Braveブラウザの評判を、仕事で使う前提で読み直す

brave ブラウザ 評判で出てくる記事は、大半が「Webを閲覧する人」に向けて書かれている。ページの読み込みが速くなったか、遮断された広告の数がいくつか、既定のプライバシー設定がChromeとどう違うか。その読者も確かに存在するが、同じ言葉で検索している別の読者がいる。GmailとSlackとNotionと顧客管理と請求の画面と取引先のSlackが2つ、これを全部開いたまま1日を過ごす人だ。この読者にとっての問いは「Braveのほうが多く遮断するか」ではない。ブラウザを変えることで1日の形が変わるのか、である。この記事では、公開されている仕様を根拠に、仕事で使う前提に評判を翻訳し直す。

評判が割れるのは、読み手の使い方が違うから

同じ製品の評価が真っ二つに割れているとき、たいてい原因は製品ではなく前提にある。Braveの場合、前提の違いは3つある。

  • 広告の遮断に価値を感じるか。ニュースサイトや個人のブログを多く読む人ほど、体感の差が大きい。業務用のWebアプリだけを1日中見ている人は、そもそも遮断する対象がほとんどない
  • 暗号資産の仕組みをどう受け止めるか。Braveには独自のトークンを使う仕組みがあり、ここへの拒否感が評価をそのまま押し下げることがある
  • 仕事の環境を変えるコストをどう見積もるか。個人の端末なら試して戻せばよいが、業務の端末では認証や管理の都合が絡む

この3つのどれを基準にしているかで、同じ機能の説明が長所にも短所にもなる。評判の記事を読むときは、書き手がどの前提に立っているかを先に見ると、内容の読み違えが減る。

最初の1時間で変わること

Braveを入れて最初に効いてくるのは、既定でオンになっている遮断の仕組みだ。公式の説明では、この仕組みはトラッカー、サイトをまたぐCookieでの追跡、端末を識別する指紋の採取を遮断する。

それだけではない。公開されている仕様の中で、仕事に関係するものを挙げると次のようになる。

  • URLに含まれる既知の追跡用パラメータを既定で取り除く。共有されたリンクを開いたとき、余計なパラメータが落ちる
  • Chromiumに入っている分割の仕組みを拡張して、保存領域をサイトごとに分ける。サイトをまたいだ追跡を防ぐ作り
  • 参照元のヘッダに含まれる情報を減らし、場合によってはヘッダごと取り除く
  • カメラやマイクの許可を、常に許可か拒否かの2択ではなく、24時間だけ、あるいはそのサイトを閉じるまで、といった細かい単位で出せる
  • 同期は端末側で暗号化される作りに作り直されていて、Googleのサーバを経由しない

最後の項目は、業務で使う端末では意味を持つことがある。ブックマークやパスワードの同期を、特定のアカウントに結び付けずに行えるためだ。一方で、アカウントではなく符号で同期の輪をつなぐ方式になるので、その符号を端末とは別の場所に保管しておく運用が要る。

評判の話で繰り返し出てくるRewardsとBAT

Braveの評価が割れる最大の理由がここにある。BraveにはBrave Rewardsという仕組みがあり、Braveが表示する広告を見ることでBasic Attention Token(BAT)を受け取れる。受け取ったトークンは、応援したいサイトや制作者に送ったり、他の通貨と交換したりできる。

仕事で使うかどうかを判断するうえで押さえておきたいのは、この仕組みが利用者が選んで有効にするものだという点だ。公式の説明では、既定の状態ではBraveは訪れたページの広告とトラッカーを遮断していて、Braveの広告を見ることを選んだ場合にトークンを受け取れる、という書き方になっている。有効にしなければ、この仕組みは動かない。

表示される広告の形も限定されている。新しいタブのページに出る画像と、プッシュ通知が中心で、Webページの中に広告が差し込まれることはなく、動画の前後に広告が入ることもない、と公式のページに書かれている。

業務の端末で使うなら、この機能を有効にしない選択が素直だ。報酬の受け取りは資産の扱いに関わるため、会社の端末で個人の資産を扱う構図になる。技術的な良し悪しではなく、運用の線引きの話として決めておきたい。

