Chromeのプロファイルの代わりになるもの|手放してよい機能
Chromeのプロファイルを増やしすぎたと感じたとき、次に知りたくなるのは代わりになる仕組みです。プロファイルは1つの機能のように見えて、実際には性質の違う5つの仕事を1つの単位に束ねています。束をほどいて仕事ごとに置き換えると、手元に残すべきプロファイルは今の数より確実に減ります。ここでは代わりになる手段を仕事ごとに当てはめ、どこまで手放せるのかを整理します。
プロファイルが1つに束ねている5つの仕事
プロファイルを分けている人が実際に手にしているものは、次の5つに分解できます。
- ログイン状態の分離。クッキーとサイトデータがプロファイルごとに独立するため、同じサービスに別の名義で同時にログインしたままにできる
- 保存物の分離。ブックマーク、履歴、保存したパスワードが名義をまたいで混ざらない
- 拡張機能の分離。仕事でだけ使う拡張を、私用の窓に持ち込まずに済む
- 見た目での識別。テーマカラーとアイコンで、いま前面にある窓がどの名義なのか分かる
- 同期。Googleアカウントにログインしておくと、その名義の保存物が他の端末にも回る
公式ヘルプは、プロファイルの役割をこう説明しています。
プロファイルを使用すると、Chrome 上の情報全体(ブックマーク、履歴、パスワードなど)を、プロファイルごとに分離できます。 出典: support.google.com
説明は「分離できます」で終わっていて、5つのうちどれが自分に要るのかまでは書かれていません。プロファイルが重く感じるのは、5つ全部を求めていないのに5つ分の管理を引き受けているときです。たとえば同じサービスに2つの名義でログインしたいだけの人が、ブックマークの分離も拡張機能の二重管理も同時に背負っている状態は珍しくありません。代わりを探す作業は、まず自分が欲しい仕事を1つか2つに絞るところから始まります。
代わりになる4つの手段を、仕事ごとに当てはめる
macOSで現実的に選べる代わりは4つです。どれが優れているという話ではなく、カバーする仕事の範囲が違います。
| 代わりの手段 | ログイン状態 | 保存物 | 拡張機能 | 見た目 | 同期 |
|---|---|---|---|---|---|
| macOSのユーザーアカウント | 分かれる | 分かれる | 分かれる | 分かれる | アカウントごと |
| ゲストモード | 分かれる | 残らない | 使えない | 共通 | なし |
| ブラウザ自体を分ける | 分かれる | 分かれる | 分かれる | 分かれる | ブラウザごと |
| アプリ単位で窓を固定する | 窓ごとに分かれる | 分かれる | 窓ごとの設定 | 窓で分かれる | サービスごと |
表の右に行くほど分離が細かくなり、左に行くほど分離が強くなります。強い分離ほど切り替えの手間が増える、という関係も同時に読み取れます。
macOSのユーザーアカウント
分離の強さでは最も上です。ログイン時にパスワードを求められるため、Chromeのプロファイル一覧とは性質が違います。公式ヘルプは、デバイスを使う人はそのデバイスに設定されている他のどのプロファイルにも切り替えられる、と明記しています。パスワードを求められないのがプロファイル、求められるのがユーザーアカウントです。共用のMacで本当に見せたくないものがあるなら、置き換え先はここになります。
代償は切り替えの重さです。ファストユーザスイッチで行き来はできますが、片方のアカウントで開いているアプリは、もう片方の画面には出てきません。1日に何度も両方を触る使い方には向きません。1日の前半と後半で完全に文脈が変わる人、あるいは家族と1台を共有している人に合います。
ゲストモードとシークレットモード
どちらも「一時的な名義」を作る仕組みで、恒久的なプロファイルの代わりにはなりません。ゲストモードは他のプロファイルの情報を見ることも変えることもできず、終了すると閲覧アクティビティがパソコンから削除されます。拡張機能は動きません。シークレットモードは履歴を残さない一方で、自分の設定は引き継ぎます。
置き換えられるのは、月に数回しか使わない名義です。年に何度かしか触らないサービスの管理用アカウントのために常設のプロファイルを1つ抱えているなら、その1枠はゲストモードに移せます。毎日使う名義をここに置くことはできません。閉じるたびに全部消えるためです。
