タブ整理できない状態を、整理ではなく窓の数で立て直す

タブグループを作り、ピン留めを設定し、拡張機能も入れた。それでも1週間後には同じようにタブが並んでいる。タブ整理できないという悩みは、整理の技術が足りないのではなく、整理という手段が問題の形に合っていないところから来ている。この記事では、タブが増える原因を「閉じられないタブ」と「読み捨てのタブ」に分けたうえで、Macでその2種類を物理的に別の場所へ置く方法を示す。整理を頑張り続けなくてよい形に変えるところまでが範囲になる。

タブが減らないのは、性質の違うものが同じ列に並んでいるから

開いているタブを1つずつ見ていくと、実は2種類しかないことが分かる。

1種類目は、閉じてはいけないタブだ。Gmail、Slack、カレンダー、案件管理、動画の再生中のページ。これらは閉じると通知が止まったり、作業中の状態が消えたりする。1日中開いておく前提のもので、性質としてはアプリに近い。

2種類目は、読み終わったら閉じてよいタブだ。検索結果、参考になりそうな記事、あとで読むつもりのページ、調べ物の途中で踏んだ数枚。こちらは本来その場で消えるべきもので、性質としては紙のメモに近い。

タブ整理できないと感じている環境では、この2種類が同じ横1列に並んでいる。そして整理をしようとすると、閉じてよいタブを閉じる作業の中で、閉じてはいけないタブを誤って巻き込む。あるいは巻き込むのが怖くて、結局どれも閉じられなくなる。整理が続かない理由はここにある。判断のコストが1タブごとに発生し、間違えると実害が出る作業を、毎日繰り返せる人はいない。

数が増えると事態はさらに悪くなる。タブが30個を超えたあたりから、1つあたりの横幅が数ミリになりタイトルが読めなくなる。この状態では目で探すことができず、切り替えのたびに順番にクリックして中身を確かめることになる。整理する気力が湧かないのではなく、探す作業そのものが重くなっている。

タブグループやピン留めが効く範囲と、効かない範囲

ブラウザ側にも対策の機能はある。Chromeのタブグループは、関連するタブをまとめて色と名前を付けられる。

グループを使ってタブを整理できます。タブグループを作成または編集すると、変更内容は自動的に保存され、同じ Google アカウントでログインしているデバイス間で同期されます。 出典: support.google.com

グループ化は、読み捨てのタブをまとめて捨てる用途では有効に働く。調べ物のセッションを1グループにしておけば、終わったときにグループごと閉じられる。1枚ずつ判断する必要がなくなる。

ピン留めは、閉じてはいけないタブを守る用途で有効に働く。左端に固定されてタイトルが消え、誤って閉じにくくなる。

ただしどちらも、限界が同じところに来る。グループもピン留めも、同じブラウザの同じ窓の中の話でしかない。macOSから見れば、それらはすべて1つのアプリの内側にある。だからDockのアイコンは1つのままで、Command+Tabでも1つとして扱われ、集中モードで「仕事の連絡だけ通す」といった制御もできない。通知はすべて「ブラウザからの通知」として同じ顔で届く。

もう1つの限界は、ログインが分かれないことだ。同じアカウントのサービスを2つ使い分けたい場合、グループを分けても中身のCookieは共通なので、片方でログアウトするともう片方も落ちる。見た目は分かれているのに実体は分かれていない、という状態になる。

閉じられないタブを、タブの外へ出す

方針は単純で、閉じてはいけないタブをタブの列から追い出す。追い出した先が独立した窓であれば、誤って閉じることも、探して迷うこともなくなる。Macでの方法は3つある。

1つ目は、SafariのWebアプリ機能を使う方法だ。macOS 14以降のSafariでは、開いているページをメニューバーの「ファイル」から「Dockに追加」で登録できる。

Webアプリがホームフォルダの『アプリケーション』フォルダに保存され、DockやSpotlightからも開けるようになります。 出典: support.apple.com

登録されたWebアプリは、SafariとCookieや履歴を共有しない。つまり同じサービスを別のアカウントで2つ登録できる。通知の設定もアプリごとに分かれ、未読の件数はDockのアイコンに赤いバッジとして表示される。

