Arcブラウザの日本語表示|変えられる所と変えられない所
Arcブラウザには、画面の表示言語を日本語に切り替える設定はありません。macOSの言語を日本語にしておけば、右クリックメニューやダウンロードの表示など、土台のChromiumが持っている部分は日本語で出ます。一方で、サイドバー、スペース、コマンドバーといったArc独自の画面は英語のままです。英語のページを日本語で読むには、Chromeの翻訳拡張機能を入れる方法が使えます。この記事では、どこが日本語になりどこがならないのかを実物で確かめた結果と、日本語で使うための設定の手順、そして今のArcの開発状況を踏まえた判断の材料を順に示します。
Arcで日本語になる所、ならない所
どこまで日本語になるかは、アプリ本体に入っている言語ファイルを見ると判断できます。2026年10月18日に、Mac版Arc(バージョン1.134.1)のアプリの中身を確認した結果は次のとおりです。
- Chromium部分の日本語ファイル(locale.pak)は約81万バイトあり、右クリックメニュー、パスワード保存の確認、ダウンロードの表示などはここから日本語で出ます
- メニューバーの日本語訳は「編集」と「コピー」の2項目だけでした。ほかのメニュー項目は英語で表示されます
- 設定画面の日本語訳は「設定」と「環境設定」の2語だけでした
- サイドバー、スペース、コマンドバーなどArc独自の画面には、日本語の訳が見当たりませんでした
「右クリックすると日本語なのに、サイドバーは英語」という状態は、この作りから生じます。設定を間違えているわけではありません。日本語の訳が用意されていない部分は、どの設定を触っても日本語にはなりません。
| 画面の部分 | 文言の出どころ | 日本語にできるか |
|---|---|---|
| サイドバー、スペース、コマンドバー | Arc独自の実装 | できない(訳が入っていない) |
| メニューバー | Arc独自の実装 | 「編集」「コピー」のみ |
| 右クリックメニュー、ダウンロード、保存の確認 | Chromium | macOSの言語が日本語なら日本語で出る |
| Gmail、NotionなどのWebサイト | 各サービスの設定 | サービス側の言語設定で変えられる |
非公式の日本語化ファイルでアプリの中身を書き換える方法は勧められません。macOSのアプリは開発元の署名で守られており、中身を変えると署名が合わなくなって、起動できない、自動更新が届かないといった状態になります。ブラウザは毎日パスワードを通す道具なので、更新が止まる状態を自分で作るのは割に合いません。
macOSの設定で日本語を優先させる手順
Chromium部分を日本語で出すには、macOSの「優先する言語」で日本語を一番上にしておきます。手順はAppleサポートの「Macの言語を変更する」に書かれており、要点は次のとおりです。
- アップルメニューから「システム設定」を開き、サイドバーの「一般」をクリックして「言語と地域」を開きます
- 上部の「優先する言語」リストで、日本語を一番上までドラッグします
- すべてのアプリに反映させるには、Macの再起動が必要な場合があります
Macの全体は英語のまま、Arcだけ日本語にしたい場合は、同じ画面の「アプリケーション」で個別に言語を選べます。追加のボタンを押し、ポップアップメニューからArcと日本語を選んで「追加」を押します。Appleの説明では、アプリが開いている場合は終了してから開き直す必要があります。
ここで覚えておきたいのは、この設定が効くのは、アプリの中に日本語の訳が入っている部分だけだという点です。Appleの説明にも、テキストが優先言語に対応していればその言語で表示され、対応していなければリストの次の言語が使われる、と書かれています。前の節で確かめたとおり、Arc独自の画面には日本語の訳が入っていないため、この設定をしてもサイドバーは英語のままです。
英語のページを日本語で読む方法
ArcはChromiumを土台にしたブラウザで、Chromeの拡張機能が使えます。Arcの公式のよくある質問のページには、次のように書かれています。
Does Arc support Chrome Extensions? Yes, Arc supports 100% of the Extensions that Chrome supports.(ArcはChromeの拡張機能に対応していますか。はい、Chromeが対応している拡張機能はすべてArcでも使えます) 出典: arc.net
同じページには、Googleの広告事業のための機能を取り除いている、という説明もあります。Chromeで当たり前に出る翻訳の案内を前提にせず、翻訳は拡張機能で用意すると考えておくと迷いません。Googleが提供しているGoogle 翻訳の拡張機能は、ツールバーのボタンを押すと表示中のページを翻訳します。ページの言語がブラウザの言語と違うことも自動で判定します。
翻訳が効くのはWebページの本文で、Arcのサイドバーやメニューは対象外です。また、会計や勤怠のように入力した内容がそのまま記録に残る画面では、翻訳をかけずに原文のまま使うほうが安全です。自動翻訳はページの文字を書き換えるため、ボタンの表記が変わったり、入力欄の扱いに影響が出たりすることがあります。
日本語入力は導入の初日に3か所で確かめる
表示の言語より日々の作業に効くのが、日本語入力の扱いです。日本語には変換中という確定前の状態があり、独自に作られた入力欄では、変換を確定するつもりのEnterが検索の実行として扱われることがあります。英語の入力には変換の段階が無いため、英語だけで確認している製品では見落とされやすい部分です。
確かめる場所は次の3か所で足ります。
- コマンドバー。日本語で検索語を打ち、変換中にEnterを押したとき、確定で止まるか、検索が走ってしまうか
- サイドバーの名前の変更欄。スペースやフォルダの名前を日本語にしたとき、変換の途中で文字が抜けないか
