Chromeのサイドパネル|入れて役に立つものと窓にすべきもの
chrome サイド パネルを調べる動機は、たいてい2つに分かれる。1つは、勝手に出てきた細い枠を閉じたい、あるいは消えたので戻したいという操作の話。もう1つは、参照しながら作業する画面をここに入れれば、タブを行き来する回数が減るのではないかという配置の話になる。前者は数手で終わる。後者は、サイドパネルの仕組みに向く作業と向かない作業があり、その境目を知らないまま入れると、かえって切り替えが増える。ここでは標準で入るものと操作を先に片付け、そのうえで何をパネルに入れ、何を別の窓に出すのかを分ける基準まで並べる。
標準で入るのは4種類
Chromeのヘルプは、パソコンのサイドパネルに表示される項目として、リーディング リスト、ブックマーク、履歴、Google レンズなどを挙げている。この4つには共通点がある。どれも「本文を読むためのものではなく、本文にたどり着くためのもの」という点だ。
- リーディング リストは、あとで読む対象を一時的にためる場所になる
- ブックマークは、階層に整理した保存先を開いたまま探せる
- 履歴は、閲覧の記録をタブに移さずにたどれる
- Google レンズは、開いているページの一部を選んで調べる
この並びから読み取れるのは、標準のサイドパネルが「探す」「選ぶ」「拾う」といった短い操作を前提にしているということになる。ブックマークの整理を10分続ける、履歴から20件を拾ってまとめる、といった使い方には向いている。一方で、メールの返信を書く、表を編集する、チャットの通知を1日中見張るといった作業は、この4つの性質から外れる。標準の項目が何のために置かれているかを押さえると、拡張機能で何を入れるべきかの判断も早くなる。
もう1つ、名前の似た機能と混ざりやすい点を先に切り分けておく。検索結果から開いたページで、右側に検索結果が付いてくる形の表示を指して「検索のサイドパネル」と呼ぶ場合がある。これは、ここで扱っている、ブックマークや履歴を入れる枠とは出どころが違う。前者は検索の画面が提供する動線で、後者はブラウザ自身が持つ領域になる。「勝手に出てくる」という相談のうち、閉じても次の検索でまた出るものは前者に当たることが多い。閉じるボタンの位置と、次に検索したときに再び出るかどうかで、どちらの話をしているかが判別できる。
開き方、閉じ方、左右の入れ替え、固定
操作は短い。閉じるときはパネル右上の閉じるを選ぶ。幅を変えるときは、パネルの横の境目をドラッグする。左右のどちら側に開くかは、設定のデザインの中にサイドパネルの項目があり、そこで選べる。右利きの環境で本文を左に寄せたいときは、この設定を変えるだけで済む。
固定は、毎日使う項目に対して意味がある。Chromeでは、Google レンズ、リーディング リスト、ブックマーク、履歴、リーディング モードの5つを個別に固定できる。手順は、その他アイコンから該当の機能を開き、アイコン名の横のツールバーに固定するを選ぶ形になる。固定するとプロファイルの左横にアイコンが並び、次からは1クリックで開閉できる。外すときは同じ場所で固定を解除するを選ぶか、アイコンを右クリックして固定を解除を選ぶ。
拡張機能のパネルを毎日使うなら、開閉をキーボードに割り当てる手もある。この方法は実務の記事で具体的に触れられている。
Chrome拡張(chrome://extensions/)はキーボードショートカットを割り当てできます。触りやすい位置に配置しておけば、サイドパネルを簡単に開閉可能です。 出典: note.com
ツールバーのアイコンを探す動作が省けるだけで、参照の頻度が上がる。逆に言えば、キーを割り当てたくなる回数まで使わない項目は、固定しておく必要もない。ツールバーに並べるアイコンは増えるほど1つあたりの発見が遅くなるので、固定の対象は日常的に押すものだけに絞るほうが扱いやすい。
幅の決め方にも押さえておく点がある。サイドパネルを開くと、その分だけ本文の領域が狭くなる。多くのサイトは画面の幅に応じて表示を切り替える作りになっているため、本文側が一定の幅を下回ると、横に並んでいた要素が縦に積まれる形へ変わる。読む対象が表や図を含む場合、パネルの幅を広げると本文側がこの切り替えに入り、かえって読みにくくなることがある。幅と位置は別々に調整できるので、機能ごとの組み合わせを一度決めておけば、以後は触らずに済む。
