Box Driveで複数アカウントを扱うときの制限と回避策|切り替えの手順まで整理
自社のBoxアカウントと、取引先から発行されたBoxアカウントの両方を使う必要があるのに、Box Driveでは片方しか開けない。box driveで複数アカウントを扱おうとして行き詰まる原因は操作の見落としではなく、Box Driveの構造そのものにあります。ここでは、なぜ同時に使えないのか、アカウントを切り替える手順、ブラウザ版との併用で回避できる範囲、そして権限設計で切り替えそのものを減らす方法までを整理します。
法人向けのクラウドストレージでアカウントが分かれる事情
Boxは、個人が写真を置くためのストレージではなく、企業がファイルの持ち主と権限を管理するための仕組みとして導入されています。そのため、アカウントは組織の管理者が発行し、退職や契約終了のときに止められる形になっています。組織をまたいで仕事をする人が同じアカウントを使い回すことは、この管理の考え方と噛み合いません。
結果として起きているのが、ひとりが複数のBoxアカウントを持つ状況です。自社が契約しているBoxに自分のアカウントがあり、常駐先や委託元のBoxにも別のアカウントを発行される。監査の要件が厳しい業種では、取引先ごとに別のアカウントを求められることも珍しくありません。
ここで押さえておきたいのは、アカウントが分かれていること自体は運用の不備ではない点です。ファイルの持ち主を組織単位で切り分けるために、あえて分けられています。したがって考えるべきは、統合する方法ではなく、分かれたまま手元で快適に扱う方法です。
Box Driveが一度に扱えるのは1アカウント
Box Driveは、Boxの中身をパソコンのファインダーやエクスプローラーから直接扱えるようにするアプリです。ネットワーク上の場所を端末にマウントする作り方になっているため、同時に複数のアカウントを並べて表示することはできません。公式のドキュメントでも、マウントの回数に関する制約が明記されています。
Box Driveの技術的な制約により、場所をマウントできるのは、1台のコンピュータで1回のみです。 出典: docs.box.com
この制約は、マルチユーザー環境の説明として書かれているものですが、ひとりが複数アカウントを使う場面にも同じ理屈が及びます。ターミナルサービスのように複数の利用者が同じサーバーにログインする環境では、共通の場所を共有できず、最初にログインした利用者だけがその場所を使える形になります。
同じことが、1台のMacやWindowsで二つのBoxアカウントを開こうとした場合にも起こります。Box Driveのサインイン先は1つで、二つ目のアカウントを追加する枠は用意されていません。「片方が見えているのに、もう片方が出てこない」という状態は、設定の誤りではなく仕様の範囲内です。
なお、Box Driveのバージョン2.16以降では、Windows 10のファストユーザースイッチングに対応しています。これはWindowsの利用者アカウントを切り替える機能に追随するもので、アプリを終了させずにWindows側の利用者を切り替えられるという意味です。ひとつのWindows利用者の中で、Boxアカウントを二つ並べる機能とは別物です。
アカウントを切り替える手順
Box Driveで別のアカウントを使う場合は、いまのアカウントからサインアウトし、別の情報でサインインし直します。手順は次の通りです。
- Macの場合は、メニューバーのBoxアイコンをクリックして検索メニューを開く。キーボードショートカットのCtrl + Option + Cmd + Spaceでも開ける
- Windowsの場合は、システムトレイのBoxアイコンをクリックする。キーボードショートカットのCtrl + Shift + Alt + Bでも開ける
- 歯車のアイコンをクリックし、表示された一覧からログアウトを選ぶ
- 別のBoxアカウントの認証情報でログインし直す
ログアウトを選んだ時点で、Box Driveは注意が必要な項目があれば知らせてきます。開かれているファイルがある場合は、保存して閉じることで作業内容が失われるのを防げるという案内が出ます。アップロード中の項目がある場合は、ログアウト前に完了していなかったアップロードがすべてキャンセルされる旨が示されます。問題のある項目については、ログアウト後に削除される扱いになります。
