freeeで複数の事業所を扱う|画面を行き来せずに済ませる

freee 複数 事業 所で調べている人が知りたいことは、たいてい3つに集約される。そもそも複数作れるのか、料金はどうなるのか、作ったあとどうやって行き来するのか、だ。答えは公開されている資料にそろっている。複数作れるが料金は事業所ごとに発生し、切り替えは画面右上から行い、申告のときにデータを合算することはできない。ここではこの前提を確かめたうえで、後から変えられない項目や、日々の行き来を軽くする手立てまで順に並べる。

「複数の事業所」には2つの意味がある

先に言葉を分ける。freeeで複数の事業所という場合、指しているものが2通りある。

1つは、1人または1社が別々の帳簿を持つ場合になる。個人で2つの事業を営んでいて、それぞれ独立した帳簿と申告が必要な状態がこれに当たる。freeeの世界では事業所という単位そのものを増やすことになる。

もう1つは、1つの法人が複数の拠点を持つ場合になる。本社と支店があり、労働保険を拠点ごとに管理しているような状態だ。この場合、会計の帳簿は1つでも、人事労務の側で拠点ごとの情報を持つ必要が出る。

この2つを混ぜると、調べても答えが合わない。前者は会計の側の話で、事業所を追加する操作になる。後者は人事労務の側の話で、1つの事業所の中に複数の情報を持たせる話になる。自分がどちらなのかを決めてから読み進めると、迷いが減る。

以下では、まず前者の会計側の扱いを見て、そのあとで後者の人事労務側の扱いに触れる。

追加の手順と、後から変えられない項目

freeeのヘルプセンターには、メールアドレスでアカウントが作成されている場合、自分が作成した事業所と招待された事業所のそれぞれにアクセスできると書かれている。そして、1人で複数の事業を経営している場合には、freeeに複数の事業所を作成することも可能だと案内されている。

追加の入り口は2つある。freee会計の画面から追加する場合は、画面右上の事業所名にカーソルを合わせて事業所の一覧と追加の項目を開き、事業所を新規登録する流れになる。freeeアカウント管理から追加する場合は、同じく画面右上の事業所名から新しい事業所をつくる項目を選ぶ。どちらでも、最後に事業所の基本情報を入力して登録する。

ここで1つ、注意の書かれている項目がある。事業形態は後から変更できないという点だ。個人として登録するのか法人として登録するのかを、登録の時点で決めることになる。迷ったまま進めると、作り直す以外に手がなくなる。事業形態が決まっていない段階では、先に決めてから登録するほうが確実になる。

もう1つ、ログインの方法による違いも案内されている。freee人事労務でのみ使えるログインIDというしくみでは、複数の事業所に招待することができないため、事業所の切り替えも追加もできないとされている。自分がメールアドレスでログインしているのかログインIDでログインしているのかは、この機能を使えるかどうかの分かれ目になる。

料金は事業所ごとに発生する

費用の考え方は、ヘルプセンターに1行で書かれている。複数の事業所を作成することは可能で、利用料金は事業所ごとに発生するという内容になる。つまり、2つの事業を別の帳簿で持つなら、契約も2つになる。

金額の目安として、freee会計の個人事業主向けの料金ページに公開されている内容を並べる。

プラン 月額(税抜) 年額(税抜)
スターター 980円 11,760円
スタンダード 1,980円 23,760円
プレミアム 3,316円 39,800円
入力おまかせ 4,150円 49,800円

料金ページには、表示価格はすべて税抜きであると注記されている。スターターは確定申告のみを行う範囲で、消費税の申告はスタンダード以上に含まれる。入力おまかせについては、基本の料金に月60件の処理が含まれ、61件目からは1件あたり70円の従量の料金が発生すると書かれている。また、利用料は必要経費として計上できると案内されている。

ここから導ける判断が1つある。事業所を分けると、月々の負担は単純に倍になる。片方の事業の規模が小さいうちは、分けるか分けないかを税理士に相談してから決めたほうが、費用と手間の両方で無駄が出にくい。なお最新の金額はfreeeの料金ページで確かめられる。