仕事で使うときに引っかかる場所

評判の記事ではあまり扱われないが、業務に入れるときに引っかかるのは決まった場所だ。

シングルサインオンの画面が最初の関門になる。認証はリダイレクトを何度もはさむ仕組みで、Cookieの分割や遮断の設定の影響を受けやすい。すべてのサイトが問題なく表示されるのに、社内の認証画面だけで止まる、という形で現れる。乗り換える日に確かめるのではなく、その前の週に1度通しておきたい。

次が、遮断の二重掛けだ。既定で遮断が入っている製品に、同じ役割の機能拡張を重ねて入れると、1つのページに2つの遮断の仕組みが働く。症状は「もっと遮断される」ではなく「ページが壊れる」で、しかも原因の切り分けがしにくい。どちらか一方に寄せるのが安全になる。

3つ目が、埋め込みの扱いだ。Braveには、GoogleやFacebookでのログイン、埋め込まれた投稿などを遮断する設定がある。社内の資料にこうした埋め込みが含まれている場合、遮断の設定を用途に合わせて緩める判断が要る。設定画面から調整できるので、壊れたときに戻せる場所を知っておけばよい。

有料になるのは本体ではない

Braveの本体は無料で、macOSでもWindowsでもLinuxでも使える。費用が発生するのは、本体とは別に提供されている追加のサービスのほうだ。

Brave VPNは月9.99ドル、年払いなら年99.99ドルで、1つの契約でmacOS、Windows、Android、iOSを合わせて最大10台まで使える。ブラウザの中だけでなく端末全体に効く作りになっている。公式の説明では、通信の記録を保存しない方針を採っていて、その主張はソフトウェアと基盤の両方について外部の監査を受けたと書かれている。

内蔵のAIであるLeoは、無料で使える範囲と、より多くのモデルを使える有料の範囲に分かれている。公式のページでは、Leoは会話を保存したり学習に使ったりしない、アカウントやログインは要らない、と説明されている。開いているページやPDFを対象に要約や翻訳を頼める作りで、一時的な会話は履歴に残さない設定も用意されている。

ブラウザの乗り換えを検討する段階では、本体の無料と追加サービスの有料を分けて見ておくと、比較がずれない。

試すなら、最初の設定を先に決めておく

評判を読んで試す気になったとき、初日に決めておくと1か月後まで持ちやすい項目がある。逆にここを後回しにすると、原因の分からない不調に当たって戻すことになりやすい。

  • 同期の符号を控える場所を決める。Braveの同期はアカウントではなく符号で輪をつなぐ方式なので、端末が使えなくなった時点で符号が手元にないと復旧できない。パスワード管理の中に控えておくのが素直
  • 遮断の役割を一本化する。既定の遮断を使うなら、同じ役割の機能拡張は入れない。逆に使い慣れた拡張を残すなら、既定の遮断をそのサイトで緩める
  • 検索の既定を初日に決める。既定の検索は無料のブラウザにとって主要な収益源で、そのため最初から選ばれている。仕事で使う言葉に合う結果が出るかどうかは、数日使わないと分からない
  • 戻れる状態を作る。ブックマークとパスワードは、乗り換える前に書き出しておく。戻す判断を軽くしておくほど、試す判断も軽くなる

戻せる状態を先に作ることが、乗り換えを試すうえでいちばん効く準備になる。

Braveを入れても変わらないこと

ここが、仕事で使う読者にとっていちばん重要な部分になる。BraveはChromiumを土台にしているため、土台の側の性質はそのまま引き継いでいる。

アカウントの分離は、Chromeと同じプロファイルの仕組みで行う。Chromeのヘルプはその範囲をこう説明している。

プロファイルを使用すると、Chrome 上の情報全体(ブックマーク、履歴、パスワードなど)を、プロファイルごとに分離できます。 出典: support.google.com

確実に動く仕組みだが、代償は窓の数に出る。プロファイルは別々の窓で開くため、取引先ごとにアカウントが分かれていて5つ抱えているなら、窓が5つになる。そしてその1つずつの中でタブが増えていく。Braveに変えても、この構造は変わらない。

通知も同じだ。Chromium系はメモリを取り戻すために裏のタブを休ませる。休んでいるタブは接続していないので、チャットの通知は前へ出したときにまとめて届く。会議の直前の連絡が30分遅れるという形の損失は、遮断の性能とは無関係に残る。

macOSの側の層も変わらない。Webの通知は、ブラウザの中でサイトごとに許可を出したうえで、システム設定の「通知」でそのブラウザ自体にも許可が要る。システム側が抜けていると、そのブラウザの全サイトが同時に黙る。

