Chromeのパスワードをエクスポートする|書き出したあとの扱い方
「chrome パスワード エクスポート」と調べる場面は、パソコンを買い替える直前か、別のパスワード管理の仕組みに移ろうとしているときに来る。Chromeに保存したパスワードは、数クリックでCSVファイルとして書き出せる。ただし書き出したファイルは中身が読める状態で手元に残るため、手順と同じくらい、書き出したあとの片づけが重要になる。ここでは保存場所の見分け方から、エクスポートの手順、取り込み後の始末までを順に整理する。
保存先がGoogleアカウントかデバイスかで話が変わる
エクスポートの手順に入る前に、いま自分のパスワードがどこにあるのかを確かめておく。Chromeヘルプは、保存のされ方を3つに分けて説明している。Chromeにログインしている場合はGoogleアカウントに保存され、他のデバイスや一部のアプリでも使える。Chromeにログインしていない場合はそのデバイスの中にローカルに保存され、他のデバイスとは共有されない。そして、デバイスに保存したパスワードは、あとからGoogleアカウントに取り込むこともできる。
この違いは、乗り換えのときの手数に直結する。Googleアカウント側に入っているなら、新しいパソコンでChromeに同じアカウントでログインするだけでパスワードは付いてくる。書き出しは要らない。一方、Chromeにログインせずに使ってきた場合や、Chromeから別のパスワード管理アプリへ移りたい場合は、ファイルとして持ち出す手順が必要になる。
保存の場所を確かめる一番早い方法は、ChromeでChrome でパスワードを管理するの案内どおりにGoogle パスワード マネージャーを開いて、右上のプロフィールにアカウントが入っているかを見ることだ。アカウントが入っていればGoogleアカウント側、入っていなければそのパソコンの中だけにある。
エクスポートの手順
Chromeヘルプに載っている手順は次の流れになる。パソコンでChromeを開き、右上のその他アイコンから「パスワードと自動入力」を開いて「Google パスワード マネージャー」を選ぶ。開いた画面の左側にある「設定」を選び、「パスワードをエクスポート」の右側にある「ファイルをダウンロード」を選ぶ。
この操作を実行すると、Macでは本人確認を求められる。Touch IDかMacのログインパスワードを通してから、保存先を選ぶ画面が出る。書き出されるのはCSVファイルで、サイトのURL、ユーザー名、パスワードが列で並んだ表になっている。
書き出しの単位を選ぶ画面はない。エクスポートは、そのアカウントまたはそのデバイスに入っているパスワードをすべて含む。仕事のアカウントだけを出したい、特定のサイトだけを移したいという場合は、書き出したあとにCSVを開いて不要な行を消す形で調整する。この形について、Chromeのパスワード移行を扱う記事でも同じ説明がされている。
WEBで設定したidとパスワードは、他のPCにも移行が可能です。ダウンロードしたデータはEXCELのCSVファイルですので、編集して、戻すことも可能です。 出典: athtech.co.jp
なお、同じ操作はブラウザを問わずpasswords.google.comの設定からも行える。Chromeの画面が英語表示になっていて項目名が探しにくいときは、そちらから進めるほうが早い場合がある。
書き出す前に、件数と中身を見ておく
エクスポートは全件がまとめて出る操作なので、その前に中身を一度眺めておくと後の判断が楽になる。Google パスワード マネージャーの一覧には、保存されているサイトが並んでいる。ここで目に付くのは、もう使っていないサービス、同じサイトが複数のユーザー名で重複して登録されている行、そしてパスワードを変えたのにChromeの中だけ古い値が残っている行だ。
使っていないサービスの行は、移行先に持ち込む意味がない。重複している行は、どちらが今のものか分からなくなり、移行先で毎回選ばされる原因になる。古い値が残っている行は、移行先で自動入力が失敗する形で後から効いてくる。Chromeヘルプには、保存したパスワードを表示、編集、削除する操作も同じ画面からできると書かれているので、書き出す前にこの3種類を整理しておく。