この警告の内容が、切り替えを軽い操作として扱えない理由です。切り替える前に、開いているファイルをすべて閉じて保存を済ませ、アップロードが終わるのを待つ。この段取りを飛ばすと、編集内容やアップロード待ちのファイルを取りこぼします。切り替えは、作業の区切りで行う操作として扱うほうが安全です。
もうひとつ注意したいのが、同期の再構築にかかる時間です。サインインし直すと、そのアカウントのフォルダ構成を読み込む処理が走ります。扱っているファイルの量が多い場合、一覧が揃うまで待つことになります。日に何度も切り替える運用は、この待ち時間の分だけ実作業を削ります。
ブラウザ版との併用で切り替え回数を減らす
現実的な回避策として広く使われているのが、Box Driveとブラウザ版の役割分担です。日常的に触るアカウントをBox Driveに割り当て、参照が中心のアカウントはブラウザで開く。この分け方にすると、サインアウトとサインインを繰り返す回数が減ります。
ブラウザで開く側は、ログイン状態が混ざらないように工夫が要ります。同じブラウザの同じプロファイルで二つのBoxアカウントを開くと、あとからログインしたアカウントに上書きされます。Chromeであれば利用者を追加してプロファイルを分ける、あるいはプライベートウインドウを使う方法で、Cookieの器を分けられます。プロファイルを分けた場合はログイン状態が残るため、毎回の認証が不要になります。
ただしこの方法にも弱点があります。プロファイルを増やすと、どのウインドウがどのアカウントなのかを見分ける手がかりがタイトルバーしかなくなり、取り違えが起きます。Boxのように権限が厳密なサービスでは、間違ったアカウントでファイルをアップロードすると、持ち主の設定をあとから直す作業が発生します。ウインドウの見分けをつける仕組みを、自分で用意しておく必要があります。
切り替えずに済ませられる場面を見分ける
複数アカウントを切り替える前に確かめておきたいのが、そもそも切り替えが必要かという点です。Boxはコラボレーションの招待によって、別の組織のフォルダを自分のアカウントの中に表示できます。取引先のフォルダに招待を受けていれば、自社のアカウントのまま、そのフォルダを開けます。
行き違いが起きやすいのは、招待の宛先と、実際に使っているアカウントのメールアドレスが違うときです。共有されたファイルやフォルダにアクセスできない場合は、招待が送られたアドレスと同じBoxアカウントでサインインしているかを確認する手順が案内されています。アクセスできない理由がアカウントの取り違えであれば、招待を正しいアドレスに送り直すだけで解決します。
一方で、切り替えを避けられない場面もあります。取引先の組織のBoxに自分のアカウントが作られていて、そのアカウント名義で承認や監査ログを残す必要がある場合です。この場合は招待では代替できないため、アカウントそのものを行き来することになります。招待で足りるのか、アカウントが必要なのかを先に切り分けると、無駄な切り替えを減らせます。
複数アカウントを扱うときに決めておく運用ルール
制約が分かったうえで決めておきたいのが、日々の運用のルールです。決め事がないまま切り替えを繰り返すと、どのアカウントで何をしたのかが追えなくなります。
ひとつ目は、Box Driveに常駐させるアカウントを一つに固定することです。書き込みの量が多いアカウント、つまりファイルを作って保存する作業の中心になるアカウントを選びます。参照と確認が中心のアカウントは、Web画面側に回します。この固定を先に決めておくと、切り替えの判断そのものが減ります。
ふたつ目は、ファイルをローカルに持ち出すときの置き場所を分けることです。Box Driveの領域から書類フォルダへコピーした瞬間、そのファイルがどのアカウントの持ち物だったかという情報は失われます。ダウンロード先にアカウントごとのフォルダを作り、そこに入れる。この一手間で、あとから取引先に戻すときの取り違えを防げます。
