Chromeのゲストモードを使う|一度きりのログインに向く場面

chrome ゲスト モードを調べる場面は、たいてい人に端末を貸すか、人の端末を借りるかのどちらかだ。ところが実際に開いてみると、シークレットモードとの違いが分かりにくく、プロファイルを追加する話とも混ざってくる。3つはどれも閲覧の記録の扱いを変える仕組みだが、想定している場面が別になっている。ここでは公式のヘルプに書かれている挙動を軸に、ゲストモードが向く場面と向かない場面、終了したときに何が消えるのか、常にゲストで起動させる方法までを順に並べる。

ゲストモードとシークレットモードの線引き

同じ「記録が残らない」という言い方でまとめられているが、想定している相手が違う。この線引きは公開されている解説でも明確に書かれている。

“ゲスト モード”とは、端末に閲覧履歴が残らないようにする機能。同様の機能として“シークレット モード”があるが、“シークレット モード”は端末のメインユーザーが一時的に利用することが想定されているのに対し、“ゲスト モード”は端末を他のユーザーに貸したり、公共の端末で利用する際に用いる点が異なる。そのため、“ゲスト モード”ではブックマークをはじめとするパーソナルな機能は省かれている。また、「Google Chrome」のカスタマイズも大幅に制限されており、設定画面で変更できるのはデフォルトの検索エンジンぐらいだ。 出典: forest.watch.impress.co.jp

Chromeのヘルプ側の説明も同じ向きになっている。シークレットモードでは閲覧履歴は保存されないが、自分の情報や設定は表示される。一方でゲストモードでは、ほかのChromeプロファイルの情報を表示したり変更したりすることができない。つまりシークレットモードは自分のための仕組みで、ゲストモードは他人のための仕組みだ。

この違いは実務での選び方に直結する。自分のMacで買い物の記録を残したくないだけならシークレットモードで足りる。人にMacを貸して調べ物をしてもらうなら、自分のブックマークやパスワードに触れられない形のほうが安全なので、ゲストモードを選ぶ。

開き方と、終わったときに消えるもの

開く手順は短い。Chromeを開き、右上のプロフィールを選び、ゲストプロファイルを開く。これだけで別の窓が立ち上がる。

終わり方は2通りある。Macでは左上の閉じるボタンで窓を閉じる形と、右上のプロフィールからメニューを開き、ゲストモードを終了を選ぶ形だ。どちらでも、閲覧履歴、Cookie、サイトデータは削除される。ヘルプには、ゲストモードを終了すると閲覧アクティビティはパソコンから削除されると書かれている。

3つのものが消えると覚えておくと、貸したあとの確認が楽になる。逆に言えば、消えるということは次回に持ち越さないということでもある。ログインしたサイトのセッションも残らないため、同じ相手に何度も貸すなら、そのたびにログインしてもらう形になる。

保存したものの扱いにも違いがある。シークレットモードでは、追加したブックマークや保存したリーディングリストの項目は通常のセッションで使えて、ダウンロードしたファイルも削除するまで端末に残る。ゲストモードはブックマークなどのパーソナルな機能そのものが省かれているため、そこに保存するという発想が最初からない。ダウンロードしたファイルについては、端末の保存先に残る点は同じなので、貸したあとに確かめる項目として覚えておくとよい。

消えないもの、それでも相手に分かること

記録が消えるのは、あくまでその端末の中だけだ。ここを取り違えると、安全だと思って扱ってよい範囲を広く見積もってしまう。

Chromeのヘルプには、ゲストモードでもデータが知られる可能性がある相手が並べられている。

  • アクセス先のウェブサイト。そこで使われている広告やリソースも含む
  • ログインしたウェブサイト
  • 雇用主、学校、または使用するネットワークの管理運営元
  • 利用しているインターネットサービスプロバイダ
  • 検索エンジン

加えて、デバイスの所有者はアクティビティや位置情報などのデータにアクセスできる可能性があるとも書かれている。つまり、他人の端末を借りてゲストモードで開いたとしても、その端末の持ち主に対して完全に隠れるわけではない。ヘルプ自身が、プライベートな情報を扱うウェブサイトには信頼できるデバイスでのみログインするようにと注意している。

