Chromeのプロファイルがうまくいかないとき|確かめる順番

Chromeのプロファイルがうまくいかないという状態には、まったく別の原因が何種類も混ざっています。ログインを何度も求められるのと、リンクが違う名義で開くのと、ブックマークが消えたのとでは、直す場所が違います。ところが画面に出てくる症状は似ていて、どれも「プロファイルの調子が悪い」に見えます。ここでは、症状を原因の層に振り分けたうえで、どの順番で確かめると最短で切り分けられるのかを整理します。順番を決めておくことの価値は、直し方を覚えることより大きいです。原因が分かれば、そもそも直さずに置き方を変えるという判断もできます。

不具合は5つの層のどこかで起きている

Chromeのプロファイルという言葉は、実際には5つの層をまたいでいます。不具合の話が噛み合わなくなるのは、話している人が別々の層を指しているからです。

  • 窓とリンクの層。macOSがどの窓にリンクを渡すか、どの窓が前面に出るか
  • セッションの層。サイト側のクッキーがどのプロファイルに保存されているか
  • アカウントと同期の層。Googleアカウントにログインしているか、何を同期しているか
  • ファイルの層。Macの中に置かれたプロファイルのフォルダとその中身
  • 組織の設定の層。勤務先や取引先の管理者が配布したポリシー

同じ「拡張機能が消えた」でも、別のプロファイルの窓を見ているだけなら窓の層、ログアウトしたなら同期の層、管理者が許可リストから外したなら組織の層です。層が違えば、試すべきことも、失うものの大きさも変わります。ファイルの層に手を入れるのは最後にすべきで、最初に触ると戻せなくなります。

層に振り分けるための質問は3つで足ります。いつから起きているか、他のプロファイルでも起きるか、他のMacでも起きるか。この3つの答えの組み合わせで、どの層かはほぼ決まります。他のプロファイルでも起きるならプロファイル固有の問題ではなく、他のMacでも起きるなら端末のファイルの問題ではありません。

症状を層に振り分ける

よく報告される症状を、原因の層で並べ替えると次のようになります。自分の症状がどの行に当たるかを先に決めてください。

症状 疑う層 最初に見る場所
メールやチャットから開いたリンクが別の名義で開く 窓とリンク 直前に前面にあった窓
同じサービスで、片方にログインすると片方が落ちる セッション 2つの名義が同じプロファイルにいないか
ブックマークやパスワードが急に消えた アカウントと同期 ログアウトしていないか
起動のたびにプロファイルの選択画面が出る ファイル 起動時に表示する設定
拡張機能を入れようとすると止められる 組織の設定 chrome://policy
設定を変えても次の起動で元に戻る ファイル プロファイルのフォルダが書き込めているか

この表で行が決まると、試す内容が半分以下に減ります。逆に、行が決まらないまま検索して出てきた手順を上から順に試すと、関係のない層のデータを消すことになります。実際に多いのは、リンクの開き先が違うだけの状態で、プロファイルを作り直してしまう例です。

確かめる順番は、失うものが少ない順にする

切り分けの順番は、原因の可能性が高い順ではなく、失うものが少ない順に決めます。可能性の高さは推測ですが、失うものの大きさは事実だからです。

最初に確かめるのは、いま前面にある窓がどのプロファイルのものかです。右上のアイコンの名前と、窓の上部の帯の色を見ます。ここで取り違えていただけなら、何も直す必要はありません。

次に、ログインの状態です。プロファイルがGoogleアカウントにログインしているか、そのアカウントが目的のものかを確認します。ブックマークとパスワードが消えたように見える症状は、ここで説明が付くことがあります。公式ヘルプは、ログアウトしたときの挙動をこう書いています。

Chrome にログインすると、Google アカウントに情報を保存できます。Chrome からログアウトすると、情報は Google アカウントに安全に保存され、デバイスからは削除されます。 出典: support.google.com

消えたのではなく、端末から取り除かれてアカウント側に残っている状態です。同じアカウントでログインし直せば戻ります。ここを飛ばしてプロファイルを作り直すと、戻るはずのものを自分で消すことになります。

