zoom アカウント 複数|切り替えずに並べて持つ整理法

Zoomのアカウントを複数持っている人が困るのは、アカウントが複数あること自体ではない。困るのは、同じ時間帯に2つ以上のアカウントが必要になったときに、道具の側が「どちらか一方」しか差し出さないことにある。勤務先の有料アカウント、取引先から招待された組織のアカウント、個人で取った無料アカウント。この3つが同じ午後に並ぶ日は珍しくない。ここでは、Zoomが公式に用意している複数アカウントの扱いと、その仕組みが届かない範囲、そして届かない部分をブラウザ側で埋める考え方を順に整理する。

「複数アカウント」と言われている状況は3つに分かれる

同じ言葉で語られているが、実際には性質の違う3つの状況がある。見分けないまま対策を選ぶと、合わない答えを当てることになる。

1つ目は、順番に使う状況になる。午前は勤務先のアカウントで社内会議、午後は取引先の組織に招かれた別アカウントで打ち合わせ、という並びだ。同時に2つが動いているわけではないので、行き来が速ければ済む。

2つ目は、同時に必要になる状況になる。自分がホストとして会議を開いている最中に、別のアカウント宛に届いた別の会議へ入る必要が出るような場合だ。ウェビナーの配信を確認しながら、視聴者側の見え方を別アカウントで確かめる作業もここに入る。順番に使う話ではないので、切り替えでは解けない。

3つ目は、そもそも入り口を間違える状況になる。カレンダーから招待リンクを踏んだ瞬間に、意図していないアカウントで会議に入ってしまい、表示名も所属組織も違ったまま画面に出てしまう。これはアカウントの数の問題ではなく、リンクを開く経路の問題になる。

自分がどれに当たるかは、「その2つは同時に動いている必要があるか」という質問だけで分かれる。いいえなら1つ目、はいなら2つ目、どちらでもなくリンクの行き先が狂うだけなら3つ目になる。3つが混ざって起きている人もいるが、その場合でも、いちばん頻度の高いものから手を付けるほうが結果が早く出る。

Zoomのアプリが用意している切り替えと、その上限

Zoomは、複数のアカウントを持つ人のための機能をデスクトップアプリとモバイルアプリに用意している。公開されているサポート記事によれば、保存できる認証情報は最大5組になる。最初に1つのアカウントでサインインしたあと、追加で4つまでサインインでき、プロフィール画像のメニューから切り替える形になる。

使うには版が要る。Windows、macOS、Linuxのデスクトップアプリ、AndroidとiOSのモバイルアプリのいずれも、5.16.10以上が条件として示されている。長く更新していない端末では、この項目自体がメニューに出てこない。

境目も2つ書かれている。1つは、会議やウェビナーの進行中は切り替えができないこと。参加中の会議へのアクセスが、使っているアカウントによって変わる可能性があるためとされている。もう1つは、管理者がZoom Device Managementでこの機能を止められること。止められている環境では、片方から手作業でサインアウトして、もう片方にサインインし直す形に戻る。詳しい手順と条件はZoomのサポート記事に掲載されている。

サインイン方法が混ざっていても登録はできる。切り替えの一覧には、それぞれのアカウントのメールアドレスと、GoogleやSSOといったサインインの種類が表示される。社内はSSO、取引先から招かれた組織はGoogle、個人はメールとパスワード、という組み合わせでも同じ一覧に並ぶ形になる。使い終わったアカウントは一覧から個別にサインアウトでき、まとめて全部からサインアウトする項目も用意されている。

ここまでで分かるのは、Zoomのアプリの機能は「1つ目の状況」に向けて作られている、ということになる。順番に使うなら、この仕組みで足りる。サインアウトとサインインを繰り返す手間は確実に消える。逆に言えば、アカウントの数が5組を超える人や、同時に動かす必要がある人は、この機能だけでは足りない位置にいることになる。

切り替えでは解けない場面がどこに残るか

問題は2つ目の状況になる。アプリの切り替えは、あくまで「いま前に出ているアカウントを入れ替える」動きなので、同時に2つのアカウントで会議に入ることはできない。会議中は切り替え自体が止められているため、進行中の会議を持ったまま別アカウントで何かをする、という使い方は想定の外にある。

