Chromeのハードウェアアクセラレーションを切る判断と手順

chrome ハード ウェア アクセラ レーションという設定は、困ったときの対処として名前が挙がる一方で、何をしている機能なのかが説明されないまま「とりあえずオフ」と勧められがちである。画面のちらつきや動画の引っかかりに効くことがあるのは事実だが、効く症状と効かない症状がはっきり分かれている。この記事では、この設定が何を切り替えているのか、オフにする価値がある場面、手順と戻し方、そして切っても直らないときに見る場所までを順に整理する。

ブラウザが画面を描くときに、何を誰に任せているのか

いまのブラウザは、ページの見た目をCPUだけで描いていない。GPUに描画と合成の一部を任せることで、速さと消費電力の両方を改善している。Chromiumの設計文書は、この仕組みの利点を三つに整理している。

第一に、大量の画素を扱う描画と合成では、GPUのほうがCPUよりもはるかに効率がよい。速さだけでなく消費電力の面でも差が出る。第二に、すでにGPU側にあるもの、たとえばハードウェアで復号している動画や、2D描画の面、3D描画の面については、CPU側へ読み戻す処理が不要になる。読み戻しは重い処理であり、これを省けることが効いている。第三に、CPUとGPUが同時に働けるため、描画の流れ全体が詰まりにくくなる。

つまりハードウェアアクセラレーションは「速くするための追加機能」ではなく、描画の担当をどこに置くかという構造の選択である。有効なときは多くの場面で有利に働く。ただし担当がGPUへ移る以上、GPUとその制御ソフトウェアに不具合があれば、その影響も画面に出る。この裏表が、オフにするという対処が語られる理由である。

どの要素がGPU側の扱いになるかは決まっている。設計文書では、三次元の変形や遠近の指定がある要素、ハードウェア復号を使う動画、三次元または加速された二次元の描画面、不透明度や変形の動きを持つ要素、加速された画像効果などが挙げられている。派手な動きのあるページで症状が出やすいのは、この区分によるものである。

名前が揺れるので、探す場所を先に決める

この設定について検索すると、呼び名が一つに定まっていないことに気づく。実際に次のような疑問が投げられている。

ハードウェアアクセラレーション、グラフィックアクセラレーションとは何ですか?同じものですか? 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

Chromeの公式の案内では「ハードウェア アクセラレーションが使用可能な場合は使用する」という文言で説明されている。画面に表示される文言はバージョンによって変わることがあるため、名前を暗記するよりも、場所を覚えるほうが確実である。設定を開き、下の方にある「システム」の欄を見る。その中に、この趣旨の項目が一つだけ並んでいる。

手順は公式のChrome がクラッシュする、起動しないなどの問題を解決するという案内に示されている。流れは次の通りである。

  • 右上のその他アイコンから「設定」を開く
  • 下部の「システム」をクリックする
  • 「ハードウェア アクセラレーションが使用可能な場合は使用する」をオフにする
  • Chromeを再起動する

再起動が必要な点に注意したい。切り替えた直後の画面では判断できないため、閉じて開き直してから症状を見る。

切り替える前に、症状の記録を取る

この設定は、効いたかどうかの判定が曖昧になりやすい。画面の描画は体感に左右されるため、「なんとなく良くなった気がする」で終わると、次に同じ症状が出たときに同じ調べ物を繰り返すことになる。切り替える前に、次の四つを短く書き留めておきたい。

  • 症状が出る場面。どのサイトの、どの操作で起きるのか。動画の再生中なのか、スクロールの途中なのか、ウィンドウを動かしたときなのか
  • 出る頻度。毎回なのか、数十分使ったあとなのか。時間の経過で悪くなるなら、描画の担当よりも資源の枯渇が疑わしい
  • そのときの環境。電源につないでいるか、外部ディスプレイをつないでいるか、他に重いアプリを動かしているか
  • 他のアプリでも起きるか。動画の再生や地図の表示がChrome以外でも崩れるなら、原因はChromeの外にある

