Google広告の複数アカウントを管理する方法|MCCと1メール20個の上限
商材ごとにGoogle広告のアカウントを分けたほうがよいのか、ひとつのアカウントの中でキャンペーンを分けるべきなのか。google広告で複数アカウントを扱おうとしたときに最初に決めるべきは、アカウントを増やす判断と、増えたアカウントをどう束ねるかの二つです。ここでは、ひとつのメールアドレスに紐づけられる上限、MCCアカウントで管理する仕組み、分けるべき場面と分けなくてよい場面の見分け方、そして日々の切り替えの負荷を下げる方法までを整理します。
アカウントを増やす前に確かめること
広告の運用を始めて商材が増えてくると、アカウントを増やす発想が出てきます。ただし公式の案内では、新しいアカウントを作らなくても済む場面があることが示されています。
新しい Google 広告アカウントを作成しようとしています。新しいアカウントを作成しなくても、1 つのアカウントで複数のキャンペーンを作成できます。 出典: business.google.com
同じ会社の中で商材や地域を分けたいだけなら、キャンペーンの単位で分けるほうが管理は簡単です。予算はキャンペーンごとに設定でき、レポートもキャンペーン別に出せます。アカウントを増やすと、請求先の設定、コンバージョン計測の設定、ユーザーの権限付与を、そのアカウントの数だけ用意することになります。
アカウントを分ける必要が出てくるのは、請求の相手が違う場合、コンバージョンの計測を完全に切り離したい場合、そして運用を任せる相手が違う場合です。代理店として他社の広告を預かるなら、アカウントは当然分かれます。自社の複数ブランドでも、事業部ごとに予算の決裁が分かれているなら、アカウントを分けたほうが説明が通りやすくなります。判断の軸は「請求と権限が分かれているか」に置くと迷いが減ります。
ひとつのメールアドレスに紐づけられる上限
アカウントを増やしていくと、ある時点で上限に当たります。Google広告のヘルプでは、ひとつのメールアドレスに関連付けられるGoogle広告アカウントは、MCCアカウントを含めて最大20個と案内されています。
この数を超えて管理する場合、あるいは複数のアカウントを一箇所で見て、コンバージョンをまとめて計測したい場合に、MCCアカウントの利用が推奨されています。毎月の請求書発行によるお支払いを利用しているGoogle広告アカウントでは、MCCアカウントが必要になるという条件もあります。
上限の存在を知らないまま個人のメールアドレスでアカウントを作り続けると、あとから整理する作業が発生します。担当者の個人アドレスに20個近いアカウントが紐づいている状態は、その担当者が離れたときに一斉に影響が及びます。運用を始める段階で、どのアドレスを管理の起点にするかを決めておく価値があります。
MCCアカウントで束ねる仕組み
MCCアカウントは、クライアントセンターと呼ばれる管理用のアカウントです。代理店のように複数のGoogle広告アカウントを扱う立場のために用意されており、他のMCCアカウントや複数のGoogle広告アカウントを1か所で管理できます。
得られる利点は具体的です。1回のログインで、クライアントとしているすべてのGoogle広告のアカウントにアクセスできます。単一のダッシュボードから、すべてのアカウントを検索、操作、管理できます。MCCアカウントからクライアントアカウントのキャンペーンを作成、管理できます。すべてのアカウントの掲載結果を比較したり、複数のアカウントのレポートをまとめて作成したりできます。アラートを使って、リンクされたすべてのアカウントを効率的に管理できます。
構造を押さえておくと運用が楽になります。MCCアカウントは、複数のGoogle広告のアカウントがリンクされた親アカウントのような位置づけで、新しいアカウントと既存のアカウントに加え、他のMCCアカウントも管理できます。つまり階層を作れます。代理店であれば、クライアントの業種ごとに中間のMCCを置き、その下に個別のアカウントを並べる構成がとれます。
注意しておきたいのが、既存のアカウントをMCCアカウントへ変更することはできない点です。すでにGoogle広告のアカウントを持っている場合も、MCCアカウントは新規に作成する必要があります。
MCCでできることとできないこと
MCCアカウントには、リンクされたクライアントアカウントのオーナー権限が与えられます。そのため、クライアントアカウントのユーザーのアクセス権も管理できます。掲載結果の確認やキャンペーンの変更といった運用の操作は、MCC側から行えます。
一方で、できないこともはっきりしています。MCCアカウントでは、アカウントのログイン情報など、クライアントアカウントの固有情報を変更することはできません。子アカウントを管理しようとしてうまくいかない場合は、その子アカウントのオーナー権限がMCCアカウントにあるかを確認します。オーナーになっていない場合は、子アカウントの管理者側でMCCにオーナー権限を付与する操作が必要です。子アカウントで管理者の項目を開き、アクセスとセキュリティに進んで、管理者のセクションにMCCがオーナーとして表示されているかを見ます。
利用者側の見え方も押さえておく価値があります。アカウントがMCCアカウントにリンクされたあとも、クライアントアカウントの個々の利用者は通常どおりログインしてアカウントを使えます。クライアントアカウントの利用者が、リンクしているMCCアカウントや、同じMCCにリンクされている他のアカウントにアクセスすることはできません。管理者権限を持つ利用者は、いつでもMCCアカウントとのリンクを解除できます。
既存のアカウントをMCCにリンクする手順は、MCCアカウントでアカウントのアイコンをクリックし、セクションメニューでサブアカウントの設定のプルダウンを開き、プラスボタンから既存のアカウントをリンクを選び、対象アカウントのお客様ID番号を入力する流れです。複数のアカウントを一括でリンクすることもできます。
人の出入りを前提に権限を組む