この制約が実務で効いてくる場面は、思ったより具体的だ。ウェビナーを配信しながら、参加者にどう見えているかを別アカウントで確認したい。自分がホストの会議を続けながら、別組織の会議に音声だけ入って待機したい。録画の権限が片方のアカウントにしか付いていないため、記録用と進行用を分けたい。どれも「切り替え」では届かない。

端末を分ける、という力技もある。ノートパソコンで片方、手元のスマートフォンでもう片方に入る形だ。Zoomの複数アカウント機能はモバイルアプリにも用意されているので、端末ごとに別のアカウントを前に出しておくことはできる。ただし、画面共有や資料の切り替えが必要な側をスマートフォンに置くと作業そのものが苦しくなるため、待機や視聴のように受け身の用途に限るのが現実的になる。

もう1つ見落としやすいのが、ライセンスがアカウントに付いているという点になる。録画の保存先、ウェビナーの枠、共同ホストの指定、会議の時間制限。これらはアカウント単位で決まるため、「どのアカウントで入ったか」が、その会議でできることを直接決める。入る前にアカウントを確かめる癖が要るのは、このためになる。

入り口を分けるという、もう1つの考え方

Zoomはアプリだけの製品ではない。ブラウザから会議に参加する経路も用意されている。そしてブラウザの側では、ログイン状態はタブではなくプロファイルに属している。つまり、入り口を分ければ、アカウントを同時に持てる。

Googleが自社のヘルプで説明している挙動は、この構造を理解するのに役立つ。

複数のアカウントに同時にログインしている場合、使用しているアカウントがどれか Google で判断できなくなることがあります。たとえば、2 つのアカウントにログインした状態で、新しいブラウザ ウィンドウを開く場合に、どちらのアカウントを使用するか判断できないことがあります。 出典: support.google.com

同じ仕組みの上で動いている以上、Zoomの会議URLを踏んだときも似たことが起きる。どのセッションが使われるかは、そのブラウザのプロファイルが何を持っているかで決まる。

分ける手段として最初に挙がるのは、ブラウザのプロファイルになる。Chromeのヘルプには、プロファイルを使うとブックマーク、履歴、パスワードなどの情報をプロファイルごとに分離できると書かれており、用途として「仕事用と個人用などで別々のアカウントを使用する」場合が挙げられている。プロファイルの追加と切り替えの手順はChromeのヘルプにまとまっている。

プロファイル方式の弱いところは、増えたときの扱いになる。プロファイルは窓ごとに切り替わるので、アカウントが3つ4つと増えると、どの窓がどのプロファイルなのかを自分で覚えることになる。Dockに同じアイコンが並び、見た目で区別が付かない状態が起きやすい。名前と色とアイコンを設定できる仕組みは用意されているが、それは窓を開いたあとに確かめる手がかりであって、開く前に行き先を決める仕組みではない。

もう1つ、プロファイルを増やすと拡張機能や設定も分かれる点は覚えておく必要がある。片方のプロファイルに入れたパスワード管理の拡張機能は、もう片方には入っていない。会議の直前に別のプロファイルへ移り、そこでログインを求められて慌てる、という形の手戻りが起きやすい。分けると決めたら、どのプロファイルに何を入れておくかまで一度決めてしまうほうが、あとが楽になる。

招待リンクを踏んだ瞬間に、行き先が決まっている

3つ目の状況、つまり入り口を間違える問題は、アカウントの数とは別の原因で起きる。カレンダーやメールやチャットに貼られた会議URLを踏むと、OSが既定のブラウザへ渡し、そのブラウザが既定のプロファイルで開く。踏んだ側の意図は、この経路のどこにも入っていない。

結果として、取引先の組織で開かれている会議に、個人アカウントの表示名のまま入ってしまう。あるいは、有料ライセンスが付いていない側のアカウントで入ってしまい、録画ボタンが出ない。会議が始まってから気づくと、入り直すことになり、その数十秒は全員が待つ時間になる。

