で本当に分離が要るなら、macOSのユーザーアカウント自体を分ける方式が該当します。ログインパスワードが壁になるので、性質が変わります。
代わりに手放すのは、同時に両方を見ることです。ユーザーを切り替えている間、もう片方の通知は目に入りません。仕事中に私用の連絡を見ない、という運用を望んでいるならこれは利点ですが、副業や個人事業で両方を常に見たい人には向きません。
何を残したいかで、選ぶ手が決まる
ここまでの整理を裏返すと、選び方は単純になります。同時に両方を見たいなら、OSのユーザーを分ける方式は外れます。同じサービスに2つのアカウントで入りたいだけなら、コンテナかプロファイルで足ります。画面共有の事故を減らしたいなら、履歴とお気に入りまで分かれる方式を選びます。
もう1つの選択肢が、分ける単位をブラウザでもタブでもなく、アプリそのものに置く作りのブラウザです。アプリごとに独立したワークスペースを持たせる考え方で、仕事のチャットと私用のチャットが別の窓に居座り、通知の扱いも窓ごとに決まります。どの単位で何が分かれるのかという整理はワークスペースのページに、機能の全体像はできることにまとまっています。常駐させたいWebサービスが対象に入っているかは使えるアプリの一覧で確認できます。
費用の比較をするときは、月額だけを見ないほうがよい結果になります。無料の方式でも、拡張機能の入れ直しやログインのやり直しに毎日数分を使っているなら、そこが実質の費用です。他の道具と条件を並べた整理としては、同居できるアプリ数と月額の考え方が異なるWaveboxとの比較、無料で使える範囲の線引きが違うRamboxとの比較が参考になります。価格そのものは料金に、細かい条件はよくある質問にまとまっているので、手放してよいものを決めたうえで読むと、迷う時間が短くなります。
よくある質問
ブラウザを2本入れる方式は結局やめたほうがいいですか?
やめる必要はありません。設定が要らず、ログイン状態が確実に分かれるという利点は大きい方式です。負担になるのは拡張機能の二重管理と、既定のブラウザが1つしか選べないためにリンクの行き先が固定される点です。この2つが実際に困っていないなら、そのまま使い続けて問題ありません。
Safariのプロファイルはどのバージョンから使えますか?
Safari 17から使えます。Safari 17はmacOS Sonoma以降に含まれ、macOS VenturaとMontereyでも最新の更新を当てていれば利用できます。プロファイルごとに履歴、Cookie、サイトデータ、タブグループ、お気に入りが分かれ、拡張機能はすべてのプロファイルで使える状態のまま、オンとオフだけがプロファイルごとに管理されます。
Firefoxのコンテナとプロファイルは何が違いますか?
コンテナは同じウィンドウの中でタブごとにログイン状態を分ける仕組みで、コンテナ間でCookieが共有されません。履歴やブックマークは分かれないため、画面を他人に見せる場面がある人には不足します。逆に、同じサービスに2つのアカウントで同時にログインしたいだけなら、切り替えの手間が最も少ない方式です。
プロファイルを分ければ家族に中身を見られずに済みますか?
済みません。Chromeのヘルプには、端末を手にした人は別のプロファイルへ切り替えられると書かれています。プロファイルは整理のための仕切りであって、鍵ではありません。他人の目から本当に分離したい場合は、macOSのユーザーアカウント自体を分けて、ログインパスワードを壁にする方式を選んでください。