つまり、Braveの評判で語られている長所は、読む体験と追跡への対策に集中している。Webアプリを10個開いて働く人が困っているのは、その手前にある「探す」と「取りこぼす」のほうで、そこはブラウザを変えても動かない。

評判を、自分の条件に翻訳する

判断のしかたを条件に落とすと、次のようになる。

  • 1日の大半が読むための閲覧なら、Braveの既定の遮断は素直に効く。乗り換えの価値がある
  • 1日の大半が業務用のWebアプリなら、遮断で変わる部分は小さい。効いてくるのは同期の方式と権限の細かさで、ここに価値を感じるかで決まる
  • 抱えているアカウントが3つ以上あるなら、Braveに変えても窓の数の問題は残る。分離の設計を先に決めるほうが順番として正しい

3つ目に当たる場合、探す先はブラウザの比較ではなく、分ける単位の設計になる。用途ごとに独立した場所を作り、その中に必要なサービスだけを置く考え方は、ワークスペースのページで整理されている。どの機能がログインの分離を解いていて、どの機能がタブの整理を解いているのかは、できることのページの分け方を見ると輪郭がつかみやすい。分けたい相手が特定のサービスなら、専用の項目として用意されているかどうかが実際の使い勝手を決めるため、使えるアプリの一覧を先に見ておくと無駄が減る。

評判の記事に出てこない、費用と無料枠の見方

Braveの評判が費用の話にならないのは、本体が無料だからだ。無料の製品どうしを価格で並べても差は出ない。差が出るのは、無料で提供し続けるための原資の置き方と、無料で使える範囲の線の引き方のほうになる。

Braveの原資は、独自の広告の仕組みと、別売りの追加サービスに置かれている。既定で広告を遮断できるのは、遮断しても成立する収益の形を持っているからだ。既定の設定は思想ではなく構造から決まるという見方をすると、各社の説明が読みやすくなる。

サービスごとに独立した場所を持つ方式の道具では、費用の考え方が変わる。線を引く場所が製品ごとに違うためだ。Waveboxは無料の枠を2つのグループと2つのスペースで区切っていて、有料版は年払いで月8.33ドル、チーム向けは1人あたり月12.50ドルから始まる。無料の枠が2つなら、抱えているアカウントが3つある時点で有料の判断が要る。この線の引き方の違いはWaveboxとの比較のページに整理されていて、費用の全体像は料金のページで確認できる。月額の数字を並べるより、無料の枠に何が入るかを先に見たほうが実態に近づく。残る細かい疑問はよくある質問のページに集まっている。

よくある質問

Braveは仕事用のブラウザとして使えますか?

使えます。Chromiumが土台なので、Chrome ウェブストアの拡張機能はおおむねそのまま動き、業務用のWebアプリの表示でも差は出にくいです。確かめておきたいのはシングルサインオンの画面で、認証はリダイレクトを重ねる仕組みのため、遮断やCookieの扱いの影響を受けることがあります。乗り換える前の週に1度通しておくと安全です。

Brave Rewardsは有効にしないと使えませんか?

本体の利用に影響はありません。公式の説明では、既定の状態ではBraveは訪れたページの広告とトラッカーを遮断していて、Braveの広告を見ることを選んだ場合にトークンを受け取れる、という作りになっています。会社の端末では、個人の資産を扱う構図になるため、有効にしない判断が素直です。

Braveは無料ですか。有料の部分はどこですか?

本体は無料です。有料になるのは追加のサービスで、Brave VPNは月9.99ドルまたは年99.99ドル、1つの契約でmacOS、Windows、Android、iOSを合わせて最大10台まで使えます。内蔵のAIであるLeoにも、無料で使える範囲とより多くのモデルを使える有料の範囲があります。

Braveに変えると、複数アカウントの切り替えは楽になりますか?

仕組みはChromeと同じプロファイルなので、切り替えの手数は変わりません。プロファイルは別々の窓で開くため、アカウントが5つあれば窓も5つになります。窓を増やさずに分けたい場合は、Firefoxのコンテナのようにタブ単位で分ける方式か、サービスごとに独立した場所を持つ方式の道具を検討することになります。

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