整理の判断材料として使えるのが、Chromeが備えているパスワードの点検機能だ。保存したすべてのパスワードについて、データ侵害で漏れていないか、推測されやすいものになっていないかをまとめて確認できる。書き出して別の仕組みに移すタイミングは、弱いパスワードを入れ替える機会でもある。移す前に変えておけば、移行先に古い値を持ち込まずに済む。
書き出したCSVは、そのまま読める状態にある
エクスポートしたCSVは暗号化されていない。テキストエディタでも表計算ソフトでも開けて、全部のパスワードがそのまま読める。つまり、そのファイルが置かれている場所は、パスワードを書いた紙を机に置いているのと同じ扱いになる。
危ないのは、置き場所として選びやすい場所ほど危ないという点だ。デスクトップやダウンロードフォルダは、クラウドストレージの同期対象になっていることが多い。同期がかかると、CSVはそのサービスのサーバーと、同じアカウントでつながっている他のパソコンにもコピーされる。会社から支給されたパソコンで、バックアップの対象フォルダに置いた場合も同じことが起きる。
書き出しの前に決めておくことは3つある。どこに保存するか、いつ消すか、その間に誰の目に触れるか。保存先は同期の対象外にしてある一時的なフォルダを選ぶ。ファイルをメールやチャットで自分に送るのは避ける。送った先の受信箱に、消しにくい形で残る。
Googleは、他のパスワード管理の仕組みから取り込むときの手順の最後に、ダウンロードしたCSVを削除するよう書いている。方向が逆の場合も理屈は同じで、書き出したファイルは役目が終わったところで消す。ゴミ箱に入れるだけでは残るので、ゴミ箱も空にする。
移行先に取り込んでから、元の側をどうするか
取り込み先での作業は、行き先によって変わる。別のパスワード管理アプリに移す場合は、そのアプリのインポート機能でCSVを読み込む。Chromeが書き出す列の並びは決まった形なので、多くのアプリがChrome用の取り込み設定を用意している。
Googleアカウント側に集めたい場合は、passwords.google.comの設定からインポートを選び、ファイルを指定する。Googleの案内では、この取り込みの手順は、元のマネージャーからCSVをダウンロードする、Google側にインポートする、ダウンロードしたCSVを削除する、という3つの段階で説明されている。
取り込みが済んだら、移行元の側を整理するかどうかを決める。Chromeに残したままにしておくと、サイトを開いたときにどちらの仕組みが自動入力するのかが混ざり、パスワードを変えたときに片方だけ古い値のまま残ることになる。Chromeの側を空にする場合は、Google パスワード マネージャーの設定に「Google パスワード マネージャーのデータをすべて削除」の項目があり、そこから消せる。ここを押すとパスキーも含めて消えるので、取り込み先で実際にログインできることを確かめたあとに実行する。
削除まで一度に決めきれないときは、Chromeの自動入力をオフにして様子を見るという中間の手もある。数週間使って取りこぼしが無いことを確かめてから消せば、戻れない操作を先に踏まずに済む。
エクスポートの項目が見つからないとき
手順どおりに進めても「パスワードをエクスポート」が出てこない場合、確認する場所は主に3つある。
1つめは、開いている画面が古い並びのままになっている場合。Chromeの設定画面は項目の置き場所が変わってきており、以前は「自動入力」の下にあった。Chromeを最新版に更新すると、ヘルプに書かれている並びに揃う。
2つめは、会社や学校が管理しているChromeを使っている場合。管理者がポリシーでパスワードの書き出しを禁止していると、項目自体が消えるか、押しても何も起きない。この場合は設定を変えるのではなく、管理している部署に確認する。
3つめは、プロフィールが別のものになっている場合。Chromeで複数のプロフィールを使い分けていると、いま開いているプロフィールに保存されたパスワードしか見えない。探しているパスワードが別のプロフィールに入っていれば、そちらに切り替えてから書き出す。仕事用と個人用を分けて使っている場合、書き出しは2回に分かれることになる。