リーディング モードは目的が別
サイドパネルの中でリーディング モードだけは役割が違う。開き方は、その他アイコンからその他のツール、リーディング モードの順になる。開くと本文の文字だけがパネルに移り、フォント、文字サイズ、配色、行間、文字間隔を変えられる。
見落としやすいのは適用範囲だ。ヘルプは、これらの設定はサイドパネルで読むテキストにのみ適用され、Chromeの他の部分や一般のウェブサイトには適用されないと明記している。つまり、読みやすい配色をサイト全体に効かせる道具ではない。長文の記事を集中して読むとき、画像や動画が視界に入らない状態を作るための場所になる。
この違いを理解しておくと、使い分けの線が引ける。参照しながら手元で文章を書く作業では、本文が右のパネルに入り、書く側が左の広い領域に残るため都合がよい。逆に、図や表の位置関係が意味を持つ資料では、文字だけを抜き出した表示は役に立たない。対象が文章なのか、レイアウトを含む画面なのかで選ぶ。
拡張機能のパネルは、標準のものと仕組みが違う
サイドパネルに好きな画面を入れたい場合は、拡張機能の領域になる。Chromeの開発者向け資料では、この仕組みは Chrome 114 以降で使えるようになり、拡張機能の設定ファイルに sidePanel の権限を加えることが前提だと説明されている。すべてのサイトで同じ内容を出す場合は、side_panel の default_path に表示するページを指定する。
実務で効いてくる性質は3つある。1つ目は、タブを移動してもパネルが開いたままにできること。資料では、サイドパネルはタブ間を移動しても開いたままにできる、と機能の一覧に挙げられている。2つ目は、特定のサイトだけで有効にできること。有効でないサイトに移動した場合、パネルは閉じ、その拡張機能はサイドパネルの一覧に表示されなくなる。3つ目は、ウィンドウ全体に対して開く形と、タブごとに開く形を作り分けられることになる。
ツールバーのアイコンを押したときにパネルを開く動作も、拡張機能の側で指定できる。さらに Chrome 116 では、拡張機能側の操作をきっかけにパネルを開く仕組みが追加されている。利用者から見ると、アイコンを押せば開くものと、ページ内の操作で開くものが混在する理由がここにある。動きが揃っていないのは不具合ではなく、作り方の違いになる。
導入するときの見方も、この仕組みから決まる。1つ目は、対象のサイトを限定する作りかどうかを確認すること。特定のサイトだけで有効な作りなら、他の画面で一覧に出てこないのは仕様の範囲になる。2つ目は、タブごとに状態を持つ作りかどうか。タブごとに持つ場合、隣のタブへ移るとパネルの中身が変わるため、全部のタブで同じものを見たい用途には合わない。3つ目は、Chromeの版が要件を満たしているかどうかになる。古い版のまま使っていて一覧に出てこないという相談は、拡張機能の不具合ではなく、必要な版に届いていないだけという場合がある。
枠が1つであることが、使い方を決める
配置を考えるうえで最も重要なのは、サイドパネルの表示先が1つしかないという点になる。何を出すかは一覧から選ぶ形で、開発者向けの資料にもサイドパネルの一覧という表現が出てくる。翻訳の資料を出している間は、チャットのパネルは出せない。
この制約から、向く作業と向かない作業が決まる。
| 作業 | サイドパネル | 別の窓 |
|---|---|---|
| ブックマークから目的のページを探す | 向く。短時間で閉じる | 不要 |
| 長文の記事を読みながら要約を書く | 向く。読む側をパネルに入れる | どちらでもよい |
| 用語集や仕様書を参照しながらコードを書く | 条件付き。参照が1種類なら足りる | 参照が2種類以上なら分ける |
| チャットの通知を常時見る | 向かない。他を出すと消える | 向く |
| メールの返信を書く | 向かない。幅が足りない | 向く |
| 2つのアカウントを行き来する | 向かない。切り替えが残る | 向く |
