Chromeのプロファイルの手順|最初に決めておくこと
Chromeのプロファイルを作る手順そのものは、数クリックで終わる。それにもかかわらず「使い方」で検索されるのは、操作の後に決めることが多いからだ。名前をどう付けるか、ログインするかしないか、拡張機能をどちらに入れるか、起動したときにどれが開くか。この記事は操作の順番ではなく、決める順番を扱う。先に決めておけば、3つ目を作るころに全部やり直すことにならない。
作る前に決める2つの項目
最初に決めるのは、何を単位に分けるかになる。ここを決めずに作りはじめると、2つ目までは順調で、3つ目で必ず迷う。
候補になる軸は3つある。アカウントの発行元で分ける軸、用途で分ける軸、扱う情報の機微さで分ける軸だ。発行元で分けるなら、勤務先が発行したアカウント、取引先から渡されたアカウント、自分で取ったアカウントがそれぞれ独立する。用途で分けるなら、業務、調べもの、私用のように分かれる。機微さで分けるなら、支払い情報や顧客データを扱う側と、それ以外に分かれる。
どれが正しいということはないが、混ぜると破綻する。発行元で分けた枠の中を、さらに用途で割ろうとした時点で、どの窓を開けばよいのか自分で説明できなくなる。軸は1つに決める。
2つ目に決めるのは、いくつまで作るかになる。作成数そのものに上限は示されていないが、同時に開いておける数には現実的な限りがある。Chromeはサイトごとにプロセスを分ける作りなので、プロファイルを3つ開けば常駐しているWebアプリの分だけプロセスが3系統立つ。日常的に開けておく数は3つ前後に収まりやすく、それを超えると、どこに何があるかを覚えておく負担が、分けたことで得た安心を上回りはじめる。使う頻度の低いものは「作るが常駐させない」側に置く前提で数を決める。
操作そのものは右上から始まる
決める内容が固まったら、操作は短い。Chromeのヘルプに示されている手順は次の形になる。
右上のプロファイル [Chrome プロファイルを追加] を選択します。Google アカウントで Chrome にログインした場合、プロファイル名は自動的にアカウント名になります。 出典: support.google.com
ここで注意したいのは後半になる。ログインすると名前が自動でアカウント名に置き換わる。自分で決めた命名規則があっても、ログインの操作で上書きされる形になるので、名前を整えるのはログインの後に回す。逆にしても手間が増えるだけになる。
追加した直後に出る画面で設定するのは、名前、写真、テーマカラーの3つになる。切り替えは同じく右上のプロファイルアイコンから行い、選んだプロファイルは新しい窓として開く。既存の窓が切り替わるのではなく窓が増える点は、最初につまずきやすい。プロファイルを移動するたびに窓が1つ増えていくので、使い終わった窓は閉じる習慣をつけないと、数分で画面が埋まる。
名前と写真とテーマカラーは後から変更できる。右上のプロファイルアイコンから「Chrome プロファイルを管理」を開き、対象の右上にあるメニューから編集に入る。変更は自動的に保存されるため、確定の操作は要らない。
名前の規則を、2つ目を作る前に決める
プロファイルの名前は、あとから見返すためではなく、切り替えの瞬間に0.5秒で判別するために付ける。だから長い名前は役に立たない。表示される場所が狭いからだ。
実務で機能している付け方は、先頭に区別のいちばん強い語を置く形になる。「勤務先」「A社」「私用」のように2文字から3文字で始め、必要なら後ろに補足を足す。アドレスをそのまま名前にすると、頭の数文字が全部同じになって判別できないことがある。同じドメインのアカウントを複数持っている人ほど、この失敗をしやすい。
テーマカラーは名前より速く効く。窓の枠に色が出るため、文字を読まずに所属が分かる。ここで守ると楽になる規則が1つある。色は用途ごとに固定して、後から変えないことになる。仕事は青、取引先は緑、私用は灰色というように決めたら、プロファイルが増えてもその割り当てを崩さない。色を使い回すと、判別の速さがそのまま失われる。
写真は判別にはあまり効かない。表示が小さいうえ、Googleアカウントにログインするとアカウント側の写真に置き換わることがあるためだ。時間をかける優先順位としては、色、名前、写真の順になる。
ログインするかどうかは、作った直後に決める
Chromeへのログインは任意で、後からでも変えられる。ただし「後で決める」を選ぶと、たいてい決めないまま使い続けることになる。ログインの有無で運用が変わるので、作った直後に決めておく。
ログインした場合に得られるものは、Chromeのヘルプに整理されている。
ログインしている場合、すべてのデバイスで同じブックマーク、パスワード、その他の設定を使用することができます。 出典: support.google.com
これは端末を増やしたときと、プロファイルを消したときに効いてくる。同期していれば、別のMacに同じ環境を再現できるし、誤って削除しても戻せる。逆に同期していないプロファイルは、削除した時点で手元から完全に消える。
ログインしない選択が合う場面もある。検証用のプロファイル、一時的に渡されたアカウントを開くためのプロファイル、来客に使わせるための枠などがそれにあたる。こうしたものをアカウントに紐づけると、履歴やパスワードが残る場所が増えるだけになる。判断の基準は単純で、「この環境を別の端末でも再現したいか」に対する答えがそのまま結論になる。
なお、同期していても運ばれないものがある。拡張機能の中に保存されたデータ、サイトごとの許可の一部、そして開いていた窓の構成は、端末を移ると同じにはならない。同期は設定を運ぶ仕組みであって、作業中の状態を運ぶ仕組みではない。
起動したときに何が開くかを決める