- SlackやNotionの投稿欄。変換の確定と送信が混ざらないか
3つ目が正常で1つ目と2つ目だけ崩れるなら、原因はArc独自の入力欄にあると切り分けられます。名前の変更はたまにしか使わないので実害は小さく済みますが、コマンドバーを1日に何十回も使うなら、ここは譲れない条件になります。
スマホ版のArc Searchの言語
iPhone向けのArc Searchも、日本語の画面は用意されていません。App StoreのArc Searchのページでは、2026年10月18日時点で言語の欄が「英語」だけで、対応するのはiOS 16.0以降です。最新の版は1.48.0(8月12日)と表示されていました。検索語やWebページは日本語で扱えますが、アプリのボタンや説明は英語です。
日本語で使う人から見たメリットとデメリット
Arcを日本語環境で使う場合の長所と短所を、ここまでの確認をもとに整理します。
メリットは次のとおりです。
- Chromeの拡張機能がそのまま使えるため、翻訳や日本語の辞書の拡張機能で不足を補えます
- 日本語のWebサイトそのものは問題なく表示でき、Chromium部分の表示は日本語になります
- スペースで仕事と私用のタブを分ける使い方は、言語に関係なく使えます
デメリットは次のとおりです。
- Arc独自の画面は英語のままで、日本語化される見込みは立てにくい状況です
- 独自の入力欄では、日本語の変換との相性を自分で確かめる必要があります
- 後で述べるとおり、開発の中心が別の製品に移っています
これから始める場合は、arc.netからMac版かWindows版をダウンロードし、初回の案内に沿ってChromeのデータを取り込めば使い始められます。Arcのよくある質問のページでは、Chromeからのデータの取り込みに5秒かからないと説明されています。
日本語対応を待てるかは、開発の状況で決まる
画面の日本語化が後から入るかどうかは、その製品にこれから手が入るかどうかで決まります。Arcの公式サイトのトップページには、次の一文が掲げられています。
FYI: Arc receives Chromium updates only. For active security patches and enterprise-grade protection, download Dia instead.(Arcが受け取るのはChromiumの更新だけです。積極的なセキュリティ修正と企業向けの保護が必要な場合は、代わりにDiaをダウンロードしてください) 出典: arc.net
開発元のThe Browser Companyについては、Atlassianが2025年9月4日付けの公式ブログで、買収の合意を発表しています。新しい機能の開発は同社のDiaが中心で、Arcは土台の更新を受け取る形で配布が続いています。
この状況では、Arcの画面が日本語になる日を前提に予定を組むのは難しいと考えるのが妥当です。とはいえ、今日からArcが使えなくなるわけではありません。英語の画面に慣れていて、翻訳と入力の確認が済んでいるなら、そのまま使い続ける判断も成り立ちます。
日本語の画面で使える別の選び方
Arcを使っていた理由が「GmailやSlackなど、毎日のWebアプリを1つの窓で行き来したい」だった場合は、Webアプリをまとめるブラウザという別の種類の道具も候補になります。タブを並べる代わりに、アプリごとに置き場所を分けて、ログインを保ったまま切り替える作りです。
このサイトを運営する開発元が作っているアプリ集約ブラウザは、メニューも設定も最初から日本語で、32の言語に対応しています。できることのページによれば、Chrome、Safari、Arcなど8つのブラウザからブックマークをフォルダ構成ごと取り込めます。取り込むのは設定の「インポート」タブで、取り込み元のブラウザには何も書き込みません。ワークスペースのページでは、アプリごとに独立したCookieの入れ物を持たせて、同じサービスの複数のアカウントに同時にログインしたままにする仕組みを説明しています。料金は料金のページにあり、無料のプランはワークスペース1つ・アプリ3つまで、Proは月額980円、年額8,800円、買い切り19,800円です。毎日使うサービスが含まれているかは使えるアプリで確かめられます。
まずはmacOSの優先する言語を日本語にして、日本語入力を3か所で試してください。それで不便が残るかどうかが、Arcを使い続けるか、道具を替えるかを決める材料になります。
よくある質問
Arcのメニューを日本語に切り替える設定はありますか?
表示言語を選ぶ設定はありません。macOSの優先する言語を日本語にすると、右クリックメニューやダウンロードの表示などChromium部分は日本語になります。ただし、Mac版1.134.1の中身では、メニューバーの日本語訳は「編集」と「コピー」だけで、サイドバーやスペースの画面は英語のままです。
Arcで英語のページを日本語に翻訳できますか?
できます。ArcはChromeの拡張機能に対応しているため、Googleが提供するGoogle 翻訳の拡張機能を入れれば、ツールバーのボタンから表示中のページを翻訳できます。翻訳が効くのはWebページの本文で、Arc自身のサイドバーやメニューは対象外です。
Arcだけを日本語にして、Mac全体は英語のままにできますか?
システム設定の「一般」から「言語と地域」を開き、「アプリケーション」でArcに日本語を割り当てられます。ただし効くのはアプリに日本語の訳が入っている部分だけです。Arc独自の画面には訳が入っていないため、変わるのはChromium部分の表示に限られます。
スマホ版のArc Searchは日本語に対応していますか?
2026年10月18日時点のApp Storeのページでは、Arc Searchの言語は英語のみです。日本語の検索語や日本語のWebページは問題なく扱えますが、アプリのボタンや案内は英語で表示されます。対応するのはiOS 16.0以降です。