手当ては、リンクを踏む前ではなく、リンクの行き先の側に置くのが現実的になる。どのアプリのリンクをどのセッションで開くかが最初から決まっていれば、踏む人が毎回判断する必要はなくなる。アプリごとに独立したワークスペースを持つ道具が解こうとしているのは、この部分になる。

運用として先に決めておくと楽になること

道具を変える前に決めておくと、どの方式を選んでも効く項目がある。

  • 会議に入る前に、画面右上のアカウント表示を見る習慣を付ける。表示名と所属組織が正しいかを見るだけで、入り直しはかなり減る
  • 録画、ウェビナー、共同ホストなど、権限がどのアカウントに付いているかを一覧にしておく。会議の種類ごとに使うアカウントが決まる
  • 管理者が切り替え機能を止めている環境かどうかを先に確かめる。止められているなら、アプリ内の切り替えは最初から選択肢に入らない
  • 同時に2つ必要になる場面が月に何回あるかを数える。年に数回なら手作業で足り、週に何度もあるなら入り口を分ける方式に移す価値がある

数えるという作業が効くのは、ここで方式が分かれるからになる。順番に使うだけなら、Zoomのアプリに入っている切り替えが最も手数が少ない。同時に必要なら、入り口の側を分けるしかない。

窓の分け方から見直すときに見ておく資料

アカウントの数が増えたときに効くのは、アプリの中の切り替え機能ではなく、アプリの外側の置き場所になる。同じサービスの複数アカウントを、それぞれ専用のCookieコンテナに入れて同時にログインしたまま保つ考え方はワークスペースで説明されている。スペースを切り替えても、どこからもログアウトされない構造になっている点が、プロファイル方式との違いになる。

リンクの行き先が狂う問題については、リンクを属するアプリとアカウントで自動的に開く仕組みができることに並んでいる。SlackやNotionに貼られたURLを踏んだときに、ログイン済みの正しい側へ着地させるという考え方になる。Zoomを含め、どのサービスをこの形で扱えるかは使えるアプリに一覧がある。

同じ分類の製品どうしでも、設計の前提は違う。セッションを窓ごとに分けるか、サービスごとに分けるか、拡張機能で後付けするかで、増えたときの扱いやすさが変わる。個別の違いはWaveboxとの比較Shiftとの比較に整理されている。費用が毎月かかる形かどうかも判断材料になるので、料金の考え方も先に見ておくと、比較の軸がぶれない。

判断の順番としては、まず自分がどの状況にいるかを決める。順番に使うだけならZoomのアプリの機能で足りる。同時に必要なら、入り口を分ける方式を検討する。リンクの行き先だけが問題なら、踏んだあとの着地点を固定する仕組みを先に入れる。アカウントの数を減らす方向に無理をするより、置き場所を決めるほうが早く片が付く。

よくある質問

Zoomのデスクトップアプリでは、いくつまでアカウントを登録できますか?

公開されているサポート記事では、保存できる認証情報は最大5組とされている。最初に1つサインインしたあと、追加で4つまでサインインでき、プロフィール画像のメニューから切り替える形になる。利用にはデスクトップアプリ、モバイルアプリともに5.16.10以上の版が条件として示されている。

会議中に別のアカウントへ切り替えることはできますか?

できない。会議やウェビナーの進行中は切り替えが止められている。使っているアカウントによって、その会議へのアクセス自体が変わる可能性があるためと説明されている。別アカウントで何かを確認したい場合は、切り替えではなく入り口を分ける方式が必要になる。

会社のZoomでアカウント追加のメニューが出てこないのはなぜですか?

2つの原因が考えられる。1つはアプリの版が古い場合で、5.16.10未満では機能自体が現れない。もう1つは、管理者がZoom Device Managementでこの機能を止めている場合になる。止められている環境では、手作業でサインアウトしてからサインインし直す運用に戻る。

招待リンクを踏むと意図しないアカウントで入ってしまうのは直せますか?

リンクを開く経路を固定すれば直せる。OSは既定のブラウザへリンクを渡し、ブラウザは既定のプロファイルで開くため、踏む側の意図は経路に入っていない。ブラウザのプロファイルを分けるか、リンクを属するアカウントで開く仕組みを持つ道具を使うかの2つが現実的な手当てになる。

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