ブラウザ自体を分ける
Safariを私用、Chromeを仕事用、という分け方です。ブラウザが違えばクッキーの保管場所も別なので、ログイン状態は完全に分かれます。追加の費用はかからず、Dockのアイコンが最初から違うので取り違えも起きにくくなります。
弱点は拡張機能とブックマークが二重管理になることと、分けられる名義が入れたブラウザの数までに限られることです。3つの名義を使い分けたい人は3つ目のブラウザを入れることになり、そこから先は管理する対象が増えるだけになります。名義が2つまでの人にはよく効きます。
もう1点、既定のブラウザをどちらにするかという判断が伴います。他のアプリから開いたリンクは、macOSが既定のブラウザに渡します。仕事用をChrome、私用をSafariとした場合、メールアプリで踏んだリンクは既定にしたほうだけに流れます。仕事のメールから来たリンクが私用の窓で開く状態は、名義を分けた意味を薄くします。既定をどちらにするかは、リンクを最も多く踏むアプリがどちらの文脈にあるかで決めると、取り違えが減ります。
アプリ単位で窓を固定する
Chromeには、開いているページをアプリとして追加し、タブバーのない専用の窓で開く機能があります。ただしその窓はもとのプロファイルに属するので、ログイン状態は分かれません。分離ではなく、置き場所を作る機能です。
この違いは実際に試すとすぐ分かります。アプリとして追加した窓でサービスを開くと、もとのプロファイルでログインしていた名義のまま表示されます。別の名義で開きたければ、そのプロファイルを一度ログアウトするしかありません。つまりこの機能が置き換えるのは、5つの仕事のうち見た目での識別と、タブに埋もれない置き場所の2つだけです。
置き場所と名義を同時に分けたい場合に使われるのが、アプリごとに独立したワークスペースを持つタイプのブラウザです。メールの窓、チャットの窓、という具合にアプリごとに窓を割り当て、その窓の中でログイン状態が完結します。名義を選ぶ操作が「どの窓を見るか」に置き換わるため、選ぶ回数そのものが減ります。この考え方はワークスペースのページで、通常のブラウザとの機能差はできることのページで説明されています。
同期だけが目的なら、プロファイルを増やす必要はない
見落とされやすいのが、5つ目の同期です。ブックマークやパスワードを他の端末でも使いたい、という理由でプロファイルを分けている場合、分離は目的ではなく手段になっています。同期はGoogleアカウントにログインすれば働く機能で、プロファイルの数とは独立しています。1つのプロファイルに1つのアカウントでログインしていれば、その名義の保存物は他の端末にも回ります。
問題になるのは、2つのアカウントの保存物を両方とも同期したい場合です。ログインできるアカウントはプロファイルごとに1つなので、このときだけはプロファイルが2つ要ります。逆に言えば、同期したいアカウントが1つしかないなら、残りの名義はログインしないプロファイルでも、ゲストモードでも、別のブラウザでも構いません。
ここを整理すると、判断が1行で済むようになります。同期したいアカウントの数だけ、ログイン済みのプロファイルを持つ。それ以外の名義は、分離の方法を自由に選べます。会社から配布されたアカウントで同期をオフにするよう指示されている場合は、そのアカウント用のプロファイルは同期の対象から外れるので、置き換え先の選択肢はさらに広がります。
手放してよい機能、手放せない機能
代わりを検討する前に、いま使っているプロファイルを1つずつ見て、5つの仕事のうち何を担っているかを書き出すと判断が早くなります。実際に多いのは次の3パターンです。
- 見た目の識別だけを担っているプロファイル。中身は本体とほとんど同じで、色だけが違う。これは手放せます。窓の置き場所を分けるか、ブックマークバーの内容を変えるだけで同じ役割を果たします
- 保存物の分離だけを担っているプロファイル。ブックマークが混ざるのが嫌で作ったもの。これも手放せます。ブックマークはフォルダで分けられ、履歴は検索できます
- ログイン状態の分離を担っているプロファイル。同じサービスに2つの名義で同時に入る必要がある。これは手放せません。1つのクッキー保管場所に、同じサイトの2つのセッションは共存しないためです