3番目が、組織の設定です。アドレスバーに chrome://policy と入力すると、管理者から配布されている設定が一覧で出ます。拡張機能が入らない、同期がオフから動かない、パスワードの保存ができないといった症状は、ここに答えがあることが少なくありません。設定画面の項目が灰色になっていて押せない場合は、ほぼこれです。この層が原因なら、手元での操作では直りません。管理者に依頼する内容を決めるのが、ここでの成果です。

4番目がセッションです。同じサービスに2つの名義を同じプロファイルで使っていると、後からログインしたほうが前のセッションを置き換えます。ログインを繰り返し求められる症状の多くはこれで、不具合ではなく仕様どおりの動きです。

ファイルの層に触れるのは最後です。プロファイルのフォルダを退避したり作り直したりする作業は、手元にしかないデータを失う可能性があります。公式ヘルプも、削除の影響を明記しています。プロファイルを削除すると、そのプロファイルのブックマーク、履歴、パスワードなどの設定がパソコンから削除されます。同期していないプロファイルでこれを行うと、戻す手段がありません。

起動まわりの症状は、設定の1項目で説明が付く

起動のたびにプロファイルの選択画面が出る、あるいは逆に出したいのに出ないという相談は、不具合として扱われがちですが、設定の項目です。プロファイルの管理画面の下部にある、起動時に表示するという項目がそれに当たります。オンなら毎回選択画面が出て、オフなら直前に使っていたプロファイルがそのまま開きます。

どちらが正しいかは、使い方で変わります。名義の取り違えが事故につながる作業をしているなら、毎回選ばせるほうが安全です。逆に、朝いちばんに開くプロファイルがいつも同じなら、選択画面は1日に何度も出てくる無駄な確認になります。

もう1つ、起動まわりで誤解されやすいのが、Dockから起動したときにどの窓が出るかです。Chromeはアプリとしては1つなので、Dockのアイコンは名義を区別しません。前回の終了時に開いていた窓の構成に依存します。特定の名義をいつも先に出したい場合は、そのプロファイル専用の起動口を用意する必要があります。Dockのアイコンを増やす方法は公式の設定画面には無く、ショートカットを別に作る手順になります。

起動が極端に遅い、あるいは開いた直後に固まるという症状は、枚数と関係することがあります。同時に複数のプロファイルの窓を復元しようとすると、そのぶんの読み込みが重なります。復元する窓の数を減らすと改善するかどうかは、切り分けの材料になります。

空のプロファイルを1枚作って、対照群にする

どの層かが決まらないときに効くのが、まっさらなプロファイルを1枚作って、そこで同じ操作をしてみる方法です。医学の試験で対照群を置くのと同じ考え方で、比べる相手があると原因の範囲が一気に狭まります。

手順は短いです。右上のアイコンからプロファイルを追加し、Googleアカウントにはログインせず、拡張機能も入れずに、問題が起きているサイトを開きます。ここで同じ症状が出るなら、原因は元のプロファイルの中身ではありません。Chrome本体か、Macの側か、サイトの側です。出ないなら、原因は元のプロファイルが抱えているもの、つまり拡張機能か、蓄積したクッキーか、フォルダの中のファイルです。

この1手間を飛ばすと、原因が特定できないまま拡張機能を1つずつ無効にする作業に入ることになります。その作業は時間がかかるうえ、途中で症状が出なくなっても、無効にしたどれが効いたのか分からないまま終わります。対照群を先に置けば、その作業に入るかどうか自体を判断できます。

作った空のプロファイルは、切り分けが終わったら削除して構いません。ログインもデータの保存もしていないので、削除で失うものはありません。むしろ残しておくと、名前のない似たプロファイルが一覧に並んで、取り違えの原因が1つ増えます。切り分け用に作ったものは、その場で片付けるところまでを手順に含めてください。

何度も再発するときは、置き方のほうを疑う

同じ症状が月に何度も戻ってくる場合、直し方を洗練させても終わりません。再発するということは、日々の使い方の中に、その症状を生む動作が組み込まれているということです。

