Gmailで複数アドレスを使い分ける|エイリアスと差出人の設定
Gmailで「複数アドレスを管理したい」と言うとき、実際には3つの違う要求が混ざっている。1つのアカウントで宛先を増やしたいのか、別に持っているアドレスから送りたいのか、アカウントそのものが複数あるのか。この3つは設定する場所も上限も違い、混ぜて調べると手順が噛み合わなくなる。ここでは3つを分けたうえで、それぞれの設定手順と、2027年に変わることまでを整理する。
「複数アドレス」の3つの意味を分ける
先に自分の状況がどれなのかを決めると、以降の手順が一直線になる。
1つ目が、アカウントは1つで宛先だけを増やしたい場合になる。サービスごとに違うアドレスで登録して、届いたメールを振り分けたいという要求がこれになる。追加料金も新しいアカウントも不要で、設定すら要らない方法がある。
2つ目が、別に持っているアドレスから送りたい場合になる。独自ドメインのアドレスや、学校や職場のアドレス、あるいは昔から使っているアドレスを差出人にしたいという要求になる。Gmailの設定で登録する作業が入り、確認メールを受け取る手順が必要になる。
3つ目が、Gmailのアカウントそのものが複数ある場合になる。仕事用のGoogleアカウントと個人のGoogleアカウントを両方使っている状態で、これは「アドレスの管理」ではなくアカウントの管理になる。同時ログインで切り替えるか、メールクライアントに束ねるかの判断になり、必要な作業の量が最も多い。
多くの場合、2つ目までで用が足りる。3つ目に進む前に、1つ目と2つ目で解けないかを確認したほうが手間が少ない。
設定なしで宛先を増やす2つの書き方
Gmailのアドレスには、追加の設定をせずに宛先を増やせる書き方がある。どちらも同じ受信トレイに届く。
1つ目がプラス記号になる。自分のアドレスの@より前に、プラス記号と任意の文字列を足したアドレスは、すべて本来のアドレスに届く。通販の登録には1つの文字列、ニュースレターには別の文字列、という使い分けができる。宛先が違うのでフィルタの条件に使え、どこから来た広告なのかが受信した時点で分かる。
2つ目がドットになる。Gmailはアドレスの@より前にあるドットの位置を区別しない。名前の区切りにドットを入れた形と入れない形は、同じアドレスとして扱われる。これは使い分けの道具というより、「相手が打ち間違えても届く」という性質になる。
プラス記号の書き方には限界がある。登録フォームがプラス記号を受け付けないサービスがあり、その場合は使えない。また、送られてきたメールの宛先を見れば元のアドレスが分かるため、身元を隠す用途には向かない。あくまで振り分けのための道具になる。
それでも、この2つは費用も手順もゼロで始められる。アドレスを増やすことを検討する前に、まずここで足りるかを試す価値がある。
所有しているアドレスを差出人に登録する
Gmailの画面から、別に持っているアドレスを差出人として使えるようにする機能になる。公式のヘルプでは「別のアドレスやエイリアスからメールを送信する」として案内されている。
上限は明記されている。ヒントとして、最大99個の異なるメールアドレスを使用してメールを送信できると書かれている。対象になるのは、Yahoo!メールやOutlookのようなGmail以外のアドレス、仕事用や学校用のドメインやエイリアス、そして別のGmailアドレスになる。
手順は3段階になる。まずパソコンでGmailを開き、右上の設定アイコンから「すべての設定を表示」を選ぶ。「アカウントとインポート」タブの「名前」の欄で「他のメールアドレスを追加」をクリックし、送信に使う名前とアドレスを入力して確認メールを送る。学校用や仕事用のアカウントの場合は、そのアカウントのSMTPサーバーとユーザー名、パスワードの入力も求められる。
次に、追加したアカウントにログインしてGmailから届いた確認メールを開き、記載されたリンクをクリックする。確認メールが見つからない場合は、[email protected]から届いたメールが迷惑メールや一括送信メールのフォルダに入っていないかを確認する。
