Google Workspaceで複数ドメインを扱う|社名が変わっても困らない形
google workspace 複数 ドメインで調べる場面は、たいてい決まっている。社名やサービス名が変わって新しいドメインを取った、事業を2つに分けた、屋号と個人名のアドレスを併用したい、といった状況になる。このとき最初に決めるのは、そのドメインをどう追加するかになる。追加の仕方は2つあり、後から片方へ移すのが簡単ではないため、選び間違えると作業をやり直すことになる。以下では2つの違い、上限の数と料金、手順、そして後になって効いてくる制限を順に並べる。
2つの追加の仕方があり、選び方は使う人の所在で決まる
公式の案内は、2つを明確に分けている。ユーザーエイリアスドメインは、ドメインの代替名として使う別のドメイン名で、すべてのユーザーに別ドメインの予備のメールアドレスを付与する用途になる。案内では、solarmora.comをexample.comのエイリアスとして追加すると、[email protected]に[email protected]という別のアドレスが付与されると説明されている。
セカンダリドメインは性格が違う。追加するドメインに固有のユーザーがいる場合に使い、そのユーザーは自分の所属ドメインにメールアドレスとアカウントを持つ形になる。つまり、判断の軸は「新しいドメインに、そのドメイン専用の人がいるか」の1点になる。
| 項目 | ユーザーエイリアスドメイン | セカンダリドメイン |
|---|---|---|
| 使う場面 | 既存の全員に別ドメインのアドレスを渡す | 新しいドメインに固有のユーザーがいる |
| アカウントの数 | 増えない | ドメインごとのユーザーとして増える |
| ログイン | エイリアスのアドレスではログインできない | 所属ドメインのアドレスでログインする |
| 従来のG Suite無償版 | サポートされている | サポートされていない |
メリットの出方も違う。エイリアスは、社名が変わった直後に古いアドレスと新しいアドレスの両方で受け取りたい場面で効く。セカンダリは、別事業の担当者を別ドメインの名前で持たせたい場面で効く。ポイントは、この選択がアカウントの数に直結することになる。
追加できる上限の数と、料金がどう動くか
数の上限は明記されている。組織のGoogle WorkspaceアカウントまたはCloud Identity Premiumアカウントでは、最大600個のドメインを追加できる。内訳はプライマリドメインが1個、追加ドメインが599個で、この599にはセカンダリドメインとドメインエイリアスが含まれる。ただしドメインエイリアスは最大20個までとされている。Google Workspace for Nonprofitsのアカウントは例外で、プライマリ1個とセカンダリ4個の計5個になる。
料金の動き方は、この上限とは別の話になる。ドメインを追加すること自体に費用の段は無いが、セカンダリドメインで新しいユーザーを作れば、その人数分の支払いが増える。公式の料金ページでは、年間プランの場合の定価がStarterで月額800円、Standardで1,600円、Plusで2,500円と示されている。いずれも1ユーザーあたりの金額になる。
| プラン | 1ユーザーあたりの月額 | ストレージ |
|---|---|---|
| Starter | 800円 | 30GB |
| Standard | 1,600円 | 2TB |
| Plus | 2,500円 | 5TB |
この差が判断に効く。エイリアスで済む用件をセカンダリで組むと、受信箱を分けたいだけの目的に対して人数分の費用が増える。逆に、担当者が実際に別であるなら、費用を払ってでもアカウントを分けたほうが引き継ぎが楽になる。
追加の手順と、所有権の確認
手順そのものは長くない。案内には、申し込み時に指定したドメイン名がプライマリドメインになり、他のドメインは申し込み後に管理コンソールから追加すると書かれている。
サービスのお申し込み時に指定するドメイン名が、Google Workspace または Cloud Identity に関連付けられるプライマリ ドメインになります。他のドメインの追加は、お申し込み後に Google 管理コンソールから行えます。その場合、セカンダリ ドメインまたはユーザー エイリアス ドメインとして追加しますが、いずれの場合も、ドメイン名を所有している必要があり、所有権の証明が求められます。 出典: knowledge.workspace.google.com
