Arcの使い方を覚え直す前に確かめたいこと
Arcブラウザの使い方は、5つの操作を覚えれば日常の作業がこなせます。コマンドバーを開くCommand-T、タブをピン留めするCommand-D、スペースを切り替えるControlと数字キー、画面を分割するCommand-Shift-Plus、そして放置したタブが自動で片付くアーカイブの仕組みです。この記事では、2026年10月18日時点でArcの公式ヘルプセンター(resources.arc.net)と開発元の告知を確認したうえで、それぞれの操作の手順と、使い方を覚える前に知っておきたいArcの現在の状態を説明します。
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使い方を覚える前に、いまのArcの状態を確かめる
Arcの使い方を調べる人の多くは、紹介記事を読んで興味を持った段階にいます。ただ、紹介記事の多くは2024年ごろに書かれたもので、その後Arcをめぐる状況は大きく変わりました。
開発元のThe Browser Companyは、2025年に利用者向けに公開した文書で、Chromiumの定期的な更新とセキュリティ上の脆弱性の修正は続けているものの、中核の製品体験を以前のように積極的に開発することはやめたと説明しています。
But it is true: we are not actively developing the core product experience like we used to. 出典: browsercompany.substack.com
Arcの公式サイトのダウンロードボタンの近くには、「Arcが受け取るのはChromiumの更新のみで、能動的なセキュリティ修正と企業向けの保護が必要ならDiaをダウンロードしてください」という趣旨の一文が掲載されています(arc.net)。Diaは、同じ開発元が新しく作ったブラウザです。さらに、Atlassianは2025年9月4日に、The Browser Companyを買収することで合意したと発表しています(Atlassianの発表)。
つまり、Arcは今もMac版とWindows版がダウンロードでき、Chromiumの更新も受けていますが、新しい機能が追加されていく前提で使う道具ではなくなっています。この前提を踏まえたうえで、基本の操作を見ていきます。
基本1: コマンドバーとサイドバー
Arcの画面は、左の縦長のサイドバーと、右のページの2つで構成されています。アドレスバーは画面の上ではなく、サイドバーの上部にあります。
操作の中心になるのは、Command-Tで開くコマンドバーです。新しいタブを開くだけでなく、検索欄に文字を打つと、開いているタブ、スペース、各種の操作を名前で探して実行できます。ヘルプセンターの説明の多くは「Command-Tを押して○○と入力する」という形で書かれており、たとえば「View Archive」と打てばアーカイブしたタブの一覧が、「Pin Tab」と打てば今のタブのピン留めが実行されます。
最初の数日は、メニューを探す代わりに、まずCommand-Tを押して、やりたいことを英語で打ち込む習慣を付けると覚えが早くなります。ヘルプセンターは英語で書かれているため、操作名も英語で覚えておくと、困ったときに調べやすくなります。
サイドバーは、横線を境に上下2つに分かれています。横線より上がピン留めしたタブ、下がピン留めしていないタブです。この区別が、次の節で扱うアーカイブの仕組みと深く関わります。
基本2: ピン留めとアーカイブの関係
Arcの使い方で最初につまずきやすいのが、タブが勝手に消えるという現象です。これは不具合ではなく、Auto Archiveという仕組みによるものです。
ヘルプセンターによると、ピン留めしていないタブは、使われないまま一定の時間が過ぎると自動でアーカイブされます。既定の時間は12時間で、タブを表示したりクリックしたりするとタイマーはリセットされます。Auto Archiveは無効にできないと明記されています。
消えて困るタブは、ピン留めしておきます。手順は次のどれかです。
- Command-Dを押す
- Command-Tを押して「Pin Tab」と入力する
- タブをサイドバーの横線より上へドラッグする