切り替えは画面右上。ただし合算はできない

複数の事業所へのアクセス権を持っている場合、画面右上の事業所名から、表示と記帳の対象になる事業所を切り替えられると案内されている。事業所名の一覧が出て、選んだ事業所に表示が変わる形になる。

ここで押さえておくべき制限がある。freee会計は事業所ごとの契約になるため、確定申告や決算申告を行う際に、複数の事業所のデータを合算させることはできないとされている。合算して申告したい場合は、事前に1つの事業所へ取引や仕訳のデータを移してから手続きを行う流れになる。移し方としては、元の事業所のデータを書き出して、新しい事業所へ読み込ませる方法が案内されている。

この制限は、事業所を分ける判断に直接効いてくる。確定申告のときに1つの申告書へまとめる必要があるなら、最初から1つの事業所で記帳したほうが素直になる。逆に、事業ごとに数字を完全に分けて見たい、あるいは将来どちらかを法人にする予定がある、といった事情があるなら、分けておく意味が出る。

判断の順番としては、申告の形が先で、画面の使い勝手は後になる。申告の形を決めずに事業所を分けると、あとで移す作業が発生する。

人事労務の側は拠点ごとの労働保険に対応した

1つの法人が複数の拠点を持つ場合の話に移る。こちらは会計ではなく人事労務の側で扱いが変わった。

フリー株式会社(本社:東京都品川区、CEO:佐々木大輔、以下「freee」)は、freee人事労務において、複数の労働保険情報管理に対応を開始しました。 複数の事業所を持つ企業においても、それぞれの事業所ごとの労働保険をfreee人事労務上で管理が可能になり、さらに給与計算や賞与計算など必要な手続きにも対応します。 出典: corp.freee.co.jp

このお知らせは2025年9月30日のもので、それまでは1つの法人につき1つの労働保険の管理に限定されていたと説明されている。そのため、拠点ごとに労働保険を個別に管理する必要がある企業や、拠点は同じでも事業内容が異なって一括の適用ができない企業は、別の道具を使って管理する必要があったとされている。

複数で設定できるようになった項目も公開されている。基本情報として事業所の名称、住所、事業主名、電話番号。労働保険として労働保険番号、管轄の労働局、管轄の労働基準監督署。雇用保険として雇用保険事業所番号、雇用保険事業所の業種、管轄のハローワークになる。

つまり、拠点ごとの保険の管理が目的なら、会計側で事業所を増やす必要はない。人事労務の側で拠点の情報を持たせる形になる。ここを取り違えて事業所を2つ作ると、料金が2つ分になるうえ、帳簿も分かれてしまう。

自分で作った事業所と、招待された事業所が並ぶ

もう1つ、画面に事業所が増える経路がある。自分で作った場合だけでなく、招待された場合も一覧に並ぶ。ヘルプセンターには、メールアドレスでアカウントが作成されている場合、自分が作成した事業所と招待された事業所のそれぞれにアクセスできると書かれている。

この結果として起きやすいのが、会計事務所や税理士の側の状況になる。顧問先ごとに招待を受けると、一覧に並ぶ事業所の数が担当している件数と同じになる。1人で10件を担当していれば10件が並ぶ。切り替えは可能でも、いま開いているのがどの顧問先なのかを常に確かめ続ける必要が出てくる。

会社の側でも同じことが起きる。経理の担当者が本業の会社と関連会社の両方に招待されていれば、2つが並ぶ。自分で作った覚えがないのに一覧に事業所が増えているのは、たいていこの経路になる。

したがって、一覧が長くなってきたら、まず由来を分けて考える。自分で作ったものは料金の負担が自分に来る。招待されたものは招待した側の契約になる。混ぜて数えると、支払っている金額と画面の数が合わずに混乱する。並び順を入れ替えられる道具では、よく使うものを上に置いておくと日々の操作が短くなる。