実務で時間がかかるのは、この所有権の証明と、そのあとのDNSの設定になる。メールを受け取る必要があるドメインなら、メールの経路を指すレコードの追加が続く。ドメインの管理画面を持っている人と、Workspaceの管理者が別の人である場合は、ここで待ちが発生する。先に両方の権限を確かめておくと、作業を1日で終えられる。
もう1つ、あとから気づきにくい点がある。セカンダリドメインにユーザーエイリアスドメインを追加したい場合、管理コンソールからは操作できない。公式の案内では、プログラミングの経験があればAdmin SDKを使って追加できるとされている。つまり、3つ目のドメインを2つ目のドメインの別名として扱う構成は、画面の操作だけでは組めない。ドメインが3つ以上になる予定があるなら、どのドメインをプライマリにするかを最初に決めておく価値がある。
組織部門との関係も押さえておく。案内では、ドメインと組織部門はそれぞれ別のユーザー整理方法とされ、1つの組織部門に異なるドメインのユーザーを混在させることもできると書かれている。メールアドレスとアカウントを渡すのがドメイン、機能やサービスへのアクセス権を渡すのが組織部門という分担になる。
先に知っておく制限
ここが一番見落とされる箇所になる。公式の制限事項のページには、後から効いてくる項目が並んでいる。設定の面では、ドメインごとに異なるポリシーや設定を直接適用することはできない。各ドメインのユーザーを別の組織部門に配置し、組織部門ごとに適用する形で代替する。
共有と表示についても制限がある。Googleドライブの共有はドメインごとに制限できず、共有の設定は組織または組織部門に基づく。ロゴはアカウント全体で1つだけで、すべてのドメインのユーザーに同じものが表示される。組織名として使われるのはプライマリドメイン名であり、これは共有の画面でユーザーが目にする名前になるため、ドメインを追加する際はより包括的な名前へ変更することが勧められている。
そのほかに、覚えておくと後悔が少ない項目が4つある。
- ドメインエイリアスは管理コンソールではプライマリドメインにしか追加できない。セカンダリドメインに追加するにはDirectory APIを使う
- エイリアスのドメインのアドレスではログインできない。ログインはプライマリのメールアドレスで行う
- サービスのカスタムURLは全ドメイン共通にできず、プライマリと各追加ドメインについて個別に作る必要がある
- Googleグループでトピックを移動できるのは同じドメイン内のグループまでで、別ドメインのグループへは移せない
Googleサイトにも制限がある。セカンダリドメインをネイキッドのURLへリダイレクトすることはできず、サイトの検索では自分と同じドメイン内のサイトだけが結果に出る。セカンダリドメインのアドレスを使うユーザーは、プライマリドメインで作られたサイトを見つけられない。社内の情報をサイトで配っている組織では、ここが実際の問題になる。
社名やブランドが変わるときの順番
社名変更に伴う移行では、順番を間違えると戻れなくなる。まず確かめるのは、プライマリドメインの名前を変更できるかになる。案内では、アカウントの種類によっては可能とされ、専用の手順が用意されている。可能であれば、新しいドメインをセカンダリとして追加してから切り替える形が取れる。
一方で、できないことも明記されている。複数のGoogleアカウントに登録されているドメインを1つのアカウントへ統合することは、現時点ではできない。ドメインごとに別々のWorkspaceアカウントを作ってしまった組織は、プライマリドメインとして使いたいドメインを持つアカウントを選び、他のアカウントからドメインを削除して、そのアカウントに追加し直す流れになる。
エイリアスからの移行もサポートされていない。プライマリではないドメインにドメインエイリアスを設定している場合、そのエイリアスをマルチドメインのアカウントへ変換することはできない。つまり、最初にエイリアスとして入れたドメインに後から専用のユーザーを持たせたくなった場合、単純な切り替えでは済まない。将来そのドメインで人を雇う可能性があるなら、最初からセカンダリで入れておく判断が効いてくる。
