Arcブラウザの代替を選ぶ基準|窓の数で決める
Arcブラウザの代替として名前が挙がるのは、主にDia、Zen Browser、Vivaldi、Safariの4つです。Arcの見た目と操作をできるだけ残したいならDia、無料で縦型タブとワークスペースを使いたいならZen、日本語の画面と細かな設定が欲しいならVivaldi、追加のアプリを増やしたくないならSafariが当たります。GmailやSlackなど毎日のWebアプリを1つの窓で行き来するのが目的だった場合は、Webアプリをまとめるブラウザという別の種類の道具も候補に入ります。この記事では、各社の公式ページを2026年10月18日に確かめた内容をもとに、候補の違いと、1つに絞るための基準を示します。なお、このサイトはWebアプリをまとめるブラウザの開発元が運営しています。
乗り換えを急ぐかどうかは、Arcの今の掲示で決める
代替を選ぶ前に、乗り換え元の状態を公式の表示で確かめておきます。arc.netのトップページには、次の一文が掲げられています。
FYI: Arc receives Chromium updates only. For active security patches and enterprise-grade protection, download Dia instead.(Arcが受け取るのはChromiumの更新だけです。積極的なセキュリティ修正と企業向けの保護が必要な場合は、代わりにDiaをダウンロードしてください) 出典: arc.net
同じページでは、Mac版とWindows版のArcが今もダウンロードできます。つまり配布が終わったわけではなく、更新の範囲が土台のChromiumに限られた、という状態です。開発元のThe Browser Companyについては、Atlassianが2025年9月4日付けの公式ブログで買収の合意を発表しました。
個人のMacで趣味の閲覧に使う分には、すぐに困ることはありません。一方、顧客の管理画面や社内のシステムに入る端末では、ブラウザ独自の部分の修正が出ないことが問題になります。乗り換えを急ぐかどうかは、その端末で何にログインしているかで決めるのが現実的です。
主な候補を公式ページの内容で並べる
候補ごとの土台と費用を、公式ページに書かれている内容だけで並べると次のようになります。
| 候補 | 土台 | 費用 | Arcから見た特徴 |
|---|---|---|---|
| Dia | Chromium系 | ブラウザ機能は無料、AI機能は有料プラン | Arcと同じ開発元。プロファイル、タブグループ、画面分割 |
| Zen Browser | Firefox系 | 無料(オープンソース) | ワークスペース、コンパクトモード、画面分割 |
| Vivaldi | Chromium系 | 今回確かめたページには記載なし | ワークスペース、タブスタック、ウェブパネル |
| Safari | WebKit | macOSに標準搭載 | プロファイルで仕事と私用を分けられる |
Dia
Diaの料金ページでは、無料の「Better Browser」にプロファイルとタブグループ、画面分割、広告とトラッカーのブロック、端末間の同期が含まれています。AI機能は有料で、「Better Days」は月額100ドルです。中間の「Better Answers」は、料金表では月額10ドル、同じページの質問欄では月額20ドルと書かれており、申し込む前に画面で金額を確かめる必要があります。新規の利用者には14日間の試用があり、クレジットカードは要りません。公式サイトではmacOS版とWindows版が案内されています。
Arcからの移行記事では、次のように書かれています。
DiaはArcと同じThe Browser Companyが作ったブラウザ。Arcで好きだったものはそのままに、AIチャット機能まで加わって帰ってきた、という感じです。 出典: fuyuna.net
Zen Browser
Zen Browserの公式サイトは、ワークスペース、コンパクトモード、Glance、画面分割を主な機能として挙げています。開発の場であるGitHubのリポジトリでは、Firefoxを土台にしたブラウザと説明され、正式版は2026年10月18日時点でFirefox 158.0をもとに作られていると書かれています。ライセンスはMPL-2.0です。Firefox系なので、使う拡張機能はChromeのものではなくFirefoxのアドオンになります。
Vivaldi
Vivaldiのデスクトップ版のページは日本語で用意されており、タブタイリング(画面分割)、タブスタッキング(タブの2段まとめ)、ウェブパネル(サイドバーに任意のサイトを置く機能)、ワークスペースが紹介されています。Windows、macOS、Linuxで使えます。Chromium系のため、Chromeの拡張機能がそのまま使えます。機能が多い分、最初の設定に時間がかかる点は見込んでおきます。
Safari
Appleサポートの説明では、Safari 17以降でプロファイルを使えます。プロファイルごとに履歴、Cookie、Webサイトのデータ、機能拡張、タブグループ、お気に入りが分かれます。仕事と私用のアカウントを分けたいだけなら、新しいアプリを入れずに済みます。
端末をまたいで使うときの違い
Arcを複数のMacやスマートフォンと組み合わせて使っていた場合は、移行先がどの端末に対応しているかと、同期がどこまで無料で使えるかも比べておきます。公式ページで確かめられた範囲は次のとおりです。
- Dia。無料の「Better Browser」に端末間の同期が含まれています。公式サイトで案内されているのはmacOS版とWindows版です
- Zen Browser。ダウンロードのページでは、macOS、Windows、Linuxに対応すると書かれています
