Googleアカウントが勝手にログアウトする原因|切れる場所を突き止める
Googleアカウントが勝手にログアウトする現象は、アカウントの異常や不正アクセスとは限らない。ログイン状態を証明している小さなファイルが、この端末のどこかの設定によって捨てられているだけの場合が多い。この記事では、切れる瞬間のタイミングから原因を3通りに絞り、どの設定をどの順番で見ればよいかを示す。
ログイン状態はアカウントではなくCookieに入っている
Googleは、Cookieの役目としてまず「ログイン状態を維持する」ことを挙げている。つまりログイン済みという事実は、アカウント側ではなく、いま使っているブラウザの中に保存されている。Chromeのヘルプはその裏返しの結果まで書いている。Cookieを削除すると、ユーザー情報を保持しているサイトからログアウトしたり、保存した設定が削除されたりする可能性があり、これはCookieを削除するたびに起こる、という説明である。キャッシュとCookieの削除を案内するページにも、削除後はログインしていたサイトで再びログインが必要になると明記されている。
ここまで分かると、問いの形が変わる。「なぜGoogleが締め出してくるのか」ではなく、「この端末で、何が、どのタイミングでサイトデータを消しているのか」を探すことになる。原因になりうるものは限られていて、しかもそのうちの一つは、多くの人が自分で入れた覚えのないChromeの設定である。
パスワードが破られた、アカウントが凍結された、といった話とは筋が違う。ログインを求められるだけで、ログインすれば元のメールや履歴がそのまま残っているのであれば、消えたのはアカウントではなくログインの証明書だけだと考えて調べを進めてよい。
切れるタイミングを見れば原因は絞れる
同じ「勝手にログアウト」でも、起きる瞬間が違えば原因も違う。まずタイミングを書き出すと、調べる場所が一気に減る。
- ブラウザを閉じて開き直すたびに毎回ログイン画面になる。日中は落ちない。この形はChromeの「デバイス上のサイトデータ」の設定が有力
- 日中に突然、しかもGoogleの全サイトで同時にログアウトされる。この形はChromeからのログアウトや、プロファイルの作り直しが有力
- 掃除ツールやウイルス対策ソフトを動かした直後に落ちる。Googleも、一部のウイルス対策ソフトや関連ソフトウェアによってCookieが削除されることがあると書いている
- シークレットウィンドウで作業している。Googleの説明では、すべてのシークレットウィンドウを閉じると自動的にログアウトされる。これは不具合ではなく、そう作られている動きである
実際の相談を読むと、タブとアカウントの数が多い環境で起きやすいことも見えてくる。
グーグルアカウント が勝手にログアウトしてしまい困っています。在宅で仕事をしております。グーグルクロームを使ってタブを15くらい開き、複数のグーグルアカウントを利用しています。 すると、ログアウトのボタン も押してないのに、勝手にログアウトする現象がおきています。 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
タブ15個と複数アカウントという環境は、この現象に当たりやすい条件がそろっている。ログインの証明書が1か所にまとまって保存され、そこを消す設定やソフトが一つでも動いていれば、全部が同時に落ちるためである。
すべてのウィンドウを閉じたときにサイトデータを消す設定
Chromeには、サイトが端末に保存するデータの扱いを決める設定がある。Googleは3つの選び方を案内している。サイトによるデバイスへのデータの保存を許可する、すべてのウィンドウを閉じるときにサイトが保存したデータを削除する、サイトによるデータの保存を許可しない、の3つである。
このうち真ん中を選んでいると、症状がそのまま説明できる。Googleの表現では、サイトはおおむね想定どおりに機能するが、次回アクセスしたときにユーザーに関する情報が記憶されている可能性は低くなる、となっている。日中の作業は何も問題なく進み、ブラウザを終了して戻ってきた瞬間に全アカウントがログイン画面に戻る。これがこの設定の正体である。