パスキーと二要素認証は、CSVでは運べない
パスワードの書き出しで取り残されるものが2つある。1つはパスキーだ。パスキーはパスワードの代わりに使う仕組みで、Google パスワード マネージャーにも保存されるが、CSVのエクスポートには含まれない。パスキーで入っているサービスは、移行先の環境で改めて登録し直すことになる。
もう1つは二要素認証だ。認証アプリが出す6桁のコードや、SMSで届く確認コードの設定は、パスワードとは別の場所にある。CSVを移しただけでは、新しいパソコンでログインしようとした段階で確認を求められて止まる。認証アプリを入れているスマートフォンを手元に置いてから移行を始める、というだけのことだが、これを忘れると作業が半端なところで中断する。
回復用のコードを紙や別の場所に保存していない状態でスマートフォンを買い替えると、パスワードは分かるのにログインできないという詰まり方になる。パスワードの書き出しを考えるタイミングで、主要なサービスの回復手段がどうなっているかも一度見ておくと安全だ。
プロフィールを行き来している人が、そもそも詰まる場所
エクスポートの話に行き着く手前で、同じサービスを複数のアカウントで使っていることが負担になっている場合がある。Chromeのプロフィール切り替えでしのいでいると、切り替えるたびにウインドウが入れ替わり、どちらのアカウントで開いているのかを画面から判断しにくい。パスワードがどちらのプロフィールに入っているのか分からなくなるのも、ここから始まる。
この行き来を、切り替えではなく置き場所の分離で扱う道具として、アプリ集約ブラウザがある。Gmail、Slack、Notionのようなサービスをひとつの窓にまとめつつ、アプリごとに独立したワークスペースで動かす形のMac用アプリで、考え方はできることにまとめられている。アカウントやサービスごとに何を分ける単位にしているのかはワークスペースで説明されている。
自分が毎日使っているサービスが扱えるかどうかは、対応しているサービスを並べた使えるアプリで確かめられる。同じ分野には先に出ているアプリがあり、価格や対応OS、扱える範囲が違うので、事実を並べたWaveboxとの比較やShiftとの比較のようなページで見比べておくと判断しやすい。導入前の細かい疑問はよくある質問に集まっている。
パスワードの書き出しは、あくまで持ち運びの手段だ。書き出す回数そのものを減らしたいなら、どのアカウントでどのサービスを開いているのかが画面から分かる形を先に作るほうが、あとの手間は軽くなる。
よくある質問
Chromeから書き出したCSVは暗号化されていますか?
暗号化されていません。テキストエディタや表計算ソフトで開くと、サイトのURL、ユーザー名、パスワードがそのまま読める状態です。クラウドストレージの同期対象になっているフォルダには置かず、取り込みが終わったらファイルを削除し、ゴミ箱も空にしてください。
パソコンの買い替えなら、エクスポートは必要ですか?
ChromeにログインしてパスワードをGoogleアカウントに保存していた場合は不要です。新しいパソコンで同じアカウントでChromeにログインすれば、保存済みのパスワードが使えます。エクスポートが必要になるのは、Chromeにログインせずに使ってきた場合と、別のパスワード管理アプリへ移す場合です。
特定のサイトのパスワードだけを書き出せますか?
書き出す対象を選ぶ画面はなく、エクスポートはそのアカウントまたはデバイスに入っているパスワードをすべて含みます。絞りたい場合は、書き出したCSVを表計算ソフトで開いて不要な行を削除してから取り込み先に読み込ませる形になります。編集後のファイルも平文なので扱いは同じです。
「パスワードをエクスポート」の項目が出てこないのはなぜですか?
Chromeのバージョンが古くて画面の並びが違う場合、会社や学校の管理ポリシーで書き出しが禁止されている場合、そして別のプロフィールを開いている場合が主な原因です。Chromeを更新して並びを揃え、プロフィールを確かめ、それでも出ないときは管理している部署に確認してください。