Gmailの代理アクセス|パスワードを渡さずに任せる
gmail 代理 アクセスを調べている状況は、たいてい2つに分かれる。自分の受信箱を誰かに見てもらいたい側か、他人の受信箱を任された側だ。どちらから来た場合も、最初に押さえるべきは「パスワードを渡す必要がない」という点になる。そのうえで、代理人にできることには線が引かれていて、人数にも上限がある。反映までに待ち時間もある。ここでは公式ヘルプに書かれている数字と制限をそのまま確かめて、設定のあとに困りやすいところまで順に並べる。
パスワードを共有せずに受信箱を任せるしくみ
Gmailには、自分のアカウントへのアクセス権を他の利用者に渡すしくみが用意されている。日本語の解説では次のように整理されている。
メールの委任とは、自分のGmailアカウントへのアクセス権限を、特定の他ユーザーに付与する機能です。これにより、パスワードを共有することなく、他のユーザーに自分の受信メールの確認や返信作業を代理で行ってもらうことが可能になります。 出典: blog.tekuru.com
この差が実務では大きい。パスワードを渡す運用には、退職や異動のたびに変更が必要になる、二段階の確認が通らない、誰が操作したのか後から追えないという問題がついてくる。代理アクセスなら、渡すのは権限そのものなので、外すときは一覧から削除するだけで終わる。
任された側の見え方も変わる。代理人は自分のGoogleアカウントでログインしたまま、アカウントの切り替えの一覧から相手の受信箱に入る。ログアウトして入り直す必要はない。1つのブラウザに複数の受信箱が並ぶので、どちらを開いているのかを間違えないようにする工夫が別に必要になる。この点は後の節で扱う。
設定の入り口と、反映までの待ち時間
設定は任せる側が行う。パソコンのGmailで右上の設定のアイコンから「すべての設定を表示」を開き、「アカウントとインポート」のタブに進んで、アクセスを許可する相手のメールアドレスを追加する。招待のメールが相手に届き、相手が承諾すると使えるようになる。
ここで待ち時間が発生する。公式ヘルプには、設定が反映されるまでに最長で24時間ほどかかることがあると書かれている。手順を間違えたと思って何度もやり直すと、招待が重なって混乱するので、追加したら一度置いて翌日に確かめるのが確実になる。
招待には期限もある。公式ヘルプでは、招待は1週間後に有効期限が切れると示されている。相手が長期の休みに入っている時期に送ると、承諾されないまま消えることになる。相手に伝えてから送る、という手順を挟んでおくと無駄が減る。
外すときも同じ画面で行う。一覧から相手を削除すれば、その時点でアクセスできなくなる。引き継ぎのたびに追加と削除を繰り返す運用になるので、誰に権限を渡しているのかを定期的に見る習慣を付けておくと、把握できない状態を避けられる。
代理人にできること、できないこと
線引きは明確に決まっている。公式ヘルプの記述を整理すると次のようになる。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| できること | アカウント内のメールの閲覧、送信、削除 |
| できないこと | 他の利用者とのチャット、パスワードの変更 |
| できないこと | Googleアカウントの設定へのアクセス |
| できないこと | ドライブやフォトへのファイルの追加 |
| 送信時の表示 | 代理人がそのアカウントからメールを送ると、代理人のメールアドレスが表示される |
最後の行が運用上の分かれ目になる。代理で送ったメールには、操作した人のアドレスが出る。つまり、受け取った相手からは誰が書いたのかが分かる。これを隠したい用途には向かない。逆に、社内で「誰が返信したか」を残したい場合には都合がよい。どちらを望むのかで、代理アクセスを選ぶかどうかが決まる。
パスワードを変えられない点も押さえておく。任された側がアカウントを乗っ取れる余地はないので、渡す側の心理的な負担は小さい。ただし、メールの削除はできるため、消えて困る記録がある場合は、そこだけ別の場所に控えを残しておく判断が要る。
上限は人数で決まっている
代理人の数には上限がある。公式ヘルプに示されている数字は、アカウントの種類で分かれている。