たどり方は次の通り。Chromeの右上のその他アイコンから設定を開き、プライバシーとセキュリティ、サイトの設定、その他のコンテンツの設定、デバイス上のサイトデータと進む。ブラウザを閉じたときだけ落ちるという心当たりがあるなら、他の設定を触る前にここを読むのが先である。
同じ働きをするものが他にもある。終了時に閲覧履歴データを消す拡張機能や掃除ツール、プライバシー保護を売りにしたユーティリティは、名前が違うだけで同じことをしている。Googleがウイルス対策ソフトに言及しているのも同じ理由で、ブラウザの外から消されている場合は、Chromeの設定をいくら見ても答えが出ない。
Googleが案内している確認の順番
Googleは、自動的にログアウトされる場合に試す手順を公開している。順番に並べると次のようになる。
- Cookieが有効になっていることを確認する。一部のウイルス対策ソフトや関連ソフトウェアによってCookieが削除されることがある
- Cookieが有効なら、ブラウザのキャッシュを削除する。ただしCookieを削除すると、これまでにアクセスしたサイトで保存した設定も消える
- 最新バージョンのブラウザを使っているか確認する
- Chromeなどのブラウザにパスワードを保存させる
- 2段階認証プロセスを使っている場合は、信頼できるパソコンを追加する
この一覧で重要なのは、キャッシュの削除が2番目であって1番目ではないという点である。ネット上でよく見かける「Cookieを消せば直る」という助言は、複数のアカウントを使っている環境ではいちばん高くつく手段になる。
もう一つ、見落としやすい記述がある。Googleは、すべてのウェブサイトでGoogleアカウントからログアウトするにはChromeからログアウトすると案内している。意図的にChromeからログアウトした、あるいはプロファイルを作り直した場合、Googleのセッションはまとめて消える。全サイト同時に落ちる形の説明はここにある。
期限のある設定にも注意が要る。サードパーティCookieをブロックしている状態で特定のサイトを一時的に許可すると、通常のブラウジングではその許可は90日間、またはオフにするまで有効だとGoogleは書いている。期限が切れた許可は、数か月後に突然ログインを求められる形で表に出るため、原因不明の再発に見えてしまう。
アカウントを増やすほど被害が広がる仕組み
ここまでは1つのアカウントの話である。1つのウィンドウで複数のアカウントを使っていると、これに構造的な問題が重なる。
Googleは複数ログインについて、アカウントごとに設定は分かれていると説明する一方で、同時にログインしているとどのアカウントを使っているのか判別できない場合があり、既定のアカウントの設定が適用されることがあると認めている。既定になるのは最初にログインしたアカウントで、アドレスに付く番号も追加した順番を表しているだけである。
そしてCookieの置き場は1つである。サイトデータを消す操作は、その1か所をまとめて空にする。仕事用だけを残して個人用のログインをやり直す、という選び分けはできない。前の章で触れたデバイス上のサイトデータの設定も、アカウント単位ではなくブラウザ単位で効く。
結果として、次の流れが起きる。1つのアカウントで調子が悪くなる。調べるとCookieを消せと書いてある。消すと5つのアカウントすべてがログアウトされる。その後の1時間は、問題のなかったアカウントの確認コードを集める作業に消える。番号付きのアドレスをブックマークしている場合は、追加順が変わった時点で別のアカウントの画面が開くため、これもログアウトされたように見える。
ログイン画面とデバイスの棚卸し
原因を潰したあとに、ログイン画面の見通しを良くしておくと、次に何か起きたときの判断が速くなる。使っていないアカウントが選択画面に並んでいると、どれが生きているのか読み取れないためである。
Googleはログイン画面からアカウントを削除する手順を案内している。ログイン済みのブラウザでアカウントのページを開き、右上のプロフィール写真を選び、ログアウトまたはすべてのアカウントからログアウトを選んだうえで、アカウントを削除を選び、不要なものを削除する。この一覧はブラウザごとに保存されているため、FirefoxやSafariでもログインしたことがあるなら、そちらでも同じ作業が要る。