この前提を踏まえると、使い分けの線が引ける。共有の端末で銀行やクラウドの管理画面に入るのは、ゲストモードを使っても避けたほうがよい。調べ物や地図の確認、印刷のための表示といった用途が噛み合う。

起動したときから常にゲストにする

一時的に開くのではなく、その端末では常にゲストモードしか使わせないという設定もある。図書館や受付に置く共用の端末で使われる形だ。

米Googleは3月11日(現地時間)、「Google Chrome」の公式ヘルプコミュニティで、デスクトップ版「Google Chrome」を“ゲスト モード”で実行するエンタープライズポリシーとコマンドラインオプションを追加したと発表した(ポリシーの方が優先)。「Google Chrome」を常に“ゲスト モード”で起動するように構成することもできる。 出典: forest.watch.impress.co.jp

この発表は2020年3月のもので、以降この2つの経路が使える状態になっている。1つは管理者が配る設定としてのポリシー、もう1つは起動時に渡すオプションで、記事では起動オプションにguestを指定する形が示されている。両方を指定した場合はポリシーのほうが優先される。

個人のMacで自分だけが使っているなら、この設定に手を入れる必要はない。関係してくるのは、来客用の端末を用意する立場や、社内の共用機を管理する立場になる。Chromeのポリシーの一覧は公開されており、ゲストモードに関する項目もそこに並んでいる。設定を配る仕組みを持っているなら、端末ごとに手作業で設定するより確実になる。

ゲストモードが出てこない場面

開こうとしてもゲストプロファイルが見つからないことがある。原因は2つ挙げられている。

1つは、監視対象ユーザーが登録されている場合だ。ヘルプには、パソコンに監視対象ユーザーが登録されていて、監視対象ではない通常のプロフィールがすべてロックされると、ゲストモードは使用できなくなると書かれている。家族で1台を共有していて、子ども用の設定を入れている端末では、この条件に当たることがある。

もう1つは、Chromebookを使っている場合になる。Chromebookではゲストモードを使用できず、代わりにChromebook自体をゲストとして使う仕組みが用意されている。ブラウザの中の機能ではなく、端末のログイン画面の側で選ぶ形だ。Macで探していた手順をそのまま当てても見つからないので、端末の種類を先に確かめる順番になる。

会社から配られたMacで見つからない場合は、管理者が配っている設定でゲストモードを無効にしている可能性がある。この場合は端末側の操作で戻せないため、社内の担当者に確かめることになる。

1台を家族や来客と共有するときの組み立て

同じMacを複数の人が使う場合、選べる層が3つある。どの層で分けるかを先に決めると、あとで作り直す手間が出ない。

いちばん外側はmacOSのユーザアカウントになる。書類のフォルダもアプリの設定も分かれるため、家族で日常的に使い分けるならここで分けるのが素直だ。切り替えにはログインの操作が入るので、数分の貸し借りには重い。

真ん中はChromeのプロファイルだ。ブックマーク、履歴、パスワード、拡張機能がプロファイルごとに分かれ、窓を同時に開いたままにできる。毎日使う相手が決まっているなら、その人の分のプロファイルを1つ作っておくと、次回も設定が残る。

いちばん内側がゲストモードになる。設定を残さないため、来客や一度きりの貸し出しに向く。逆に、同じ相手に週に何度も貸すなら、毎回同じ設定を入れ直すことになるので、プロファイルを1つ作る側に寄せたほうが早い。

判断の目安は、その人がまた使うかどうかだ。また使う相手には場所を用意し、使い捨ての相手には残らない窓を渡す。この2つを混ぜると、来客用のプロファイルが増え続けて管理できなくなる。増やしたプロファイルを消す場合は、そのプロファイルのブックマークや履歴、パスワードも一緒に消える点を押さえておく。

一度きりには向き、毎日には向かない

ここまでの挙動を並べると、向く場面と向かない場面がはっきり分かれる。

向くのは、1回で終わる用途だ。取引先のMacを少し借りて資料を開く、来客に検索してもらう、家族に自分のMacを貸す、外出先で共用の端末から印刷する。どれも終わったら忘れてよい操作なので、消えることが利点になる。

