タブグループの使い方|ワークスペースとの決定的な違い
タブグループの使い方を調べている時点で、タブバーはすでに読めない状態になっているはずだ。Gmail、Slack、Notion、資料の検索結果が同じ幅を奪い合い、目的のタブに戻るまでに何度も視線が往復する。グループでまとめれば色と名前が付いて、確かに見た目は落ち着く。
ただし、タブグループが片づけてくれるのは「探す」という1つの悩みだけだ。同じタブバーの上には、性質の違う悩みがあと2つ混ざっている。ここでは標準機能としてのタブグループの使い方を確認したうえで、グループでは越えられない線がどこにあるのか、その先はプロファイルとワークスペースのどちらが担当するのかを並べて整理する。
タブが多い状態は、3つの別々の問題が同じ見た目をしている
タブバーが埋まっているとき、そこで起きていることは1つではない。
1つ目は探す問題だ。タブが30枚を超えたあたりからタイトルが読める幅を割り込み、ファビコンだけが並ぶ。どれがどれだか分からないので、目で探すのをやめてクリックで当たりを付けるようになる。
2つ目はログインの問題だ。仕事用と個人用のGmail、クライアントごとのNotion、複数のGoogleアカウントに紐づくカレンダー。これらは同じブラウザの中では同じクッキーの入れ物を共有しているため、片方にログインすると片方が押し出される。タブを何枚開いていようと、この制約は変わらない。
3つ目は常駐の問題だ。毎日必ず開くアプリは、閉じる前提がない。にもかかわらず、その日限りの検索結果と同じ場所に置かれ、同じ幅で扱われている。1日の終わりにタブを整理すると、翌朝はアプリを開き直すところから始まることになる。
この3つは見た目が同じなので、まとめて「タブが多い」と呼ばれる。ところが対処する道具はそれぞれ違う。タブグループが担当するのは1つ目だけで、残る2つには手が届かない。ここを取り違えたまま整理を続けると、何度片づけても同じ状態に戻ってくる。
タブグループの使い方を、標準機能どおりに確認する
タブグループはChromeに最初から入っている機能で、拡張機能を追加する必要はない。手順は公式のヘルプに書かれているとおりで、次の流れになる。
- まとめたいタブを右クリックして「タブをグループに追加」を選び、「新しいグループ」または既存のグループを指定する
- 左側に付いた色付きの円または名前を右クリックすると、名前を付ける、色を選ぶ、タブを追加する、グループを削除する、といった編集ができる
- 既存のグループにタブを足すときは、タブをグループの位置までドラッグする
- グループから外すときは、タブを右クリックして「グループから削除」を選ぶ
- 名前または色付きの円をクリックすると、グループが折りたたまれて丸1つの幅になる
折りたたみが効くのは、タブバーの幅が有限だからだ。グループごとに畳んでおけば、展開しているグループのタブだけがタイトルの読める幅を保てる。作業の単位でグループを切り、いま触っていないグループを畳むのが、標準機能の範囲で幅を取り戻す一番素直な手になる。
閉じたグループが消えてしまうのではないか、という心配もいらない。
閲覧履歴とタブが Google アカウントと同期されている場合、タブグループに加えられた変更は自動的に保存され、すべてのデバイス間で同期されます。 出典: support.google.com
閉じたグループは削除されず、ブックマークバーまたはメニューに保存され、あとから開き直せる。設定のデザインで「ブックマークバーにタブグループを表示する」をオンにしておくと、閉じたグループが常に見える位置に並ぶ。逆に「グループを削除」を選んだ場合は、同じGoogleアカウントを使っている他のデバイスからも消える点には注意がいる。
タブグループが越えられない一線
ここからが、使い方を覚えたあとに突き当たる壁になる。
タブグループが分けているのは、タブバーの上の位置だけだ。グループAのGmailとグループBのGmailは、色も名前も違うが、中身は同じログインセッションを見ている。仕事用のグループで別アカウントに切り替えれば、個人用のグループのGmailも一緒に切り替わる。グループは箱の見た目を変える機能であって、箱の中身を分ける機能ではない。
アカウントを本当に分けたい場合、Chromeが用意しているのはプロファイルの方だ。公式のヘルプはプロファイルの役割をこう説明している。