既定では、Chromeを起動すると最後に使っていたプロファイルが開く。これは1つしか使っていないうちは快適だが、複数を運用しはじめると、朝いちばんに前日の終わりの状態が開くことになる。仕事用で終わって私用で朝を始めたい人は、毎朝1回切り替えることになる。
Chromeには、起動時にプロファイルの一覧を出す設定がある。「Chrome プロファイルを管理」の画面の下部にある項目をオンにすると、新しいブラウザセッションを開いたときに一覧が表示される。1回クリックが増える代わりに、意図しないプロファイルで始めてしまう事故がなくなる。
どちらを選ぶかは、使っているプロファイルの数と、取り違えたときの損害で決まる。2つしか使っていないなら一覧は邪魔になりやすい。取引先のアカウントを含む3つ以上を使っていて、間違った窓で送信してしまう事故を避けたいなら、一覧を出しておくほうが合う。設定はいつでも戻せるので、どちらか一方を1週間試して決めるのが早い。
拡張機能とダウンロード先を分ける
拡張機能はプロファイルごとに入る。仕事用に入れたものが私用に現れることはなく、逆も起きない。この性質を前提に、入れる順番を決めておく。
推奨されるのは、すべてのプロファイルに入れるものと、1つにしか入れないものを最初に分けることになる。広告や追跡をブロックする類、翻訳、読みやすさを変える類は全部に入れてよい。一方で、パスワード管理、業務システムに接続する類、権限の強いものは、必要なプロファイルだけに入れる。全部に入れると、ブラウザの中で分けた意味が拡張機能の側で消える。
ダウンロード先も一度見ておく価値がある。ダウンロード先の指定はChromeの設定にあり、プロファイルごとに別の値を持てる。ところが保存先として指定できるのはmacOS上の実際のフォルダなので、同じ場所を指していれば当然混ざる。仕事用の添付ファイルと私用のファイルを同じダウンロードフォルダに落としているなら、プロファイルを分けても、後で探す手間は変わらない。プロファイルごとに別のフォルダを指定しておくと、探す場所が半分になる。
検索エンジン、既定の言語、翻訳の挙動、通知の許可も同じくプロファイルごとの設定になる。一度に全部を整える必要はないが、通知の許可だけは作った直後に確認しておくほうがよい。既定のままだと、サイトから許可を求められるたびに判断することになり、仕事用のプロファイルに私用のサイトの通知が積み上がる。
手順では解決しない部分が残る
ここまでの設定を丁寧にやっても、残る詰まりが2つある。どちらも設定項目が存在しないため、手順の話としては打ち止めになる。
1つ目は、外から来たリンクの行き先になる。SlackやメールやカレンダーからURLを押したとき、macOSは既定のブラウザに渡すところまでしか決めていない。受け取ったChromeは直近に使っていた窓で開くので、行き先はリンクの中身ではなく、その直前に何を触っていたかで決まる。プロファイルの設定では変えられない。
2つ目は、窓の見つけにくさになる。プロファイルをいくつ開いてもmacOSから見ればアプリは1つなので、Cmd+Tabで切り替えた先がどの窓かは押すまで分からない。色を決めておけば判別は速くなるが、たどり着くまでの操作の回数自体は減らない。
この2つで毎日つまずいているなら、設定ではなく、分ける層そのものを変える判断になる。サービスごとに窓とセッションを固定してしまう作りの道具があり、ワークスペースという単位で切り替える考え方がそれにあたる。どこまでが個別の設定になるのかはできることに整理されており、常駐させられるサービスの範囲は使えるアプリで確認できる。
同じ分類の中でも設計はかなり違う。1つの窓の中を区画で割るものと、窓を分けたまま並べるものでは、切り替えに必要な操作の回数が変わる。常駐の作法と通知の扱いの差はWaveboxとの比較とFerdiumとの比較に出ており、費用の考え方は料金にまとまっている。
決める順番としては、まずプロファイルの設定で片づく範囲を全部やる。名前と色の規則、ログインの有無、起動時の挙動、拡張機能の配り方、ダウンロード先。ここまでやって残った不満だけが、道具を変える理由になる。順番を逆にすると、何が改善したのか分からないまま道具だけが増える。
よくある質問
Chromeのプロファイルを作った後に名前を変えられますか?
変えられます。右上のプロファイルアイコンから「Chrome プロファイルを管理」を開き、対象の右上にあるメニューから編集を選ぶと、名前、写真、テーマカラーを変更できます。変更は自動的に保存されるので確定の操作は要りません。ただしGoogleアカウントにログインすると名前がアカウント名に置き換わるため、整えるのはログインの後にします。
プロファイルを切り替えると、なぜ窓が増えるのですか?
Chromeの切り替えは、いま開いている窓の中身を入れ替えるのではなく、選んだプロファイルの窓を新しく開く動きになっているためです。使い終わった窓を閉じないと画面が埋まります。切り替えが多い人は、閉じる操作をひとまとめにするか、窓が固定される作りの道具に移すかの判断になります。
拡張機能はプロファイルごとに入れ直す必要がありますか?
必要です。拡張機能はプロファイルごとに管理されるため、同じものを両方で使いたければ両方に入れます。手間に見えますが、権限の強い拡張機能が意図しないプロファイルに入り込まない利点でもあります。全部に入れるものと1つだけに入れるものを最初に分けておくと迷いません。
起動時にプロファイルの一覧を出したほうがよいですか?
使っているプロファイルが3つ以上あり、取り違えて送信する事故を避けたい場合は出しておくほうが合います。2つだけなら1回のクリックが増える分だけ邪魔になりやすいです。設定はいつでも戻せるので、1週間ずつ試して判断するのが早い方法になります。