端末側の棚卸しも同じ場所からできる。Googleアカウントのページからお使いのデバイス、デバイスを管理と進むと、古い端末を削除できる。他人の端末にパスワードが保存されている場合は、パスワードを変更してログアウトを確かめる手順が案内されている。心当たりのない端末が並んでいないかを見るのは、ログアウトの原因調べとは別に価値がある。
Chromeのプロファイルと、窓ごとに分ける方法の違い
Cookieの設定を直したあとに残るのは、すべてのアカウントが1つの入れ物を共有しているという事実である。分ける方法は大きく2通りあり、手間の掛かり方が違う。
Chromeのプロファイルは、ブックマーク、履歴、パスワード、その他の設定を別々に保持する。仕事用と個人用を分けたい場合の方法としてGoogleが案内しているのはこれで、プロファイルごとにCookieの置き場も分かれるため、片方を消してももう片方は残る。代わりに、プロファイルはタブの列を持った1つのブラウザウィンドウそのものになる。アカウントが3つあればブラウザのウィンドウが3つ並び、見分けるしるしは小さなアイコンだけになる。
もう1通りは、ブラウザではなく窓を単位にする方法である。Webアプリごとに窓を持ち、窓ごとにCookieの入れ物を持つ作りにすると、メールボックスが3つあれば3つの窓になり、それぞれのセッションは互いを知らない。まとめて消える経路が無く、どれが既定のアカウントかという問題も起きない。共有しているセッションが無いためである。
どちらを選ぶ場合でも、効く習慣は同じである。仕事の記録が入っているアカウントは、普段の調べ物に使わない入れ物に分けておく。掃除ツールやプライバシー設定は広く効かせてしまいがちで、メールにしか使っていない入れ物は、そもそも掃除の対象として思い出されない。
窓ごとにセッションを持つ道具から読み取れること
アプリ集約ブラウザの資料を読むと、この問題への答えが機能の形で並んでいる。アプリごとに独立したワークスペースという考え方は、同じサービスに複数のアカウントで同時にログインしたままにしておくためのもので、ワークスペースのページでは、アプリごとにCookieの入れ物を分けるとどう動くかが説明されている。3つのGmailを同時に開いても互いを知らない、という説明がそれに当たる。
道具全体でできることはできることにまとめられている。窓の分離のほかに、通知を1か所に集める仕組みや、アプリごとに独自のCSSとJavaScriptを差し込む仕組みが並んでいて、ブラウザのタブを増やす発想とは前提が違うことが読み取れる。同じ分野の他社製品との違いを値段や対応環境の形で並べたWaveboxとの比較もあり、無料でどこまで使えるかを見比べる材料になる。
導入前の疑問はよくある質問に集まっている。アカウントの作成が要るのか、同期はどこを通るのか、といった点は、ログインが切れる問題を抱えている人ほど先に確かめたくなる部分である。ログアウトの原因がCookieの扱いにあるなら、道具を選ぶときの基準も「Cookieの入れ物をどう分けるか」に置くのが筋が通る。
よくある質問
ブラウザを閉じるたびにログアウトされるのは設定ですか?
その形はChromeの「デバイス上のサイトデータ」で、すべてのウィンドウを閉じるときに削除する選択になっている可能性が高いです。設定、プライバシーとセキュリティ、サイトの設定、その他のコンテンツの設定、デバイス上のサイトデータの順に開いて確かめてください。
Cookieを削除すれば直りますか?
直る場合もありますが、Googleも注意しているように、これまでアクセスしたサイトで保存した設定まで消え、ログイン済みのサイトからも一斉にログアウトされます。複数アカウントを使っているなら最後の手段にして、先に削除設定と掃除ソフトを確かめるほうが安全です。
毎回確認コードを求められるのはログアウトとは違いますか?
別の話です。2段階認証プロセスを使っている場合、Googleは信頼できるパソコンを追加する手順を案内しています。ただしブラウザが終了時にサイトデータを消す設定になっていると、信頼した記録も一緒に捨てられるため、削除設定の確認が先になります。
Chromeのプロファイルを分ければ解決しますか?
Cookieの入れ物は分かれるので、片方を消してももう片方は残ります。一方でプロファイルはタブの列を持つブラウザウィンドウ1つ分になるため、3つのアカウントなら3つのウィンドウを行き来することになります。窓ごとにセッションを持つ作りなら、同じ分離をより少ない手間で保てます。