四つめは特に効く。Chrome以外のアプリでも同じ崩れが出ているなら、この設定を触っても解決しない。逆に、Chromeだけで起きていて他のアプリでは起きないなら、切り替えを試す価値がある。

記録は手帳でもメモアプリでもよい。大事なのは、切り替えの前と後で同じ条件を並べられるようにしておくことである。条件がそろっていない比較は、判断の材料にならない。

オフにする価値がある症状と、効かない症状

この設定を切って改善が見込めるのは、描画の担当がGPU側にあることで症状が出ている場合である。公式の案内でも、パソコンのハードウェアとChromeの連携で問題が起きている可能性への対処として紹介されている。具体的には次のような状態が当てはまる。

  • 動画の再生中に画面がかくつく、または一瞬止まる
  • ウィンドウやページの一部が黒くなる、残像が残る、ちらつく
  • スクロールの途中で表示が崩れる
  • 特定のページでChromeが固まる、あるいは落ちる

一方で、次のような症状に対しては筋が違う。

  • 起動してから最初の画面が出るまでが長い
  • タブを多数開いたときに全体がもたつく
  • メモリの使用量が多い
  • 特定のサイトだけ読み込みが遅い

これらはタブの数、拡張機能、回線、サイト側の事情に原因が寄る。描画の担当を変えても改善しない。むしろオフにすると、それまでGPUが担っていた処理がCPUへ戻るため、動画の再生やスクロールが重くなる可能性がある。切る前に、自分の症状がどちらの側にあるのかを見極めたい。

切り替えたあとの確かめ方と、元に戻す判断

オフにしたら、同じ操作をもう一度して比べる。判断の材料をそろえるには、次のように進めると迷いが減る。

  • 症状が出るページを一つ決めておく。動画、地図、図の多い資料などが分かりやすい
  • オフにして再起動し、同じページで同じ操作をする
  • 症状が消えたか、変わらないか、別の重さが出たかを記録する
  • 変わらない場合は、オンに戻す

「変わらないなら戻す」という手順を最初に決めておくことが大事である。原因でなかった設定を切ったまま使い続けると、GPUの利点だけを失った状態になる。設定を戻す操作は、オフにするときと同じ場所で同じ項目をオンにするだけで済む。

なお、切り替えの効果は使っているMacの世代や接続しているディスプレイの構成でも変わる。外部ディスプレイを二台つないだ状態だけで症状が出る場合は、ディスプレイの構成を変えて再現するかどうかも見ておく。

パソコン向けの設定であることを押さえておく

スマートフォンのChromeで同じ設定を探しても見つからない。公式の案内は、iOSやAndroidのモバイル機器ではChromeのパフォーマンスを細かく設定できないと明記しており、描画の担当を選ぶ項目も用意されていない。手元のスマートフォンで動画がかくつく場合は、別の原因を探すことになる。

この違いは、同じサービスを扱っていても入口ごとに触れる範囲が変わることの一例である。パソコン向けのChromeには設定の階層があり、モバイル向けには無い。同じことは、後で触れる複数サービスの並べ方にも当てはまる。

切っても直らないときに見る三つ

描画の担当を変えても症状が残る場合、順番を変える。

第一に、Chromeの更新である。公式の案内は、動作を速くする手順の最初のステップとして更新を置いている。長く更新していない端末では、ここだけで解決することがある。

第二に、拡張機能である。右上のその他アイコンから「拡張機能」に進み、「拡張機能を管理」を開いて、使っていないものを無効にする。画面の描画に手を入れる種類の拡張機能は、ちらつきや崩れの原因になりやすい。一度すべて無効にして症状が消えるなら、一つずつ戻して特定できる。

第三に、実際に資源を使っているものを見ることである。その他アイコンから「その他のツール」に進んで「タスク マネージャ」を開き、「メモリ使用量」で並べ替える。公式の案内は、画面に出ていないのに動き続けている「バックグラウンド ページ」という項目を探すよう勧めている。不要なものは選んで終了できるが、保存していない作業は失われるため、入力中のフォームがあるときは避ける。