2つ目は、Chromeでページをアプリとしてインストールする方法だ。アドレスバー横のメニューから該当の項目を選ぶと、タブバーもアドレスバーもない専用の窓が開く。Safariと違ってプロファイルのログイン状態をそのまま引き継ぐため、開いた時点でログイン済みになっている。手軽な反面、Cookieはプロファイルと共通なので、アカウントを分ける用途には使えない。

動画のページはこの方法の効果が分かりやすい。YouTubeはmacOS向けの公式アプリが存在せず、Macでは常にブラウザのタブとして開くことになる。再生中のタブが並びの奥に押し込まれると、音だけ鳴っているのにどのタブか分からない状態になり、キーボードの再生停止キーも意図しないタブに効く。Webアプリとして登録しておけば独立した窓になり、Command+Tabで一度に戻れる。作業用のアカウントと個人のアカウントで再生履歴を分けたい場合も、Cookieが分かれるため2つ登録して使い分けられる。

3つ目は、Webアプリごとに窓を分ける前提で作られたブラウザを使う方法だ。SafariやChromeでは1サイトずつ手作業で登録することになるが、この種のブラウザでは最初からアプリ単位で入れ物が分かれている。常駐させたいサービスが5個を超えると、1つずつ登録して管理する運用は現実的でなくなる。何をどこまで分けられるかはできることにまとまっている。

3つの方法の比較

方法 誤って閉じにくいか ログインの分離 通知の扱い 増やすときの手間
タブグループ・ピン留め 少し減る 分かれない ブラウザ単位 変わらない
SafariのWebアプリ 閉じない 分かれる アプリごと サイトごとに手作業
アプリ集約ブラウザ 閉じない 分かれる アプリごと 最初に一度だけ

判断の基準は、常駐させたいサービスがいくつあるかになる。2つか3つなら手作業の登録で十分で、新しい道具を入れる必要はない。それが10を超えるなら、登録と更新の手間が積み上がるため、最初から窓単位で扱える仕組みのほうが結果的に軽い。

窓に出す候補を決める3つの質問

どのタブを窓へ移すべきかは、次の3つの質問で機械的に決められる。全部を移す必要はない。

1つ目は、そのタブを閉じたら通知が止まるか。止まるなら窓に出す候補になる。メール、チャット、案件管理の更新通知が該当する。逆に通知が関係ないページは、いくら毎日開いていてもタブのままでよい。

2つ目は、そのタブを1日に何度も探しているか。切り替えのたびにタブの列を目で追っているなら、探す時間が毎日積み上がっている。窓に出せばCommand+Tabかアイコンのクリックで一発で戻れる。1回あたりは数秒でも、1日に40回切り替えていれば無視できない差になる。

3つ目は、そのサービスを複数のアカウントで使っているか。使っているなら、タブやタブグループでは分けきれない。ログインの分離が必要になるため、入れ物ごと分ける方法を選ぶことになる。

3つとも当てはまらないタブは、窓に出しても効果が薄い。むしろDockのアイコンが増えるだけで、切り替え先の候補が増える分だけ判断のコストが上がる。移す対象を絞るほど効果が出る、という点は先に押さえておきたい。

読み捨てのタブは、増やしたまま捨てる

閉じられないタブを外へ出すと、タブの列に残るのは読み捨てのタブだけになる。ここで方針を切り替える。残ったタブは、整理しないほうがよい。

読み捨てのタブに対して「あとで読むから残しておく」と判断するのは、実際にはほとんど読まれない。あとで読む前提のタブは、その日のうちに読まなければ翌週も読まれず、罪悪感だけを積み上げる。ここで有効なのは、整理ではなく期限を切ることだ。

具体的な運用は2つある。1つは、調べ物の単位でタブグループを作り、終わったらグループごと閉じること。個別に判断せず、まとめて捨てる。もう1つは、本当に読み返したいページだけをブックマークかメモに逃がし、タブは全部閉じること。タブは作業中の場所であって、保管場所ではない。保管したいものが出てきた時点で、置き場所を間違えている。

1日の終わりに残ったタブを全部閉じる運用にすると、最初の数日は不安になる。しかし実際に困るページはほとんど出てこない。困ったものだけをその都度ブックマークに移していけば、1週間で自分にとって本当に必要なページが見えてくる。