分ける前に確かめる4つのこと

ここまでの内容を、判断の順番に並べ直す。この4つを先に確かめると、あとで作り直す作業が起きにくくなる。

確かめること 見るところ 分ける判断への影響
申告を1つにまとめるか 税務上の扱い まとめるなら1つの事業所で記帳する
事業形態 個人か法人か 登録後に変更できないので先に確定させる
料金の負担 事業所ごとに発生する 分けた数だけ契約が増える
目的が保険の管理か 会計か人事労務か 保険なら人事労務側で設定する

上の2行は取り返しがつきにくい項目になる。申告の形を決めずに分けてしまうと、データを移す作業が後から発生する。事業形態を間違えると、作り直す以外の手がない。

下の2行は判断を変えやすい項目になる。料金は途中でプランを見直せる。保険の管理も、人事労務側の設定で対応できると分かれば、会計側は1つに保ったまま進められる。

順番を守るだけで結果が変わるのは、上の2行が下の2行より戻しにくいからになる。急いでいるときほど画面の操作から始めたくなるが、先に決めるのは税務の形と事業形態になる。

同時に見たいときの扱いを決めておく

複数の事業所を扱っていると、片方の数字を見ながらもう片方を入力したい場面が出てくる。freeeの側では、経営管理の道具について、事業所の一覧に複数の事業所がある場合はブラウザでそれぞれ別のタブで開くことで同時に開けると案内されている。1つのタブで親会社、もう1つのタブで子会社という使い方が例として挙がっている。

ここが日々の負担になりやすい。タブで分ける方法は最初はうまくいくが、事業所が3つを超えたあたりから、どのタブがどの事業所なのかが見分けにくくなる。切り替えを1回間違えると、入力先を間違えた記帳が残る。会計の入力は後から直せるが、直したことを確かめる手間まで含めると、間違えない形にしておくほうが安い。

対処は、同じ画面を1枚ずつ切り替えるのではなく、事業所ごとに独立した入り口を持たせる方向になる。アプリごとに独立したワークスペースという作り方が何を指すのかはワークスペースのページで説明されている。どこまでを1つの窓にまとめられるのかはできることのページで確かめられる。会計以外の業務のWebサービスも同じ形に並べられるかは使えるアプリの一覧で見られる。

同じ用途の製品を比べる材料もある。Waveboxとの比較とShiftとの比較のページには、軸ごとの違いが並んでいる。費用の条件は料金のページ、導入前に出やすい疑問はよくある質問にまとまっている。

最後に、分ける単位の目安を1つ置く。窓を割り当てる単位は、事業所にそろえる。freee側の仕切りが事業所で入っているので、同じ単位で入り口を分けると、いま開いている窓と記帳先が一致する。タブの並び順で覚える運用は、タブが増えた時点で崩れる。仕切りの単位を画面の側にも写しておくほうが、間違いの起きる余地そのものが減る。

よくある質問

freeeで事業所を複数作ると料金はどうなりますか?

ヘルプセンターでは、複数の事業所を作成することは可能で、利用料金は事業所ごとに発生すると案内されています。2つの事業を別の帳簿で持つなら契約も2つになります。個人向けのスタータープランは月額980円、スタンダードは月額1,980円で、いずれも税抜の表示になります。

事業所を追加するときに気を付ける項目はありますか?

事業形態は後から変更できないと案内されています。個人として登録するか法人として登録するかを、登録の時点で決める必要があります。決めずに進めると作り直す以外に手がなくなるため、先に確定させてから登録します。追加の入り口はfreee会計の画面右上と、freeeアカウント管理の2か所です。

複数の事業所のデータを1つにまとめて申告できますか?

できません。freee会計は事業所ごとの契約になるため、申告の際に複数の事業所のデータを合算することはできないと案内されています。合算したい場合は、事前に1つの事業所へ取引や仕訳のデータを移してから手続きを行います。申告の形を先に決めてから事業所を分けるかを判断すると無駄がありません。

拠点ごとに労働保険を管理したい場合も事業所を分けるのですか?

分ける必要はありません。2025年9月30日のお知らせで、freee人事労務が複数の労働保険情報の管理に対応したと発表されています。事業所の名称や住所、労働保険番号、雇用保険事業所番号などを複数設定できるとされています。会計側の事業所を増やすと料金も帳簿も分かれるため、目的を確かめてから決めます。

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