WebアプリをMacのデスクトップアプリのように使う

ブラウザのタブで動かしているGmailやSlackやNotionを、Macのアプリのように独立した窓で開きたい。web アプリ デスクトップアプリ化という言い方で探されているのは、おおむねこの要望だ。方法はいくつもあるように見えて、実際には3つの系統に分かれている。ここでは、それぞれが公開資料で何を保証しているのかを並べて、どの系統を選べばよいかを判断できる形にする。

アプリ化の手段は、この数年で標準機能になった

以前は、Webサービスをアプリのように扱うには専用のラッパーを用意するか、有志が作った外部ツールを使うしかなかった。いまは、Macにもとから入っているブラウザにその機能がある。

Appleは macOS Sonoma 14 から、Safariで開いているページをそのままアプリとして保存できるようにした。Googleも Chrome に「ページをアプリとしてインストール」という項目を用意していて、対応しているサイトではアドレスバーの右端にインストールの記号が出る。加えて、GmailやSlackのように利用者の多いサービスは、提供元が自前のデスクトップアプリを配っている。

つまり、同じ「アプリ化」という言葉の下に、素性のまったく違う3つの選択肢が並んでいる状態になっている。どれを選んでも窓は独立するが、セッションの扱い、通知の出方、更新の管理、拡張機能の可否がそれぞれ違う。ここを区別しないまま手当たり次第に試すと、同じサービスがDockに3つ並ぶといった状態になりやすい。

3つの系統の違いを、先に押さえる

  • ブラウザの標準機能で作る方式。SafariのDockに追加、Chromeのアプリとしてインストールがこれにあたる。導入は数十秒で終わり、追加の費用はかからない
  • 提供元の公式アプリを入れる方式。Slack、Notion、ChatGPTなどが配っている。そのサービスに最適化された機能が使えるが、サービスの数だけアプリが増える
  • 複数のWebアプリを1つの窓の中で扱う方式。アプリ集約ブラウザと呼ばれる種類の道具がこれにあたる。個別のアプリを増やさずに窓を分けられる

判断の軸は、対象のサービスがいくつあるかと、同じサービスを複数のアカウントで使っているかの2点に集約される。対象が1つ2つなら標準機能で足りる。5つを超えてくると、どの方式でも管理の手間が無視できなくなる。

SafariでDockに追加すると、何が起きるか

Safariの手順は短い。使いたいページを開き、メニューバーの「ファイル」から「Dockに追加」を選ぶ。共有ボタンからも同じ項目に届く。名前を入力して追加すると完成する。

作られたアプリの実体は、ホームフォルダの中のアプリケーションフォルダに保存される。DockからもSpotlightからも起動できる。ここで重要なのは、そのアプリがSafari本体とどういう関係になるかだ。

A web app functions independently of Safari. It shares no browsing history, cookies, website data, or settings with Safari. In this way, it keeps your browsing separate, similar to using a Safari profile. What you do in a web app stays in the web app. 出典: support.apple.com

履歴もCookieも設定も共有しない、と明記されている。同じサービスの別アカウントを、Safari本体と作ったアプリとで開き分けられるという意味になる。

作ったアプリは設定も持つ。アプリ名、URL、アイコン、ツールバーの表示有無、タイトルバーの色の追従を変更できる。プライバシーのタブからそのサイトのデータを消せて、機能拡張のタブでSafariの拡張機能を個別に有効にできる。通知については、未読の件数がDockのアイコンに赤いバッジとして出る。ただしこのバッジを使うには、通知の許可をSafari側ではなく、作ったアプリの中で答える必要があるとAppleは案内している。削除はホームフォルダのアプリケーションフォルダを開いて、ゴミ箱に入れるだけだ。

Chromeでアプリとしてインストールする場合

Chromeの手順も短い。対象のページを開き、右上の「その他」から「キャスト、保存、共有」を開き、「ページをアプリとしてインストール」を選ぶ。対応しているサイトでは、アドレスバーの右にインストールの記号が直接出る。