最後に、メールの作成画面で差出人をクリックし、送信に使うアドレスを選ぶ。差出人の欄が表示されていない場合は、受信者のメールアドレスの横の空白部分をクリックすると出てくる。全文の手順は別のアドレスやエイリアスからメールを送信するで確認できる。
2027年1月に変わること
この機能には期限付きの変更が予告されている。設計を決める前に知っておく必要がある内容になる。
Gmailのヘルプの冒頭には、2027年1月より、@yahoo.comや@outlook.comなどのサードパーティのメールアドレスを差出人にして送信する機能のサポートを終了すると記載されている。同じ案内の中で、この変更はGoogle Workspaceのエイリアスや、所有している他のGmailアドレスには影響しないとも明記されている。
影響を受けるのは、他社のメールサービスのアドレスを差出人に使っている運用になる。独自ドメインをGoogle Workspaceで運用している場合や、別のGmailアドレスを差出人に使っている場合は対象外になる。手元の設定がどちらなのかを一度確認しておくと、慌てずに済む。
同じ流れの変更は読み込み側にも出ている。他のアカウントのメールをGmailに取り込む機能については、GmailifyとPOPのサポートに変更が加えられる旨の案内が出ている。
GmailifyやPOPを使ってGmailで複数アドレスを管理している人は、上記のいずれかの方法への変更を検討してください。 出典: yaritori.jp
どちらの変更も、他社のサービスを経由する形が細っていく方向になる。長く使う仕組みを組むなら、独自ドメインをGoogle Workspaceのエイリアスとして持つ形か、Gmailアドレスを差出人に使う形のほうが前提が崩れにくい。
届いたメールをアドレスごとに振り分ける
差出人の設定が終わったら、受信側の整理に移る。複数のアドレスを1つの受信トレイで受ける場合、振り分けが無いと混ざる。
Gmailのフィルタでは、検索条件の「To」に宛先のアドレスを入れて条件を作る。プラス記号で増やしたアドレスも、差出人として登録したアドレスも、宛先として届いている限り条件に使える。フィルタの動作でラベルを付け、必要なら受信トレイをスキップする。
ラベルの設計は2段階までに抑えると扱いやすい。アドレスごとに1つのラベルを作り、その下に必要なだけ子ラベルを作る形になる。アドレスが5本あってもラベルは5つで済み、どのラベルを見れば何の話なのかが一目で決まる。
振り分けの条件には宛先以外も使える。差出人のドメイン、件名に含まれる語、添付の有無、サイズで絞り込める。通知メールだけを受信トレイから外し、ラベルの中で溜める形にすると、受信トレイに残るのは人が書いたメールだけになる。
注意したいのは、フィルタが働く順番になる。複数のフィルタが同じメールに当たると、すべてが順に適用される。受信トレイをスキップする設定と、重要マークを付ける設定が競合すると、意図しない結果になることがある。作ったあとに実際のメールで1度確かめると確実になる。
差出人を取り違えないための設定
複数のアドレスを差出人に登録したあとで起きる事故は、ほぼ1種類に絞られる。新規作成で身元を間違えることになる。
返信は比較的安全になる。届いたメールに返信すると、そのメールを受け取ったアドレスが差出人になる。相手から見た宛先と、返ってくる差出人が一致するため、取り違えが起きにくい。
危ないのは新規作成になる。差出人の欄で選ばれているアドレスから送られ、その初期値は設定で決まる。使用頻度の高いアドレスを既定にしておき、それ以外を使うときだけ手で選ぶ形にすると、間違いの方向が一定になる。
受信側の見え方にも癖がある。ヘルプには、受信者がOutlookなどのメールサービスを使っている場合、「あなたの名前@gmail.comが次の人の代理で送信しました」のように表示されることがあると記載されている。加えて、不在時の自動返信を設定している場合、自動返信のフィルタを作っている場合、受信トレイがいっぱいで通知が送信された場合にも、元の@gmail.comアドレスが相手に見えることがある。屋号で活動している場合は、この挙動を知らないと意図しない形で本名のアドレスが出る。