- Vivaldi。デスクトップ版はWindows、macOS、Linuxに対応し、公式サイトにはAndroid版とiOS版の案内もあります
- Safari。Appleサポートの説明には、プロファイルをデバイス間で同期する手順が載っています。iPhoneとMacを両方使うなら、追加のアプリなしで仕事用と私用の分け方をそろえられます
職場がWindows、自宅がMacという組み合わせなら、DiaかZenかVivaldiのどれかに絞られます。スマートフォンでも同じブラウザを使いたいならVivaldiかSafariです。端末の組み合わせで先に候補を減らしておくと、その後の試用が短く済みます。
「代替」で探しているものは4つに分かれる
候補選びが決まらない理由の多くは、Arcのどの部分を引き継ぎたいのかが決まっていないことにあります。掲示板や比較記事で挙がる要望は、次の4つに分かれます。
- スペース。仕事と私用でタブの束を分けて切り替えること
- 縦型のサイドバー。タブを画面の左に縦に並べること
- コマンドバー。キー1つでタブ、履歴、検索を呼び出すこと
- アカウントの分離。同じサービスに別のアカウントで同時に入ること
スペースと縦型のサイドバーが目的なら、ZenとVivaldiとDiaが正面から当たります。アカウントの分離が目的なら、DiaとSafariのプロファイルで足ります。ただし、プロファイルは窓ごとに分かれるので、同じGmailを2つのアカウントで並べて開くと、窓が2つになります。どれを失うと仕事が止まるのかを先に1つ選ぶと、見るべき列が決まります。
乗り換えの手間は、拡張機能とログインで決まる
候補が決まっても、移行でつまずくと元のブラウザに戻ってしまいます。時間を取られるのは主に次の4点です。
- 拡張機能。Chromium系のDiaとVivaldiならChromeの拡張機能がそのまま動きます。Firefox系のZenでは、同じ働きのアドオンを探し直す必要があります
- パスワード。ブラウザ内蔵の保管庫に置くのか、外部のパスワード管理アプリに寄せるのかを、移行の初日に決めます
- ログイン。二段階認証を使っているサービスは、すべて入り直しになります。認証アプリが手元にある日に移行します
- 残すサイト。古いブラウザを1つのサイトのためだけに残すと、セッションが2つのブラウザに分かれます。残してよいサイトは最初に書き出し、3件程度までに抑えます
移行は締め切りの直前を避け、操作の違いに慣れる余裕がある週に始めると、製品とは関係のない理由で戻ることを防げます。
窓の数で考えると、候補が1つに絞れる
最後の判断は、困っているのがタブの本数なのか、アカウントと通知の混ざり方なのかで分かれます。2つは症状が似ていて、原因が違います。
タブの本数が問題なら、縦型タブとワークスペースを持つZen、Vivaldi、Diaで解決します。一方、仕事用と私用のアカウントが同じ窓にあり、片方の通知で作業が途切れるなら、タブをどう並べ替えても残ります。この場合は、アプリごとに置き場所を固定する道具が合います。
このサイトを運営する開発元のアプリ集約ブラウザは、この後者の考え方で作られています。ワークスペースのページでは、アプリごとに独立したCookieの入れ物を持たせ、3つのGmailに同時にログインしたままにできる仕組みを説明しています。できることのページによれば、Arcを含む8つのブラウザからブックマークをフォルダ構成ごと取り込めて、取り込み元には何も書き込みません。メニューと設定は最初から日本語です。料金のページでは、無料のプランがワークスペース1つ・アプリ3つまで、Proが月額980円、年額8,800円、買い切り19,800円と案内されています。同じ種類の製品との違いはWaveboxとの比較や、提供を終えた製品から移る場合のSidekickとの比較で確かめられます。
判断に迷うなら、2週間、切り替えのたびに「タブを探していたのか、アカウントを切り替えていたのか」を数えてください。前者が多ければブラウザの乗り換えで足り、後者が多ければ置き場所を分ける道具が向いています。試すのは1つずつ、費用のかからないものから始めるのが確実です。
よくある質問
Arcはもう使えなくなるのですか?
2026年10月18日時点で、arc.netからMac版とWindows版をダウンロードできます。公式の掲示は、Arcが受け取る更新はChromiumのものだけという内容で、配布終了の告知ではありません。業務の端末で独自部分のセキュリティ修正が必要な場合は、乗り換えを検討する時期と考えられます。
費用をかけずに使えるArcの代替はどれですか?
Zen BrowserはFirefoxを土台にしたオープンソースのブラウザで無料です。Vivaldiは日本語の画面が用意されていますが、今回確かめた公式ページには費用の記載が見当たらなかったため、ダウンロードの画面で条件を確かめてください。Diaはブラウザ機能が無料で、AI機能だけが有料プランです。SafariはmacOSに最初から入っており、プロファイルで仕事と私用を分けられます。
Arcの拡張機能は代替のブラウザでも使えますか?
土台によって変わります。Chromium系のDiaとVivaldiでは、Chromeの拡張機能がそのまま使えます。Firefox系のZen Browserでは、Firefoxのアドオンから同じ働きのものを探す必要があります。仕事で外せない拡張機能を2つか3つ選び、先に動くかを確かめると確実です。
Diaの料金はいくらですか?
2026年10月18日時点の料金ページでは、ブラウザ機能の「Better Browser」が無料、AI機能の「Better Days」が月額100ドルです。「Better Answers」は料金表で月額10ドル、同じページの質問欄で月額20ドルと表記が分かれているため、申し込みの画面で金額を確かめてください。14日間の試用があり、カードは不要です。