再発しやすい形は決まっています。1つは、同じサービスの2つの名義を1つのプロファイルで回している形です。ログインの求められ方が不規則に見えますが、原因は一定です。もう1つは、プロファイルの枚数に対して見分けが弱い形です。似た色が並び、名前が長くて読み切れないと、取り違えは確率の問題になります。

3つ目は、境界を越える回数が多い形です。1時間のうちに何度も切り替えていると、切り替えそのものが作業になり、押し間違いが定期的に起きます。この場合に効くのは、切り替えを速くすることではなく、切り替えを減らすことです。速くすると回数が増えるだけで、事故の総数は変わりません。

再発の形が見えたら、直す対象は症状ではなく置き方になります。名義ごとに1枚という考え方をやめて、使うサービスごとに置き場所を固定するという選択肢が、ここで検討の対象に入ります。

層ごとの不具合が、置き方を変えると何本消えるか

窓を単位にして、サービスごとに場所を固定すると、上の表で挙げた症状のいくつかは構造的に起きなくなります。どれが消えてどれが残るかを、層ごとに見ておくと判断しやすくなります。

窓とリンクの層は、置き場所が固定されることで取り違えが減ります。どの名義がどこにあるかが画面の位置で決まるので、前面にある窓を確認するという手順が要りません。セッションの層も、サービスごとに保管場所が分かれていれば、同じサービスの2つの名義が互いを追い出すことはなくなります。アプリごとに独立したワークスペースという作りは、この2つの層に効きます。窓の分け方はワークスペースのページに、標準のブラウザとの違いはできることのページにまとめられています。

一方で、残る層もあります。組織の設定の層は、管理対象のアカウントでログインする限り、どの道具を使っても同じ制約が付きます。アカウントと同期の層も、Googleアカウント側の話なので置き方では変わりません。ここは期待の対象を間違えないほうがよい部分です。

検討に入るなら、確かめる順番は不具合の切り分けと同じです。まず自分が使っているサービスが扱えるかを使えるアプリの一覧で見て、次に費用を料金のページで確認します。すでに他の製品を使っていて比較したい場合はWaveboxとの比較Ferdiumとの比較のページが該当します。開発の作業を同じ場所で完結させたい場合の仕組みはターミナルのページに、細かい挙動の疑問はよくある質問にまとまっています。

症状を層に振り分け、失うものが少ない順に確かめ、再発するなら置き方を疑う。この3つの手順で、Chromeのプロファイルの不具合はほとんど判断が付きます。判断が付かないまま手を動かすことだけを避けてください。

よくある質問

ブックマークとパスワードが突然消えました。復旧できますか?

Chromeからログアウトした場合、情報はGoogleアカウント側に保存され、端末からは取り除かれます。同じアカウントでログインし直すと戻ります。プロファイルそのものを削除した場合は、そのプロファイルのブックマークや履歴はパソコンから削除されるため、同期していなかったものは戻せません。作り直す前にログイン状態を確認してください。

起動のたびにプロファイルの選択画面が出ます。不具合ですか?

不具合ではなく設定の項目です。プロファイルの管理画面の下部にある、起動時に表示するという項目がオンになっています。オフにすると直前に使っていたプロファイルがそのまま開きます。名義の取り違えが事故につながる作業をしているなら、あえてオンのままにしておく判断もあります。

メールソフトから開いたリンクが、いつも違う名義で開きます。指定できますか?

Macの既定のブラウザはアプリ単位で1つなので、リンクを踏む時点で名義を選ぶことはできません。Chromeが直近に使っていた窓が受け皿になります。取り違えを避けるには、リンクを踏む前に目的の名義の窓を前面に出しておくか、サービスごとに置き場所を固定する方法に切り替えることになります。

設定画面の項目が灰色で押せません。どこを見ればよいですか?

アドレスバーに chrome://policy と入力すると、管理者から配布されている設定が一覧で確認できます。勤務先や取引先のアカウントでログインしているプロファイルでは、拡張機能の許可や同期の可否が管理者側で決まっている場合があります。この層が原因のときは手元の操作では変わらないため、依頼する内容を決めるのが次の一手になります。

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