登録したアドレスが無効になったときも要注意になる。無効なエイリアスからメールを送るとバウンスメールが返ってくるため、使わなくなったアドレスは設定から削除しておく。
アカウントをまたぐと別の問題になる
ここまでの設定は、すべて1つのGmailアカウントの中で完結する。アカウントそのものが複数ある場合、同じ手では解けない。
複数のGoogleアカウントに同時にログインしておけば右上のアイコンから切り替えられるが、Googleアカウントのヘルプには、複数のアカウントにログインしていると、どのアカウントを使っているのかGoogleが判断できなくなることがあると書かれている。共有リンクを踏んだときに意図しないアカウントで開くのはこれが原因になる。設定はアカウントごとに個別に管理できるが、既定のアカウントの設定が適用される場面もある。
さらに、切り替えの操作そのものが積み上がる。アドレスの使い分けは設定で1度決めれば終わるが、アカウントの切り替えは毎回手を動かす。2つなら気にならず、3つを超えたあたりで負担として感じ始める。
そして、アカウントが複数ある状況では、たいていGmail以外も複数になっている。チャットも共有ドライブもカレンダーもアカウント分あり、それらが1つのブラウザのタブに並ぶ。この段階では、メールの設定をどう詰めても手応えが出ない。
設定で解ける範囲と、置き場所の話
整理すると、Gmailの設定で解けるのは「1つのアカウントの中で宛先と差出人を増やす」ところまでになる。プラス記号での宛先追加、99個までの差出人登録、宛先を条件にしたフィルタ。ここまでは費用もかからず、崩れにくい形で組める。
設定の外に出るのは、アカウントが複数ある場合になる。この形の詰まりは、切り替えを速くするのではなく、サービスごとに置き場所を固定すると解ける。Webアプリを1つずつ独立した窓として扱えば、アプリごとに独立したワークスペースができて、同じサービスの2つ目のアカウントもログアウトなしで別の場所として並ぶ。考え方はワークスペースに、範囲はできることにまとめてある。毎日開くサービスが対象に入っているかは使えるアプリで確かめられる。
同じ分類の道具にも設計の差がある。機能を広く載せた設計との違いはWaveboxとの比較に、軽さを重視した設計との違いはFerdiumとの比較に整理した。判断の順番は決まっている。アカウントが1つなら設定で足りる。アカウントが3つ以上あり、Gmail以外も同じ数だけ開いているなら、置き場所のほうに手を入れる。
よくある質問
Gmailで差出人に使えるアドレスは何個までですか?
Gmailのヘルプには、最大99個の異なるメールアドレスを使用してメールを送信できると記載されています。登録には設定の「アカウントとインポート」から追加し、そのアドレスで確認メールを受け取ってリンクを踏む手順が必要です。確認前のアドレスから送ると、送信の時点で失敗します。
プラス記号を使ったアドレスは本当に届きますか?
Gmailのアドレスの@より前にプラス記号と任意の文字列を足したアドレスは、本来のアドレスに届きます。宛先が違うのでフィルタの条件に使え、登録先ごとに文字列を変えれば振り分けができます。ただしプラス記号を受け付けない登録フォームもあるため、そこでは使えません。
2027年1月の変更で何ができなくなりますか?
Gmailのヘルプには、2027年1月より@yahoo.comや@outlook.comなどのサードパーティのメールアドレスを差出人にして送信する機能のサポートを終了すると記載されています。同じ案内で、Google Workspaceのエイリアスや所有している他のGmailアドレスには影響しないと明記されています。
複数のアドレスを1つの受信トレイで混ざらないようにできますか?
フィルタの条件に宛先のアドレスを入れて、アドレスごとにラベルを付けます。プラス記号で増やしたアドレスも、差出人として登録したアドレスも、宛先として届いていれば条件に使えます。通知だけが届くアドレスは受信トレイをスキップさせ、ラベルの中で溜める形にすると受信トレイが軽くなります。