向かないのは、毎日繰り返す用途になる。2つ目のアカウントでメールを見る、別の組織のチャットに入る、副業用の管理画面を開く。これらは毎回ログインし直す形になり、しかもパスワードの管理も自動入力も効かない。2段階認証を設定しているサービスなら、そのたびにコードの入力まで発生する。安全のための仕組みが、日々の手数として跳ね返る。

毎日使う2つ目のアカウントには、プロファイルを分ける形が噛み合う。Chromeはプロファイルごとにブックマーク、履歴、パスワード、拡張機能を分けて持てるため、仕事用と私用を別のプロファイルに置けば、ログインしたままで切り替えられる。ゲストモードは記録を残さないための仕組みで、記録を分けるための仕組みではない。この区別を押さえておくと、どちらを開くかで迷わなくなる。

毎日開くものをどこに置くか

プロファイルを分けても、残る詰まりが1つある。切り替えの操作そのものだ。Chromeのプロファイルは同時に窓を開けるが、窓はどれも同じ見た目で、同じサービスを2つのアカウントで開いていると、タブの文字列がほとんど同じになる。目で探す時間が毎回かかり、返信の相手を間違える事故もここで起きる。

この形にはWebアプリを窓の単位で持つ考え方が噛み合う。アプリごとに窓を分けて常時ログインのまま並べる仕組みはワークスペースに整理されており、アプリごとに独立したワークスペースを与えると、同じサービスの2つ目のアカウントが別の置き場所として固定される。名前で探すのではなく位置で指定できるため、切り替えの操作が視線の移動に置き換わる。通知を1か所に集める形や、アプリごとに拡大率と消音を覚える形はできることに並んでいる。

似た役割の道具は複数あり、拡張機能を持ち込めるかどうかや、分け方の細かさで差が出る。項目ごとに並べたものがWaveboxとの比較とSidekickとの比較にあるので、いくつのアカウントを抱えているかで読み比べるとよい。対応しているサービスの一覧は使えるアプリにあり、無料で使える範囲と有料になる線は料金にまとまっている。判断の材料は機能の数ではなく、毎日開く5つか6つのサービスが載っているかどうかになる。細かい疑問はよくある質問に集めてある。

よくある質問

ゲストモードとシークレットモードはどう使い分けますか?

シークレットモードは端末のメインユーザーが一時的に使うことを想定した仕組みで、閲覧履歴は残らないものの自分の情報や設定は表示されます。ゲストモードは端末を他の人に貸したり公共の端末を使う場面のための仕組みで、ほかのプロファイルの情報を表示したり変更したりできません。人にMacを貸すならゲストモード、自分の記録を残したくないだけならシークレットモードになります。

ゲストモードを終了すると何が消えますか?

閲覧履歴、Cookie、サイトデータが削除されます。公式のヘルプでは、ゲストモードを終了すると閲覧アクティビティはパソコンから削除されると説明されています。終了の操作は、Macでは左上の閉じるボタンで窓を閉じるか、右上のプロフィールからゲストモードを終了を選ぶ形です。なおダウンロードしたファイルは保存先に残るため、貸したあとに確かめる項目になります。

ゲストモードなら相手に何も知られませんか?

端末に残らないだけで、記録が一切残らないわけではありません。ヘルプには、アクセス先のウェブサイト、ログインしたウェブサイト、雇用主や学校やネットワークの管理運営元、インターネットサービスプロバイダ、検索エンジンにデータが知られる可能性があると書かれています。デバイスの所有者がアクティビティや位置情報にアクセスできる場合もあるため、機密性の高いサイトへのログインは信頼できる端末に限る形になります。

2つ目のアカウントを毎日使うならゲストモードで足りますか?

毎日の用途には向きません。終了のたびにログインの状態が消えるため、開くたびにパスワードと2段階認証のコードを入れ直す形になり、自動入力も効きません。同じサービスを別のアカウントで日常的に使うなら、Chromeのプロファイルを分けてログインしたまま持つ形か、サービスごとに窓を分けて並べられる道具に寄せるほうが手数が減ります。

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