ピン留めしたタブは、自動でアーカイブされません。ヘルプセンターは、ピン留めしたタブを「アプリとブックマークの中間」と説明しています。たとえばピン留めしたサイトの中では自由に移動でき、別のサイトへのリンクを押すと、元のタブを置き換えずにPeekという小さな窓で開きます。
アーカイブされたタブを戻すときは、Command-Tで「View Archive」と打ち、戻したいタブの横の復元のアイコンを押します。アーカイブまでの時間は、Mac版では設定の「Profiles」で「Archive tabs after」を変えると延ばせます。
基本3: スペースで作業の場面を分ける
スペースは、仕事、個人、プロジェクトといった場面ごとにタブを分ける仕組みです。ヘルプセンターは、スペースごとにピン留めの領域、ピン留めしていない領域、テーマ、アイコンを持つと説明しています。
スペースの作り方と切り替え方は次のとおりです。
- 作る: サイドバーの下部にある「+」のアイコンを押す
- 切り替える: サイドバー下部のスペースのアイコンを押す、トラックパッドを2本指で左右にスワイプする、Mac版ではControlと数字キーを押す、Command-Tでスペースの名前を打つ
スペースは見た目の区切りとしては便利ですが、開発元の文書には、日常的に複数のスペースを使っているのは1日に使う人のうち5.52%だけという数字も載っています。多くの人は、1つのスペースとピン留めしたタブだけで使っているということです。最初から何枚もスペースを作るより、1つのスペースで使い始め、場面が混ざって不便を感じてから増やすほうが続けやすくなります。
基本4: アカウントを分けたいならプロファイル
スペースを分けても、ログイン状態は分かれません。仕事用と個人用で別のGoogleアカウントやSlackのアカウントを使いたい場合は、プロファイルを使います。
ヘルプセンターによると、プロファイルには、ログイン情報とパスワード、閲覧履歴、キャッシュとCookie、お気に入り、拡張機能、アーカイブの設定などが含まれ、1つまたは複数のスペースに割り当てられます。割り当ての手順は次のとおりです。
- スペースの名前にポインタを合わせ、Mac版では「...」を押す
- 「Profile」にポインタを合わせる
- 既存のプロファイルを選ぶか、新しく作る
新しいプロファイルは、ログイン情報も履歴も無い空の状態から始まります。注意したいのは、ヘルプセンターに、プロファイルは今のところデバイス間で同期されないと書かれている点です。スペースとタブは同期されますが、別のMacではプロファイルのログインをやり直す必要があります。
基本5: 画面を分割して2つのページを並べる
Split Viewを使うと、1つの窓の中で複数のタブを左右または上下に並べられます。Mac版では、Command-Shift-Plusを押すか、サイドバーのタブを画面の中央へドラッグします。Command-Tで「Add Right Split」などと打てば、分割する向きも選べます。
作った分割は、サイドバーの中で1つのタブとして扱われ、あとから同じ並びに戻れます。解除するときは、分割したタブを右クリックして「Separate All Tabs」を選ぶか、どちらかの画面の上にある「×」を押します。
ピン留めとお気に入りの使い分け
ピン留めしたタブとよく似た機能に、お気に入り(Favorites)があります。ヘルプセンターによると、ピン留めしたタブはそのスペースの中でしか表示されないのに対し、お気に入りはすべてのスペースで表示されます。
この違いから、使い分けは次のように決めると迷いません。
- どの場面でも開くもの(メール、カレンダー、チャット)はお気に入りにする
- 特定の仕事やプロジェクトでだけ使うもの(その案件の資料、管理画面)は、そのスペースにピン留めする
- その日だけ見るものは、ピン留めせずにアーカイブに任せる
ピン留めしたタブが増えてきたら、フォルダにまとめられます。ヘルプセンターは、レシピをまとめたフォルダや、進行中の書類をまとめたプロジェクトのフォルダといった例を挙げています。
最初の1週間で覚える順番
5つの操作を一度に覚えようとすると、結局いつものブラウザに戻ってしまいがちです。開発元の数字が示すとおり、多くの人が使っているのは基本の操作だけなので、次の順番で1つずつ習慣にすると定着しやすくなります。