Chromeのヘルプは、こうしてインストールしたものを一般的なWebアプリとして説明している。オフラインでの閲覧に使える保存領域、通知、ファイルシステムへのアクセス、アイコンのバッジといった追加機能を持つものがある一方で、オフラインで完全に動くとは限らないとも書かれている。サイト側がどこまで作り込んでいるかに依存するということだ。

Chrome側にあってSafari側に無い仕組みとして、名前とアイコンの更新の扱いがある。インストールしたWebアプリが表示名やアイコンを変えようとすると、Chromeが利用者に通知する。受け入れる、無視する、削除するのいずれかを選べる。見覚えのない変更が起きた場合は削除するよう、ヘルプには注意が書かれている。窓の中から設定に入る経路も用意されていて、アプリの窓の右上のメニューから「アプリ情報」を開くと、そのサイトの権限の設定に届く。

提供元の公式アプリを入れるという選択

3つめの系統が、サービス提供元が配っている専用アプリだ。例としてChatGPTのmacOSアプリを見ると、必要な条件と得られるものがはっきり書かれている。

システム要件は macOS 14 と、Apple Silicon(M1以降)またはIntelプロセッサ。古いOS向けの版は出さないと明記されている。配布ページは chatgpt.com/download で、開いたMacがApple SiliconかIntelかを判定して該当するインストーラを出す。起動中は ⌥+Space の組み合わせで問い合わせ用の入力欄を呼び出せる。

公式アプリの利点は、こうしたOS寄りの機能が使えることにある。グローバルなキーボードショートカット、他のアプリとの連携、専用の通知の出し方などは、ブラウザの標準機能で作ったアプリでは実現できない。一方で欠点も明確で、サービスの数だけアプリが増える。6つのサービスを公式アプリで揃えれば、更新の管理も6つ分になる。使っているサービスのうち、どれが公式アプリを出しているかは使えるアプリのような対応一覧のページで先に把握しておくと、無駄な探索が減る。

アプリ化すると、代わりに使えなくなるもの

窓が独立する利点の裏側に、失うものがある。ここを知らずに切り替えると、数日後に元へ戻すことになる。

いちばん大きいのはタブだ。SafariのWebアプリのツールバーは、戻る、進む、共有、そして入れている拡張機能のボタンだけという構成になっている。ブックマークもタブも無い。Appleはこの点について、Safariの機能が必要になったら共有ボタンから「Safariで開く」を選んで移ればよいと案内している。裏を返せば、リンクを次々に開いて読み比べるような使い方には向かない。1つのサービスの中で完結する作業に絞って使う道具だと考えたほうがよい。

次に検索や履歴の横断ができなくなる。Safari本体とデータを共有しないという設計は、アカウントを分けるうえでは利点だが、以前に見たページを履歴からたどる操作はWebアプリの中では効かない。

拡張機能の扱いも変わる。SafariのWebアプリは設定の機能拡張タブで個別に有効化する形になっていて、Safariで入れている拡張機能が自動的に全部効くわけではない。Chromeでインストールした場合も、窓の中で拡張機能のボタンをどう出すかはブラウザ側の作りに従う。広告の遮断やパスワード管理を拡張機能に頼っているなら、アプリ化した窓でそれが効くかどうかを先に試しておく必要がある。

数が増えたときに、後から効いてくること

アプリ化そのものは簡単なので、気づくと数が増えている。増えたときに出てくる問題は、方式を問わず共通している。

まずDockが埋まる。Webアプリも通常のアプリと同じ枠を使うので、アイコンが増えるほど目的のものを探す時間が伸びる。次にアプリ切り替えの一覧が長くなる。Command+Tabの並びにWebアプリも入るため、切り替えの一覧を何度も往復することになる。