三つ目は、退任や契約終了のときに何が起きるかを把握しておくことです。取引先のBoxアカウントは、その組織の管理者が止められます。止まった時点で、そのアカウントの中のファイルには手が届かなくなります。自分の作業記録として残したいものがあるなら、契約が続いている間に、許可された範囲で自社側に控えを取っておく判断が必要になります。
分けたまま並べるという別の解き方
Box Driveの制約は、ファイルシステムに場所をマウントする作りから来ています。したがって、ファインダーから直接扱うことを前提にすると、この制約は残ります。発想を変えて、Webの画面のほうを複数並べる方向に寄せると、扱い方が変わります。
BoxのWeb画面は、ファイルの一覧、プレビュー、共有リンクの発行、コラボレーターの追加といった操作をひととおり備えています。大量のファイルを一括で扱う作業はBox Driveに任せ、確認と共有の操作はWeb画面で済ませる。この分担にすると、同時に開いておきたいアカウントはWeb画面側に寄ります。
そこで効いてくるのが、アプリごとに独立したワークスペースを持てるアプリ集約ブラウザです。セッションが窓ごとに分かれる作りのため、自社のBoxアカウントと取引先のBoxアカウントを別々の窓として同時に開いたままにできます。窓に名前と見た目を与えられるため、どちらのアカウントを見ているかを取り違えにくくなります。Box Driveのサインイン先はひとつに保ちながら、参照が中心のアカウントはこちらに載せる、という組み合わせが成り立ちます。
判断の軸を三つに絞る
Webアプリをまとめるブラウザを検討する場合、見るべき点は多くありません。同じサービスを複数アカウントで同時に開けるか、通知をアプリ単位で切り分けられるか、使っているサービスが登録済みの一覧に入っているかの三点です。アプリごとに領域を分ける仕組みの考え方はワークスペースのページに整理されており、通知やショートカットを含む全体像はできることにまとまっています。
Boxのように業務の中心になるサービスが登録済みかどうかは使えるアプリで確認できます。同じ分野の他の選択肢と比べたい場合は、代表的な製品との違いを並べたWaveboxとの比較とRamboxとの比較が材料になります。費用の考え方は料金に、導入前に出やすい疑問はよくある質問にまとめられています。
Box Driveで複数アカウントを同時に開く方法を探しても、構造上の制約があるため答えは見つかりません。実務で効くのは、Box Driveに載せるアカウントを一つに決め、残りをWeb画面側で並べて持つという役割分担です。切り替えの回数を減らす設計に切り替えると、待ち時間と取り違えの両方が同時に減ります。
よくある質問
Box Driveで二つのアカウントを同時に開けますか?
同時には開けません。Box Driveは端末に場所をマウントする作りで、公式のドキュメントでも1台のコンピュータでマウントできるのは1回のみと説明されています。二つ目のアカウントを追加する枠は用意されていないため、使うときはサインアウトとサインインで切り替えることになります。
Box Driveでアカウントを切り替える手順はどうなりますか?
MacはメニューバーのBoxアイコン、Windowsはシステムトレイのアイコンから検索メニューを開き、歯車のアイコンをクリックしてログアウトを選びます。そのうえで別のアカウントの認証情報でログインし直します。Windowsではキーボードショートカットからも同じメニューを開けます。
切り替えずに取引先のフォルダを見る方法はありますか?
Boxのコラボレーションの招待を受けていれば、自分のアカウントのまま相手のフォルダを開けます。アクセスできない場合は、招待が送られたメールアドレスと、いまサインインしているアカウントのアドレスが一致しているかを確認します。一致していなければ、正しいアドレスに招待を送り直すことで解決します。
ブラウザ版と併用するときに気をつけることは何ですか?
同じブラウザの同じプロファイルで二つのBoxアカウントを開くと、あとからログインしたほうに上書きされます。プロファイルを分けるかプライベートウインドウを使ってCookieの器を分ける必要があります。窓が増えるとどのアカウントかを見分けにくくなるため、窓に名前を付けられる仕組みを併せて用意すると安全です。