- 個人用の@gmail.comのアカウントは、最大10人の代理人を追加できる
- 仕事用または学校用のアカウントは、最大1,000人の代理人を追加できる
- 1つのGmailアカウントに同時にアクセスできる代理人は40人
3つ目の数字は最初の2つと意味が違う。登録できる人数と、同じ時間帯に開ける人数は別ということになる。40人が同時に1つの受信箱を見る状況は通常の職場では起きないが、代表のアドレスを部署ぐるみで見る運用にすると近づく。人数が増えるほど、誰が読んだのか、誰が返したのかが追いにくくなるので、数字の上限に当たる前に運用の限界が来る。
個人用のアカウントで10人という上限は、家族や小さなチームで使う範囲なら十分に収まる。上限に当たりそうなら、それは1つの受信箱に役割を詰め込みすぎているという合図になる。用途ごとにアドレスを分けるほうが、あとの引き継ぎも楽になる。
数字の使い方をもう1つ補う。仕事用の1,000人という上限は、部署の全員に権限を渡しても届かない大きさになる。したがって、実務で先に当たるのは機能の上限ではなく人の限界になる。3人を超えたあたりから、同じメールに2人が返信する、読んだ印だけが付いて誰も動いていない、といった重なりと抜けが出始める。担当を1人に決めて残りは控えにする、当番を日で割る、といった取り決めを合わせて置いておくと、権限を配る数を増やさずに済む。
管理者側で閉じられていると、利用者側の画面には出せない
仕事用のアカウントで設定が見つからない場合、手順を間違えているのではなく、組織の側で許可されていないことがある。管理者向けの案内には次のように書かれている。
ユーザーがアクセス権を委任できるのは、ドメインや組織に関係なく、同じ組織内の別のユーザーのみです 出典: knowledge.workspace.google.com
つまり、外部の協力会社や個人のアドレスへ委任することはできない。社外の担当者に受信箱を見てもらう運用は、この方法では成り立たない。そこを勘違いしたまま準備を進めると、招待の段階で行き詰まる。
管理者側の設定場所も公開されている。管理コンソールのメニューから「アプリ」に進み、Google Workspace、Gmail、ユーザー設定と辿った先の「メールの委任」がその項目になる。全員に許可することも、特定の部門だけに許可することもできる。ここでの変更も反映までに最長で24時間ほどかかると案内されており、通常はこれより短い時間で終わるとされている。
実務では、順番を決めておくと早い。まず利用者側の画面に設定の項目があるかを見る。無ければ管理者へ確認する。項目があるのに招待が届かない場合は、相手のアドレスが同じ組織のものかを確かめる。公式ヘルプそのものはGmailヘルプから辿れるので、社内で説明するときはこちらを示すと話が早く終わる。
任せる前に決めておく3つのこと
権限を渡す作業そのものは短時間で終わるが、決めずに始めると後から戻しにくくなる項目が3つある。誰に渡すか、どこまで任せるか、いつ外すかになる。
誰に渡すかは、同じ組織内という制限があるので候補が限られる。そのうえで、送信まで任せるのか閲覧だけを期待するのかを本人と合わせておく。公式ヘルプが代理人にできることとして挙げているのは閲覧と送信と削除で、閲覧だけに限る設定は案内されていない。送ってほしくない相手に渡すと、善意の返信が先に出ることになる。
どこまで任せるかは、機能の制限ではなく取り決めで決めることになる。返信してよい相手の範囲、判断に迷ったときの確認先、送る前に下書きを見せるかどうかを、文章にして共有しておく。口頭だけで済ませると、休みの日に届いた急ぎの案件で判断が分かれる。
いつ外すかは、渡すときに一緒に決めておく。長期の休みのあいだだけなのか、担当が替わるまでなのかで、見直しの時期が変わる。期限を決めずに渡した権限は、たいてい残り続ける。設定画面の一覧を四半期ごとに見る、といった頻度を先に置いておくと、把握できていない権限が積み上がるのを避けられる。
向く場面と向かない場面を先に見分ける
代理アクセスは万能ではない。公式ヘルプに書かれている制限から、向く場面と向かない場面はほぼ機械的に分けられる。
| 場面 | 向くかどうか | 理由 |
|---|---|---|