もうひとつは、同じサービスの複数アカウントの扱いだ。SafariのWebアプリはSafari本体とデータを共有しないと明記されているが、同じURLから作ったWebアプリを2つ用意して別々のアカウントで使えるかどうかは、サイト側の仕様にも左右される。公式アプリの場合は、そのアプリが複数アカウントの同時利用に対応しているかどうかで決まる。対応していないサービスでは、結局ログインし直す運用に戻る。

そして更新の管理がある。ブラウザの標準機能で作ったものは、元のブラウザが更新されれば中身も更新される。公式アプリは個別に更新が走る。台数が増えると、更新の通知が別々のタイミングで飛んでくる状態になる。

何を基準に選ぶかを、公開資料から整理する

3つの系統は優劣ではなく、向いている状況が違う。整理すると次のようになる。

方式 向いている状況 制約
Safariの「Dockに追加」 対象が少数。Safari本体と別のアカウントで使いたい macOS Sonoma 14 以降が必要。タブやブックマークは使えない
Chromeの「アプリとしてインストール」 普段からChromeを使っている。拡張機能の資産がある 追加機能の範囲はサイト側の作り込みに依存する
提供元の公式アプリ そのサービスを1日中使う。OS寄りの機能が要る サービスの数だけアプリと更新が増える
Webアプリをまとめるブラウザ 対象が多い。同じサービスを複数アカウントで使う 道具そのものを1つ覚える必要がある

4つめの方式が候補に入るのは、対象が増えたときだ。アプリごとに独立したワークスペースを持てる作りになっていれば、Dockのアイコンを増やさずにセッションを分けられる。この種の道具が具体的に何を分けているのかはできることにまとめられていて、アカウントや案件の単位で作業の場を切り替える考え方はワークスペースの説明が分かりやすい。

候補が複数あって迷う場合は、製品どうしを1対1で並べた資料のほうが判断が早い。無料でどこまで使えるかという線の引き方は製品ごとに違うため、Waveboxとの比較のように条件を並べたページと、料金のページを先に読んでおくと、試す順番を決めやすくなる。導入前の疑問がまとまっているよくある質問も、対応しているサービスの範囲を確かめる場所として使える。

判断の順序としては、まず対象のサービスを数え、次に同じサービスで使っているアカウントの数を数える。この2つの数字が小さければ標準機能で終わる話であり、大きければ個別のアプリを増やす方式は早い段階で行き詰まる。方法を調べる前に、この2つを数えるのが近道になる。

よくある質問

WebアプリをMacのアプリにすると、元のブラウザのログイン状態は引き継がれますか?

SafariでDockに追加した場合、Appleは作られたWebアプリが履歴もCookieもサイトのデータも設定もSafariと共有しないと明記している。したがってログイン状態は引き継がれず、Webアプリの中で改めてログインする形になる。この分離は、同じサービスの別アカウントを開き分けたいときには利点として働く。

アプリ化に費用はかかりますか?

SafariのDockに追加も、Chromeのアプリとしてインストールも、ブラウザの標準機能なので追加の費用はかからない。提供元の公式アプリも多くは無料で配布されている。費用が発生するのは、複数のWebアプリを1つの窓でまとめて扱う種類の道具を使う場合で、その多くは無料で使える範囲と有料の範囲が分かれている。

通知はアプリ化しても届きますか?

SafariのWebアプリでは、未読の件数がDockのアイコンに赤いバッジとして出る。ただしこの機能を使うには、通知の許可をSafari本体ではなくWebアプリの中で答える必要があるとAppleが案内している。Chromeでインストールした場合も通知に対応するものがあるが、範囲はサイト側の作り込みによって変わる。

古いMacでもアプリ化できますか?

SafariでページをDockに追加する機能は macOS Sonoma 14 以降が必要になる。提供元の公式アプリにも要件があり、たとえばChatGPTのmacOSアプリは macOS 14 と Apple Silicon(M1以降)またはIntelプロセッサを要件としていて、それより古いOS向けの版は出さないと明記されている。古い環境ではChromeのインストール機能が選択肢になる。

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