Macの常駐アプリを見直す|起動しているものを把握する

Macの常駐アプリを減らせば動きが軽くなる、という話は方向としては合っている。ただ手を付ける前に決めておくことが2つある。1つは、いま何が起動しているのかを取りこぼさずに並べること。もう1つは、止めてよいものと、止めると別の機能が動かなくなるものを分けることである。

この2つを飛ばして片端からオフにすると、通知が届かなくなる、クラウドのファイルが同期されなくなる、共有メニューから項目が消える、といった症状だけが後に残る。しかも原因を思い出せなくなる。

Gmail、Slack、Notion、カレンダー、生成AIの窓を毎日行き来している人ほど、裏で動いているものの数は多い。ここでは、macOSのどの画面に何が並ぶのか、何を見て判断するのか、止める順番をどう決めるのかを順に整理する。最後に、常駐を減らしても手応えが出ない場合に何を疑えばよいのかまで書く。

常駐アプリが増えるのは、使う側が増やしたからではない

常駐しているものの一覧を初めて開くと、見覚えのない名前が並んでいることが多い。これは意図して登録した結果ではない。アプリを入れた時点で、インストーラが自動で登録していくためである。更新を確認する仕組み、データを同期する仕組み、メニューバーに常駐する本体、この3種類がアプリ1つにつき別々に登録されることもある。

macOSの側では、この登録先が1つの画面にまとまっている。Appleのユーザガイドは次のように説明している。

Macで、「ログイン項目と機能拡張」設定を使用して、Macにログインするたびに自動的に開く項目を選択できます。 出典: support.apple.com

以前は、自動で起動する仕組みの登録先がアプリごとに分かれていた。いまは1か所に集まっているので、数が増えたというより、増えていたものが見えるようになった面もある。だから最初の作業は削ることではなく、並んでいる名前を1つずつ読んで、何のためのものかを把握することになる。

増える経路は大きく3つに分かれる。アプリ本体がログイン時に開く項目として登録される経路、窓を出さずに走る部分がバックグラウンドの項目として登録される経路、そしてFinderや共有メニューに機能を足す機能拡張として登録される経路である。この3つは同じ画面に並んでいるが、切ったときに起きることが違う。

いま何が起動しているのかを確かめる場所

順番はこうなる。アップルメニューから「システム設定」を選び、サイドバーで「一般」をクリックし、「ログイン項目と機能拡張」をクリックする。Appleのユーザガイドは、この項目について「下にスクロールする必要がある場合があります」と注記している。一般の設定は項目が多く、画面の下のほうに入っているためである。

開くと、大きく「ログイン項目」の設定と「機能拡張」の設定に分かれている。ログイン項目の側には「ログイン時に開く」の一覧があり、「項目」の列に名前、「種類」の列にアプリ、書類、フォルダ、ボリュームのどれなのかが表示される。一覧の下にある追加ボタンから項目を足し、削除ボタンで外す。

その下に「アプリのバックグラウンドでのアクティビティ」の欄がある。Appleの説明では、ここをオンにすると「アプリを開いていないときに、アプリでソフトウェアアップデートの確認やデータの同期などのタスクを実行することを許可します」という扱いになる。窓が出ないので気付きにくいが、常駐の話で本題になるのはむしろこちらである。

一覧を読むときに手がかりになる印が1つある。ユーザガイドは、項目の横に警告の印が出た場合について「その項目は移動または削除されたため、自動的に開きません」と書いている。つまり、その行は実体のない登録が残っているだけである。整理の入り口として外しやすい候補になる。

なお、この設定を変更できるのは管理者のアカウントである。会社から配られたMacで項目が灰色になっていて触れない場合は、権限か管理用の設定が理由になる。

3つの欄は、同じ「常駐」ではない

止める前に押さえておくべきなのは、3つの欄の性質の違いである。

  • 「ログイン時に開く」に並ぶのは、ログインした直後に開くもの。アプリだけでなく、書類、フォルダ、ボリューム、サーバ接続も登録できる。ここを外すと、そのアプリは手で開くまで起動しなくなる
  • 「アプリのバックグラウンドでのアクティビティ」に並ぶのは、窓を出さずに走る部分。オフにすると、更新の確認とデータの同期が止まる。メールやチャットの通知が遅れる症状は、ここを切ったときに出やすい
  • 「機能拡張」に並ぶのは、他のアプリの中で働く部品。オフにしても起動しているアプリの数は減らないが、できることが減る

機能拡張の欄に何が並ぶのかは、Appleのユーザガイドが種類ごとに挙げている。アクション、カメラ機能拡張、カラーパネル、Dockタイル、ドライバ、エンドポイントセキュリティ機能拡張、ファイルプロバイダ、Finder、メディア、ネットワーク機能拡張、写真プロジェクト、写真編集、クイックルック、共有する、スマートカードリーダー、Spotlight、Touch Barである。