| 休暇中の受信箱を同僚に見てもらう | 向く | パスワードを渡さずに済み、外すのも一覧からの削除で終わる |
| 役員の受信箱を秘書が扱う | 向く | 送信時に操作した人のアドレスが表示されるため、誰が返したのか残る |
| 社外の協力会社に見てもらう | 向かない | 委任できるのは同じ組織内の利用者のみ |
| 送信者を伏せて代筆する | 向かない | 代理人のアドレスが受け取った側に表示される |
| 問い合わせ窓口を部署で回す | 条件付き | 個人の受信箱を借りる形になるため、人が替わると設計を組み替えることになる |
最後の行は判断が分かれやすい。代表のアドレスを1人の受信箱として持ち、そこに複数人の権限を集める運用は、動きはする。ただ、その受信箱の持ち主が異動すると、アドレスごと動くか、権限を作り直すかの選択になる。人の入れ替わりが前提の窓口なら、最初から役割のアドレスを立てておくほうが後の手間が少ない。
任された側の画面は増える。そこを分けておく
代理アクセスを設定したあとに残る問題は、任された側の画面が増えることになる。自分の受信箱と、任された受信箱と、場合によっては複数の相手の受信箱が1つのブラウザに並ぶ。切り替えは可能でも、どれを開いているのかを常に意識し続ける必要が出てくる。
事故はここで起きる。自分のつもりで書いた返信が相手のアカウントから出る、あるいは逆に、代理で返すべきものを自分のアドレスから送ってしまう。前の節で見たとおり代理で送れば代理人のアドレスが表示されるため、受け取った側に混ざりは伝わる。取り消しは効かない。
対処は2つある。1つは運用で分ける方法で、代理の受信箱を開く時間帯を決めておく。もう1つは入り口そのものを分ける方法で、アカウントごとに別の窓を割り当てる。後者はアプリ集約ブラウザの考え方で、アプリやアカウントごとに独立した場所を持たせる。アプリごとに独立したワークスペースという作りが何を指すのかはワークスペースのページで説明されている。まとめられる範囲はできることのページで確かめられる。
Gmail以外の業務のWebサービスも同じ窓に並べたい場合は、対応している一覧を使えるアプリのページで見られる。同じ用途の製品と比べたいときは、Waveboxとの比較やShiftとの比較のページに違いが軸ごとに並んでいる。費用の条件は料金のページ、導入前に出やすい疑問はよくある質問にまとまっている。
最後に、代理アクセスで解けない問題を1つ挙げておく。このしくみは個人の受信箱を他人に見せるものであり、宛先そのものを共同で持つものではない。問い合わせ用のアドレスを複数人で回すなら、誰の受信箱を借りるかという形では無理が出る。役割のアドレスを別に立てて、そこに権限を集める設計にしたほうが、人が入れ替わっても壊れない。
よくある質問
代理アクセスを設定すると、相手にパスワードは知られますか?
知られません。渡すのはアカウントへのアクセス権限で、パスワードそのものは共有しません。代理人はパスワードを変更することもできないと公式ヘルプに明記されています。権限を外したいときは、設定画面の一覧からその相手を削除すれば、その時点でアクセスできなくなります。
代理人は何人まで追加できますか?
公式ヘルプでは、個人用の@gmail.comのアカウントは最大10人、仕事用または学校用のアカウントは最大1,000人と示されています。これとは別に、1つのGmailアカウントに同時にアクセスできる代理人は40人とされています。登録できる人数と同時に開ける人数は別の数字になります。
社外の人に受信箱を見てもらうことはできますか?
できません。管理者向けの案内では、アクセス権を委任できるのは同じ組織内の別の利用者のみと明記されています。協力会社や個人のアドレスへは委任できないため、社外と共有したい場合は別の手立てを考える必要があります。招待の段階で行き詰まる前に確かめておくと無駄がありません。
設定したのに代理人の画面に出てきません。どうすればよいですか?
まず時間を置きます。公式ヘルプでは反映までに最長で24時間ほどかかることがあると書かれています。招待は1週間後に期限が切れるため、相手が承諾したかどうかも確かめます。仕事用のアカウントで設定の項目自体が見つからない場合は、管理者が委任を許可しているかを確認します。