プロファイルを使用すると、Chrome 上の情報全体(ブックマーク、履歴、パスワードなど)を、プロファイルごとに分離できます。 出典: support.google.com
プロファイルを分ければログインも分かれる。その代わり、切り替えは別のウィンドウを開く操作になる。拡張機能もブックマークもプロファイルごとに別管理なので、仕事用で入れた拡張機能は個人用には付いてこない。3つのアカウントを日に何十回も行き来する人にとっては、ウィンドウが3枚並ぶ状態そのものが新しい負荷になる。
つまり、グループは軽いが分けられない。プロファイルは分けられるが重い。この2つの間に空いている隙間が、3つ目の選択肢が生まれた理由になっている。
縦方向のタブとタブ検索で、探す問題だけは先に片づく
グループの話に入る前に使い切っておくべき標準機能が2つある。どちらも拡張機能なしで使える。
1つは縦方向のタブだ。タブバーの空白部分を右クリックして「タブを縦方向に表示」を選ぶと、タブバーがウィンドウの横に移動する。公式のヘルプによれば、この状態ではすべてのページタイトルを確認でき、タブのリストをスクロールでき、タブバーの幅を必要に応じて調整できる。横に並べたときの最大の問題だった「タイトルが読めない」が、ここで解消する。
もう1つはタブ検索で、タブバーの端にあるアイコンから開いているタブをキーワードで絞り込める。既定でオンになっていて、タブバーに自動的に固定されている。縦方向のタブを使っている場合も同じ場所から呼び出せる。
探す問題に限れば、この2つとグループの折りたたみで実務上は足りることが多い。逆に言えば、ここまでやってもまだ手間が残るなら、その手間はもう探す問題ではない。切り替えと常駐の問題が残っているということになる。
グループの切り方を、色と名前で運用に載せる
機能を覚えても、切り方を決めていないとグループは増えるだけで終わる。実務で破綻しにくいのは、次の3つの軸のどれか1つに絞って切る方法になる。
- 案件で切る。クライアントAの資料、クライアントBの資料、というようにグループを分ける。案件が終わったらグループごと閉じられるので、片づけの単位と仕事の単位が一致する
- 時間で切る。今日中に片づけるもの、今週中のもの、いつか読むもの。3つしか作らないので迷いが起きにくく、朝に1回だけ並べ替えれば運用が続く
- 工程で切る。調べる、書く、確認する。同じ案件でも頭の使い方が変わる境目でグループを分けると、切り替えのたびに前の工程のタブが視界から消える
避けたいのは、この3つを混ぜることだ。案件で切ったグループと時間で切ったグループが同じタブバーに並ぶと、どちらに入れるべきか毎回迷うタブが出てくる。迷いが出た時点で運用は止まり、タブはグループの外に溜まり始める。
色の使い方も決めておくと効く。グループの色は名前とは別に選べるので、軸ごとに色の意味を固定しておく。たとえば赤は今日中、灰色はいつか読むもの、というように決めておけば、名前を読まなくても優先度が判断できる。名前の方は短くする。折りたたんだときに表示されるのは名前の先頭の数文字だけなので、長い名前を付けても最後まで読めない。
グループの数は、両手で数えられる範囲に収めた方がいい。グループが10個を超えると、今度はグループを探す作業が発生する。タブを探す手間をグループを探す手間に置き換えただけになり、最初の問題がそのまま形を変えて戻ってくる。
タブグループ・プロファイル・ワークスペースを並べて比べる
3つの選択肢を、同じ項目で並べると違いがはっきりする。
| 比べる項目 | タブグループ | Chromeプロファイル | アプリ単位のワークスペース |
|---|---|---|---|
| 分けているもの | タブバー上の位置と色 | ブックマーク、履歴、パスワード、拡張機能 | クッキーと保存領域をアプリごとに |
| 同じアカウントに複数ログイン | できない | できる(ウィンドウを分ける) | できる(同じ窓の中で) |
| 切り替えの手数 | クリック1回、同じウィンドウ | 別ウィンドウを開く | キー操作1回、同じウィンドウ |
| 再起動後に残るか | 残る(アカウントに同期) | 残る | 残る |
| 別のパソコンと同期 | できる(Googleアカウント経由) | できる(Googleアカウント経由) | 道具による |