手放せないのは3番目だけ、という人が多数派です。プロファイルが6つあっても、同時ログインが要るのは2つだった、という結果になることがあります。
削除には注意点があります。公式ヘルプは、プロファイルを削除するとそのプロファイルのブックマーク、履歴、パスワードなどの設定がパソコンから削除される、と警告しています。手放すと決めたプロファイルでも、先にそのプロファイルでGoogleアカウントにログインして同期させるか、ブックマークをHTMLに書き出しておくと、後から取り返しがつきます。
減らす手順を、触る順番で決める
一度に全部を置き換えようとすると、途中でログインし直す作業が積み上がって止まります。順番を決めておくと1日で終わります。
まず、使っていないプロファイルを探します。プロファイル一覧を開いて、名前だけを見て中身が思い出せないカードがあれば、それが候補です。次に、そのカードを開いて、ログイン中のサービスを確認します。どこにもログインしていないなら、ブックマークを書き出してから削除できます。
次に、月に数回しか使わない名義をゲストモードに寄せます。この段階で常設の枠がいくつか空きます。最後に残った、同時ログインが要る名義だけを数えます。その数が2つまでなら、ブラウザを分ける方法で足ります。3つ以上あるなら、名義ごとに窓を分ける仕組みを検討する段階です。
拡張機能の数も判断材料になります。拡張はプロファイルごとに入り、設定もプロファイルごとに持ちます。同じ拡張を4つのプロファイルで使っているなら、更新のたびに確認する対象が4か所あるということです。分離で得たものと、管理で失ったものを同じ表に並べると、どちらが重いかが見えます。
窓の数で考えるとき、何が判断材料になるか
置き換え先としてアプリ集約ブラウザを検討する場合、比較すべきなのは機能の多さではなく、無料でどこまで使えるかと、扱えるサービスの範囲です。この分野の製品は10年近く前から存在していて、仕組みそのものはどれも近いものになっています。差が出るのは料金の刻み方と、常駐したときの重さです。
料金の考え方は料金のページに、他社製品との具体的な違いはWaveboxとの比較やShiftとの比較のページにまとめられています。無料で使い続けたい場合の選択肢としてはFerdiumとの比較が参考になります。どのサービスを窓として置けるのかは使えるアプリの一覧で確認できます。
判断の順番としては、まず自分の名義の数を数え、次に同時ログインが要る数を数え、最後に置き換え先を選ぶのが早道です。プロファイルの数を減らすこと自体が目的になると、必要な分離まで削ってログインし直す作業が増えます。残すべきものを先に確定させてから、余った枠を手放してください。
よくある質問
Chromeのプロファイルを削除すると、中のブックマークやパスワードはどうなりますか?
公式ヘルプは、プロファイルを削除するとそのプロファイルのブックマーク、履歴、パスワードなどの設定がパソコンから削除されると案内しています。削除前にそのプロファイルでGoogleアカウントにログインして同期させるか、ブックマークをHTMLファイルに書き出しておくと、後から別のプロファイルに取り込めます。
ゲストモードは常設のプロファイルの代わりになりますか?
月に数回しか使わない名義なら代わりになります。ゲストモードは他のプロファイルの情報を見ることも変えることもできず、終了すると閲覧アクティビティが端末から消えます。ただし拡張機能が使えず、閉じるたびにログインし直しになるため、毎日使う名義には向きません。
macOSのユーザーアカウントで分けるのとプロファイルで分けるのは何が違いますか?
切り替えにパスワードが要るかどうかが違います。公式ヘルプは、デバイスを使う人はそのデバイス上の他のどのChromeプロファイルにも切り替えられると明記しています。見られたくないものがある共用のMacでは、ユーザーアカウントでの分離が必要です。
ページをアプリとして追加すれば、プロファイルを分けなくて済みますか?
ログイン状態の分離はできません。アプリとして追加した窓はもとのプロファイルに属し、クッキーを共有します。タブから独立した置き場所は得られるので、置き場所だけが欲しい場合には有効です。同じサービスに2つの名義で同時に入る必要がある場合は、別の仕組みが要ります。