窓に出したあとに起きる、2つの副作用

タブを窓へ移すと、たいていの人が想定していなかった2つの変化に出会う。先に知っておくと戸惑わずに済む。

1つ目は、ログイン済みだと思っていたサービスが未ログインで開くことだ。SafariのWebアプリはCookieをSafariと共有しないため、登録した直後の窓はサインアウトした状態になる。設定を間違えたと思って作り直す人が多いが、そのまま中でログインすれば済む。むしろこれは分離が効いている証拠であり、同じサービスを別のアカウントで2つ持てる理由でもある。

2つ目は、拡張機能の挙動が変わることだ。SafariのWebアプリは通常のSafariの窓とは扱いが異なり、Chromeでアプリとしてインストールした窓はプロファイルの拡張機能を引き継ぐ。広告のブロックや再生速度の変更を拡張機能に頼っている場合、移した先で同じように動くかを先に確かめておいたほうがよい。元のタブを消してから気づくと、確認する手段がなくなる。

もう1つ、リンクの飛び先も変わらない点は覚えておきたい。メールやチャットに貼られたURLをクリックすると、既定のブラウザで開く。窓として登録したアプリが自動的に受け取るわけではない。窓は自分から開きに行く場所であり、外から飛んでくるリンクはブラウザに届く。この二重化は最初こそ気になるが、読み捨てのページはブラウザ、常駐するサービスは窓、という分担にそのまま合致するため、運用上は困らないことが多い。

窓の数を先に決める

分け方の考え方として実務で効くのは、アカウントやサービスの数ではなく、仕事の単位で窓を決めることだ。

たとえば取引先ごとに窓を作ると、その取引先の連絡・資料・管理画面が1つの窓にそろう。作業を切り替えるときは窓を切り替えるだけでよく、タブを探す必要がなくなる。逆にサービスごとに窓を作ると、Gmailの窓の中で取引先を切り替えることになり、切り替えのたびに探す作業が戻ってくる。アプリごとに独立したワークスペースという置き方が効くのは、この「探す作業」を消せるためだ。

仕事の単位で窓とログインをまとめる考え方はワークスペースに整理されており、どのサービスがその形で動くようにしてあるかは使えるアプリで確認できる。同じ分野の道具をすでに検討している場合は、対応範囲と費用の違いを並べたWaveboxとの比較、月額を払わない選択肢を含めたFerdiumとの比較が判断材料になる。費用の条件は料金に載っている。

タブ整理できないという言い方には、自分の管理能力の問題だという前提が含まれている。しかし開いているタブを2種類に分けてみると、そこにあるのは能力ではなく配置の問題だと分かる。閉じてはいけないタブが閉じられる場所に置かれている限り、整理の技術をいくら磨いても同じ状態に戻る。今日変えるべきなのは並べ方ではなく、閉じてはいけないタブの住所のほうになる。

よくある質問

タブは何個までなら実用的に使えますか?

明確な上限はありませんが、30個を超えたあたりからタブの横幅が数ミリになりタイトルが読めなくなります。目で探せなくなった時点で、切り替えのたびに順にクリックして中身を確認することになり、実質的に管理できていない状態です。常駐させたいサービスを窓として外へ出すと、この本数は大きく下がります。

タブグループを使えばタブ整理の問題は解決しますか?

読み捨てのタブをまとめて閉じる用途では有効です。調べ物の単位でグループを作れば、終わったときにグループごと捨てられます。ただしグループは同じブラウザの内側の区分けなので、通知やログインは分かれません。閉じてはいけないタブを守る用途には力不足です。

Macでサービスを独立した窓として開くにはどうすればよいですか?

macOS 14以降のSafariであれば、対象のページを開いてメニューバーの「ファイル」から「Dockに追加」を選びます。アプリケーションフォルダにWebアプリとして保存され、DockやSpotlightから開けるようになります。Chromeにもページをアプリとしてインストールできる機能がありますが、Cookieはプロファイルと共有されます。

開いたタブを全部閉じるのが不安なときはどうすればよいですか?

読み返したいページだけをブックマークかメモに移してから閉じてください。タブは作業中の場所であり、保管場所ではありません。実際に運用してみると、翌日以降に本当に必要になるページはごくわずかで、その都度ブックマークへ移していけば1週間ほどで自分に必要な分が見えてきます。

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