- 1日目から2日目: 新しいタブもページ内の操作も、まずCommand-Tを押して始める
- 3日目から4日目: 毎日開くサイトをCommand-Dでピン留めし、どこでも使うものはお気に入りに移す
- 5日目: タブが消えたらCommand-Tで「View Archive」を開き、戻す操作に慣れる
- 6日目から7日目: 場面が混ざって不便を感じたときだけ、スペースを1つ追加する
アカウントを分ける必要がある場合は、スペースを追加するときに合わせてプロファイルも割り当てます。最初の1週間でここまで進めば、紹介記事に並んでいる他の機能は、必要になったときに調べれば間に合います。
覚えても解決しないことと、別の道具の選び方
ここまでの5つの操作を覚えれば、Arcは日常の作業に十分使えます。一方で、使い方を覚えても変わらない点もあります。新しい機能が追加されていく前提ではないこと、ヘルプセンターが英語であること、プロファイルが別のMacへ同期されないことの3つです。
Arcに興味を持った理由が、GmailやSlack、Notionといった毎日使うWebアプリを、アカウントごとに分けて1つの窓で切り替えたいということなら、その目的に特化した道具も選択肢になります。Mac用のアプリ集約ブラウザのなかには、アプリごとに専用のCookieの保存領域を持たせ、同じGmailに複数のアカウントで同時にログインしたまま、左のサイドバーで切り替えられるものがあります。設定やワークスペースの並びは、利用者自身のiCloudかGoogleドライブを通して別のMacへ同期され、メニューも設定もはじめから日本語です。Arcを含むブラウザからブックマークを取り込む機能もあります。仕組みはワークスペース、主な機能はできることで確認できます。
無料版はワークスペース1つ、アプリ3つまでで、有料版は月額980円、年額8,800円、買い切り19,800円から選べます。インストールから14日間はすべての機能を試せます(料金)。同じ種類の他の製品との違いは、Waveboxとの比較やShiftとの比較にまとまっています。
Arcの使い方を覚えるかどうかは、Arcに何を求めているかで決まります。縦のサイドバーと静かな画面で普通のWeb閲覧をしたいなら、5つの操作を覚えれば今でも快適に使えます。複数のアカウントのWebアプリを並行して扱いたいなら、その用途で作られた道具と比べてから決めると、覚え直しの手間を減らせます。
よくある質問
Arcは今も使い続けて問題ありませんか?
Arcは今もMac版とWindows版がダウンロードでき、開発元はChromiumの定期的な更新と脆弱性の修正を続けていると説明しています。ただし、中核の製品体験の積極的な開発はやめたとも明言しており、公式サイトでは、能動的なセキュリティ修正と企業向けの保護が必要ならDiaを使うよう案内しています。業務で使う場合は、社内の決まりと照らし合わせて判断してください。
Arcで開いていたタブが勝手に消えたのはなぜですか?
ピン留めしていないタブは、使われないまま一定の時間が過ぎると自動でアーカイブされるためです。既定は12時間で、この仕組みは無効にできません。残したいタブはCommand-Dでピン留めし、消えたタブはCommand-Tで「View Archive」と打って一覧から復元できます。アーカイブまでの時間は設定で延ばせます。
Arcで仕事用と個人用のアカウントを分けるにはどうすればよいですか?
スペースだけではログイン状態は分かれないため、プロファイルを使います。スペースの名前にポインタを合わせて「...」を押し、「Profile」から新しいプロファイルを作って割り当てると、そのスペースのログイン情報、履歴、Cookie、拡張機能が分かれます。プロファイルは今のところデバイス間で同期されない点に注意してください。
Arcの操作を調べるとき、どこを見ればよいですか?
開発元のヘルプセンター(resources.arc.net)に、スペース、ピン留めしたタブ、プロファイル、Split View、Auto Archiveなどの説明がまとまっています。説明は英語で書かれており、多くの操作が「Command-Tを押して操作名を打つ」という形で案内されています。操作名を英語のまま覚えておくと、調べるときに探しやすくなります。