複数アカウントの管理で後から困るのは、数ではなく人の出入りです。MCCアカウントを設定したあとは、他の利用者をMCCアカウントに招待し、さまざまなレベルのアクセス権を付与できます。運用を担う人、数字を見るだけの人、請求を確認する人で必要な権限は違うため、同じ強さの権限を全員に渡す運用は避けたい部分です。
MCCアカウントが向いているのは、複数のGoogle広告アカウントを持つ広告主と、複数のクライアントアカウントや数多くのキャンペーンを管理する代理店やオンラインマーケティングの担当者だと案内されています。逆に、アカウントが一つで担当者も一人という状況では、MCCを挟む意味は小さくなります。管理の階層を作ること自体にも手間がかかるため、必要になった段階で導入する判断で足ります。
あわせて決めておきたいのが、担当が変わるときの手順です。管理者権限を持つ利用者は、いつでもMCCアカウントとのリンクを解除できます。裏を返せば、権限を渡した相手がリンクを切れるということです。誰にどの権限を渡したかを記録し、契約が終わった時点で見直す。この運用を最初から組み込んでおくと、あとから棚卸しに追われることがなくなります。
Googleアカウント側の切り替えという別の問題
MCCアカウントを使うと、広告アカウントの行き来はひとつのログインで済みます。ただし現場で時間を取られるのは、その手前にあるGoogleアカウントの切り替えです。自社のGoogleアカウント、クライアントから招待された作業用のGoogleアカウント、検証用のGoogleアカウントが並び、ブラウザ上ではどれか一つが前面にいます。
Googleのサービスは同一のブラウザで複数アカウントに同時ログインできますが、サービスによって挙動が揃いません。ある画面では切り替えのメニューが効くのに、別の画面では最初にログインしたアカウントに戻される。Google広告、Googleアナリティクス、Googleタグマネージャー、Search Consoleを行き来する運用では、この揺れが繰り返し発生します。
さらに、広告の運用はGoogleのサービスだけで完結しません。SlackやChatworkで社内の確認を取り、スプレッドシートでレポートを作り、Gmailでクライアントとやり取りし、請求の確認を別のシステムで行う。クライアントごとにこの組み合わせが変わるため、切り替えの対象はアカウントではなく、アカウントの組み合わせになります。
クライアント単位で窓を分けるという整理
ここで発想を変えると、対策はGoogleアカウントの切り替えを速くすることではなく、クライアントごとに作業の場を分けることに向かいます。アプリごとに独立したワークスペースを持てるアプリ集約ブラウザを使うと、クライアントAのGoogle広告、アナリティクス、スプレッドシート、メールをひとつのまとまりとして開き、クライアントBは別のまとまりに分けられます。
セッションが窓ごとに独立しているため、クライアントAの作業用Googleアカウントと自社のGoogleアカウントを同時に開いたままにできます。前面にいるアカウントが入れ替わって迷うことがなくなり、作業を始めるときに必要な画面が最初から並んでいる状態を作れます。広告の運用では、数字を見る画面と入稿する画面を行き来する回数が多いため、この並びを保てることが時間の差になります。
窓の分け方を決めるときの基準は、請求と権限の分かれ目に合わせることです。アカウントを分ける判断と同じ軸で窓を分けておくと、どの窓で何をしてよいかが自然に決まります。誤って別のクライアントのアカウントで入稿する事故も、窓が分かれていれば起こりにくくなります。
導入を判断するときに見る三点
Webアプリをまとめるブラウザを検討する場合、確かめる点は三つに絞れます。同じサービスを複数アカウントで同時に開けるか、通知をアプリ単位で切り分けられるか、使っているサービスが登録済みの一覧に入っているかです。アプリごとに領域を分ける仕組みの考え方はワークスペースのページに整理されており、通知やショートカットを含む全体像はできることにまとまっています。
Google広告のように業務の中心になるサービスが登録済みかどうかは使えるアプリで確認できます。同じ分野の他の選択肢と比べたい場合は、代表的な製品との違いを並べたWaveboxとの比較とFerdiumとの比較が材料になります。費用の考え方は料金に、導入前に出やすい疑問はよくある質問にまとめられています。
Google広告の複数アカウント管理は、MCCアカウントで構造を作る部分と、手元の画面をどう並べるかの部分に分かれます。前者は公式の仕組みで解決でき、後者はブラウザ側の設計で解決できます。両方を切り分けて考えると、どこに手を入れるべきかがはっきりします。
よくある質問
Google広告のアカウントは分けたほうがよいですか?
請求の相手、コンバージョン計測、運用を任せる相手のいずれかが分かれている場合はアカウントを分ける判断になります。同じ会社の中で商材や地域を分けたいだけなら、公式の案内でも新しいアカウントを作らずに1つのアカウントで複数のキャンペーンを作成できると示されており、キャンペーンで分けるほうが管理が簡単です。
ひとつのメールアドレスに紐づけられるアカウント数に上限はありますか?
ヘルプでは、1つのメールアドレスに関連付けられるGoogle広告アカウントはMCCアカウントを含めて最大20個と案内されています。20個以上を管理する場合や、複数のアカウントを1か所で見てコンバージョンを計測したい場合は、MCCアカウントの利用が推奨されています。
MCCアカウントは既存のアカウントから作れますか?
既存のGoogle広告アカウントをMCCアカウントへ変更することはできません。すでにアカウントを持っている場合も、MCCアカウントは新規に作成する必要があります。作成後に、お客様ID番号を使って既存のアカウントをリンクしていく流れになります。
MCCアカウントからクライアントアカウントの何を変更できますか?
掲載結果の確認やキャンペーンの作成と管理、ユーザーのアクセス権の管理は行えます。一方で、アカウントのログイン情報などクライアントアカウントの固有情報は変更できません。子アカウントを管理できない場合は、その子アカウントのオーナー権限がMCCにあるかを確認する必要があります。