四つめの手として、設定を初期状態へ戻す方法もある。公式の案内は、Chromeの設定をデフォルトに戻すとインストール直後の状態になり、動作が軽くなる可能性があると説明している。長く使ったプロフィールには、試して外し忘れた設定や使わなくなった仕組みが積もる。実行する前に、ブックマークとパスワードの同期が効いていることを確かめておく。

このあたりの設定はChrome のパフォーマンスをカスタマイズするという案内にまとまっており、使っていないタブを無効にするメモリセーバーや、バッテリー駆動のときに処理を抑える省エネモードも同じ場所にある。省エネモードは電源につないでいるときには働かないため、電源接続中の重さの原因にはならない。

重さの出どころが、Chromeの中に無い場合

設定を一通り触っても改善しないとき、原因はChromeの内側ではなく使い方の側にあることが多い。メール、カレンダー、チャット、タスク管理、表計算、デザイン。これらを一つのブラウザのタブとして並べていれば、描画の担当を変えたところで抱えている量は変わらない。GPUに任せるかCPUに任せるかという議論の前に、そもそも同時に動かしているものが多すぎるという状態である。

ここを構造から変える道具として、Webアプリをまとめるブラウザという種類のソフトウェアがある。サービスごとに専用の入れ物を用意し、アプリのように呼び出せるようにするものである。何ができるのかはできることに整理されており、仕事の単位ごとに画面を分ける考え方はワークスペースで説明されている。開発の作業を含む人向けには、同じ画面で端末を開けるターミナルという組み合わせもある。扱えるサービスの一覧は使えるアプリで確認できる。

道具を選ぶときに見る三点

この種のソフトウェアを比べるときは、機能の一覧より先に三つを確かめたい。

第一に、重いサービスが他を巻き込まない作りかどうかである。すべてを一つのまとまりに詰め込む構造では、動画を流しているタブが表計算の入力まで遅らせる。描画の担当を変えても消えない種類の重さは、この分離で解く。

第二に、同じサービスの複数アカウントを別々に扱えるかどうかである。アプリごとに独立したワークスペースという設計かどうかで、ログインの切り替えが残るか消えるかが分かれる。

第三に、料金の形である。購読を続けるのか、一度の購入で済むのか。実際の金額は料金にあり、同じ領域の製品との違いはWaveboxとの比較やSidekickとの比較に整理されている。導入前の疑問はよくある質問で確かめられる。

ハードウェアアクセラレーションは、描画の担当をどこに置くかという一つの選択である。ちらつきや動画の引っかかりには効くが、タブの量が生む重さには効かない。症状で使い分けるのが、遠回りしない方法である。

よくある質問

ハードウェアアクセラレーションはオフにしたほうがよいのですか?

症状によって変わる。画面のちらつき、残像、動画のかくつき、特定ページでの固まりには効くことがある。起動の遅さやタブが多いときのもたつきには効かず、オフにするとGPUが担っていた処理がCPUへ戻るため重くなる場合もある。試して変わらなければ元に戻す。

設定はどこにありますか?

設定を開き、下部の「システム」の欄を見る。公式の案内では「ハードウェア アクセラレーションが使用可能な場合は使用する」という文言で説明されている。表示される文言はバージョンによって変わることがあるため、名前ではなく「システム」の欄を目印にする。切り替えたらChromeを再起動する。

スマートフォンのChromeでも切り替えられますか?

モバイル向けのChromeには該当する項目がない。公式の案内でも、iOSやAndroidではChromeのパフォーマンスを細かく設定できないと明記されている。スマートフォンで動画がかくつく場合は、アプリとOSの更新、通信環境、端末の負荷といった別の要因を確かめる。

オフにしたあとで戻したいときはどうしますか?

同じ場所で同じ項目をオンに戻し、Chromeを再起動すればよい。元に戻す判断を先に決めておくことが大切で、症状が変わらないのに切ったままにすると、GPUを使う利点だけを失った状態になる。確かめるページと操作を一つ決めて、前後で比べるとよい。

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