シングルサインオンについては心配が少ない。メールアドレスでユーザーを識別するように設定されていれば、複数のドメインを持つアカウントでも問題なく機能すると案内されている。
個人やフリーランスの場合の選び方
1人で複数の事業やサービスを持っている場合、判断は単純になる。受け取るアドレスを増やしたいだけなら、ユーザーエイリアスドメインで足りる。1人のアカウントに複数のドメインのアドレスが付くため、支払いは1人分のままになる。屋号を変えた場合や、サービスごとに別のドメインで問い合わせを受けたい場合がこれに当たる。
セカンダリドメインが必要になるのは、そのドメインで別の人が働き始めるときになる。外注先に自社ドメインのアドレスを渡す場合や、サービスごとに担当者を分ける場合だ。このとき費用が人数分で増えるため、業務委託の相手にアドレスを渡すかどうかは、契約の形と一緒に決める項目になる。
注意点として、G Suiteの無償版を今も使っている場合はセカンダリドメインを利用できない。エイリアスは利用できるため、アドレスを増やす目的であれば対応できる。固有のユーザーを持たせたい場合は、プランの移行が先に来る。
ドメインが増えると、開く窓も増える
複数ドメインを整えたあとに残るのは、画面の側の問題になる。ドメインが増えると、確かめる受信箱と管理画面が増える。プライマリの管理コンソール、各ドメインのDNSの管理画面、ドメインごとに作ったカスタムURL、そして事業ごとのアドレスで入るGmail。どれもアプリではなくWebのページなので、ブラウザのタブの列に横並びで並ぶ。
同じサービスの複数アカウントという点が、ここで効いてくる。Gmailを2つのドメインで使い分けていると、片方に入るともう片方から出る形になり、切り替えの往復が1日に何度も起きる。
この層に効くのは、タブではなくアプリを単位にするブラウザになる。Webアプリごとに別の窓と別のCookieの入れ物を持たせる考え方はワークスペースに整理されている。アプリごとに独立したワークスペースを用意すると、ドメインの違う複数のアカウントが同時にログインしたまま並ぶため、切り替えの往復そのものが消える。通知を1か所に集める形や、アプリごとに拡大率と消音を覚える形はできることに並んでいる。
毎日開くサービスが扱えるかどうかは使えるアプリで確かめられ、機能を項目ごとに並べた比較はWaveboxとの比較とShiftとの比較にまとまっている。無料で使える範囲と有料になる線は料金にあり、導入前に出やすい疑問はよくある質問に並んでいる。
よくある質問
セカンダリドメインとユーザーエイリアスドメインは、どちらを選べばよいですか?
判断の軸は、新しいドメインにそのドメイン専用の人がいるかどうかです。既存の全員に別ドメインの予備のアドレスを渡したいだけならユーザーエイリアスドメイン、追加するドメインに固有のユーザーがいる場合はセカンダリドメインになります。後者はユーザーごとのアカウントになるため、人数分の支払いが増えます。
ドメインはいくつまで追加できますか?
公式の案内では、組織のGoogle WorkspaceアカウントまたはCloud Identity Premiumアカウントで最大600個とされています。内訳はプライマリドメインが1個、追加ドメインが599個で、599にはセカンダリドメインとドメインエイリアスが含まれます。ドメインエイリアスは最大20個までです。Nonprofitsのアカウントは計5個になります。
ドメインごとに違う設定やポリシーを適用できますか?
直接は適用できません。公式の制限事項のページでは、ドメインごとに異なるポリシーや設定を直接適用することはできないとされており、各ドメインのユーザーを別の組織部門に配置して組織部門ごとに適用する方法が案内されています。ドライブの共有も組織または組織部門に基づくため、ドメイン単位では制限できません。
後からエイリアスをセカンダリに切り替えられますか?
公式の案内では、ドメインエイリアスからの移行はサポートされていないとされています。プライマリではないドメインにドメインエイリアスを設定している場合、そのエイリアスをマルチドメインのアカウントへ変換することはできません。将来そのドメインで人を雇う可能性があるなら、最初からセカンダリドメインとして追加する判断が安全です。