境目は「常時見えていてほしいものが2つ以上あるか」に集約される。1つであればサイドパネルで足りる。2つ以上になった時点で、パネルの取り合いが発生し、切り替えの手間はタブを行き来していたときと変わらなくなる。
もう1つ、判断を誤りやすい点がある。ログインを必要とする画面をサイドパネルに入れる場合、そのアカウントはブラウザのプロファイルに紐づく。仕事用と個人用で同じサービスを使い分けている場合、パネルに出てくるのは今のプロファイルに結び付いた側だけになる。もう一方を見るにはウィンドウを切り替えることになり、パネルへ入れた意味が薄れる。幅や位置の設定より先に、見たい対象がアカウントをまたぐのかどうかを確かめておくほうが、あとで並べ直す手間が減る。
常時見るものが増えたら、枠ではなく窓を増やす
サイドパネルは、ブラウザの中に1つだけ用意された細い場所を、複数の用途で共有する仕組みになる。1日に何度も見る対象が1つなら、これで完結する。ところが実務では、メール、チャット、案件の一覧、顧客ごとの管理画面といった形で、常時見る対象が3つも4つも並ぶ。その全部を1つの枠に順番で入れるのは、構造上できない。
このとき効くのは、枠を分けるのではなく、アプリごとに窓を分ける考え方になる。アプリごとに独立したワークスペースを割り当てれば、それぞれが自分の場所を持ち、切り替えは一覧から選ぶ操作ではなく、見たいものを見るだけの操作になる。分け方の考え方はワークスペースに整理されている。標準のブラウザでできることとの差はできることで確認できる。
対象のサービスがこの形で扱えるかどうかは、先に一覧で見ておくと判断が早い。メール、チャット、案件管理、クラウドの管理画面を含む対応状況は使えるアプリにまとめられている。開発の作業を同じ画面に置きたい場合、コマンドを扱う機能の範囲はターミナルに書かれている。似た方向の製品との違いを並べて見たいならWaveboxとの比較が参考になる。残る疑問はよくある質問に集まっている。
判断の順序は単純にできる。常時見たい対象を紙に書き出して、数が1つならサイドパネルの固定で足りる。2つ以上なら、パネルの中で解決しようとせず、窓の数で解決する方向に切り替える。この線引きを先に済ませておけば、拡張機能を試して回る時間は要らなくなる。
書き出したときに、同じサービスの別アカウントが2行以上になっていれば、それは枠の話ではなく置き場所の話になっている。標準のサイドパネルで扱えるのはあくまで探す動作と短い参照までで、アカウントが分かれた常設の画面は対象の外にある。ここを取り違えたまま拡張機能を入れ替えても、選び直す作業が増えるだけで、切り替えの回数そのものは減らない。
よくある質問
サイドパネルが消えてしまった場合はどこから戻す?
開きたい機能ごとに入口が分かれています。ブックマークならブックマークとリストからすべてのブックマークを表示、履歴なら履歴からサイドパネルに履歴を表示、リーディング リストならブックマークとリストからリーディング リストを表示を選びます。毎日使うものは、アイコン名の横のツールバーに固定するを選んでおくと次から1クリックで開けます。
サイドパネルを左側に出すことはできる?
できます。設定のデザインの中にサイドパネルの項目があり、どちら側に開くかを選べます。本文を右側に広く取りたい場合は左、逆の場合は右を選びます。幅はパネルの横の境目をドラッグして変えられるので、位置と幅は別々に調整できます。
複数のサイドパネルを同時に表示できる?
表示される枠は1つで、何を出すかは一覧から選ぶ形になります。拡張機能のパネルも同じ枠を共有するため、翻訳のパネルを出している間はチャットのパネルは表示されません。常時見たい対象が2つ以上ある場合は、パネルの中ではなく窓を分ける方向で考えるほうが切り替えが減ります。
リーディング モードの配色を、ふだんのウェブサイトにも適用できる?
適用されません。公式の説明では、リーディング モードで変更したフォントや配色などの設定は、サイドパネルで読むテキストにのみ適用され、Chromeの他の部分や一般のウェブサイトには効かないとされています。サイト全体の見た目を変えたい場合は、別の手段を検討することになります。