| 得意なこと | タブを見つけること | アカウントを完全に隔てること | 窓を増やさずにアカウントを分けること |
表の2行目が、タブグループの使い方をいくら磨いても解決しない列になる。そして3行目が、プロファイルに移した人がやがて不満を抱く列になる。
判断の順番はこうなる。困っているのが「目的のタブが見つからない」だけなら、グループと縦方向のタブで足りる。困っているのが「アカウントの切り替えに時間を取られる」なら、グループを何個作っても変わらない。切り替えの頻度が1日に数回ならプロファイルで足り、1日に何十回ならウィンドウを増やさない方式を検討する段階になる。
アプリを常駐させる場所を、タブの外に作るという考え方
3つ目の問題、つまり毎日開くアプリの置き場所について整理しておく。
タブグループでアプリをまとめても、アプリは依然としてタブとして存在している。ウィンドウを閉じればグループごと閉じ、通知はそこで止まる。資料タブを整理する操作のたびに、アプリタブも一緒に巻き込まれる。常駐するものと使い捨てのものが同じ棚に載っている限り、この巻き込みはなくならない。
ここを構造から変えるのが、Webアプリを1つの窓にまとめて扱うアプリ集約ブラウザという種類の道具になる。GmailやSlackやNotionを左側の一覧に固定し、それぞれを独立した領域として開く。資料を何枚開こうとアプリの位置は動かず、タブバーの取り合いから外れる。何ができる道具なのかはできることに一覧でまとまっている。
この種の道具で効いてくるのが、アプリごとに独立したワークスペースという設計だ。アプリごとにクッキーの入れ物が分かれていれば、3つのGmailに同時にログインしたまま、同じ窓の中に並べておける。タブグループでは越えられなかった2行目が、ここで初めて埋まる。分け方の仕組みはワークスペースで説明されている。
同じ方向の道具は複数あり、対応しているサービスの数、料金の考え方、動作の軽さで差が出る。代表的な1つとの違いはWaveboxとの比較に項目ごとに並んでいる。無料の範囲でどこまで使えるか、有料に移る境目がどこかを先に知りたい場合は料金を見ると早い。自分が毎日使っているサービスが最初から並んでいるかどうかは使えるアプリで確認できる。導入の前に引っかかりやすい点はよくある質問にまとまっている。
結論として、タブグループの使い方を覚える価値はある。拡張機能を入れずに、折りたたみと色分けと同期まで手に入る機能は他にない。ただし効く範囲は探す問題に限られる。タブバーが埋まる根本の原因が、閉じられないアプリと分けられないログインの側にあるなら、グループを増やす作業はその原因に一度も触れていないことになる。いま自分が困っているのが3つのうちどれなのかを見極めることが、道具を選ぶより先に決まる。
よくある質問
タブグループはグループごとに別のアカウントでログインできますか?
できません。タブグループが分けているのはタブバー上の位置と色だけで、クッキーは同じブラウザの中で共有されたままです。片方のグループでアカウントを切り替えると、もう片方のグループの同じサービスも一緒に切り替わります。ログインを分けたい場合はプロファイルか、アプリ単位でクッキーを分ける道具を使います。
タブグループを閉じると中のタブは消えますか?
消えません。閉じたグループは削除されず、ブックマークバーまたはメニューに保存され、あとから開き直せます。設定のデザインで「ブックマークバーにタブグループを表示する」をオンにしておくと常に見える位置に並びます。ただし「グループを削除」を選んだ場合は、同じGoogleアカウントの他のデバイスからも消えます。
タブグループは別のパソコンでも同じように見えますか?
閲覧履歴とタブがGoogleアカウントと同期されていれば、タブグループへの変更は自動的に保存され、すべてのデバイス間で同期されます。同じアカウントでログインしている別のパソコンのChromeでも同じグループが見られます。同期をオフにしている場合は、そのパソコンの中だけに存在します。
タブを整理する拡張機能は今でも入れる価値がありますか?
かつて拡張機能が担っていた縦方向のタブ、グループ化、タブ検索は標準機能に入っています。まず標準機能で足りるかを試し、それでも残る不満の中身を見てから追加を検討するのが手戻りが少ない順番です。数百件を一覧で保管したい場合など、標準機能では届かない用途に絞ると選びやすくなります。