このうち実務でよく効くのが「ファイルプロバイダ」と「Finder」で、ガイドはファイルプロバイダについて「ローカルファイルとリモートストレージのファイルをFinderでまとめて表示できるようになります」と説明している。クラウドストレージのアプリをここで切ると、Finderの中でファイルが見えなくなる。「ネットワーク機能拡張」はVPNやコンテンツフィルタの構成を担う欄で、会社の回線につなぐ設定がここに入っていることがある。

整理のときに触らないほうがよいのは、この2つとエンドポイントセキュリティ機能拡張である。名前だけでは用途が分からないものも、オフにする前に提供元を確かめたほうが手戻りが少ない。

常駐しているものが何を消費しているかを見る

一覧を読んだら、次は実際にどれだけ食っているかを見る。使うのはアクティビティモニタで、タブはCPU、GPU、メモリ、エネルギー、ディスク、ネットワーク、キャッシュに分かれている。

メモリのタブを開くと、ウインドウの下部に数字が並ぶ。メモリプレッシャー、物理メモリ、使用済みメモリ、アプリメモリ、確保されているメモリ、圧縮、キャッシュされたファイル、スワップ使用領域である。このうち判断に使うのはメモリプレッシャーで、Appleは色の意味を次のように定めている。緑色は「コンピュータはすべてのRAMを効率的に使用しています」、黄色は「コンピュータのRAMが今後足りなくなる可能性があります」、赤色は「より多くのRAMが必要です」である。

読み方で誤解が起きやすいのは、空きメモリの数字である。ユーザガイドはこう書いている。

空いているまたは使用されていないメモリがあっても、コンピュータパフォーマンスが向上するとは限りません。macOSのパフォーマンスは、コンピュータのすべてのメモリを効率的に使用/管理することで最も向上します。 出典: support.apple.com

つまり、空きが少ないこと自体は問題ではない。見るのは色である。

常駐しているものを洗い出すときに効く絞り込みも用意されている。「表示」メニューからプロセスの分類を選べて、すべてのプロセス、自分のプロセス、システムプロセス、動作中のプロセス、停止中のプロセス、ウインドウのあるプロセス、そして「過去12時間にプロセスを実行していたアプリのみを表示します」という項目がある。ウインドウを出さずに走っているものを探すなら、まず「ウインドウのあるプロセス」で絞って除外し、残ったものを見るのが早い。

一覧の数字は既定で5秒ごとに更新される。症状が出ている最中に開いたままにしておくと、どのプロセスが跳ねた瞬間に画面が引っかかったのかを目で追える。

止める順番を決める。いきなり削除しない

作業の順番を決めておくと、後戻りができる。

1つ目に、いまの状態を控える。「ログイン項目と機能拡張」の画面を開いた状態で画面を撮っておくと、何を外したのかが後から分かる。項目名を書き写すだけでも足りる。

2つ目に、設定を書き換えずに試せる方法を先に使う。ユーザガイドは、ログイン時の自動起動を1回だけ止める手を示している。ログインウインドウが表示されたらShiftキーを押したまま「ログイン」ボタンをクリックし、Dockが開いたらShiftキーを放す。ログインウインドウが出ない設定の場合は、Macを再起動して、起動ウインドウに進行状況バーが表示されたらShiftキーを押したままにし、デスクトップが表示されたら放す。この操作は登録そのものを消さないので、元の状態に戻すのは次のログインだけで済む。

3つ目に、外す候補に優先順位を付ける。上から順に、実体が消えて警告の印が付いている行、この1か月に一度も開いていないアプリのログイン項目、同じ役割のアプリが2つ入っている場合の片方(画面の切り取り、クリップボードの履歴、ウインドウの配置は重なりやすい)、更新の確認だけを担う項目となる。

4つ目に、1回の変更で1つだけ切って1日使う。まとめて10個切ると、どれが原因で何が動かなくなったのかが分からなくなる。

5つ目に、オフにしても一覧から消えない場合を切り分ける。ログイン項目の一覧から外しても、アプリ本体が入っている限り、更新や入れ直しのあとに同じ行が並び直すことがある。その場合はアプリごと取り除く判断に移る。

アプリ側の設定を先に見たほうが早い

システム設定の側から外すより、アプリ自身の設定から切ったほうが結果が素直になる場面がある。このあたりの事情は、次のように整理されている。

常駐させたいアプリの場合、大概は個々のアプリの環境設定パネルに、常駐させる項目があるので優先順位としてはこちらを使用した方がよいでしょう。

仮にOSのシステム環境設定のログイン項目に手動でアプリを追加した場合、初期画面などが起動時に出てきてしまい煩わしくなったりします。

しかし個々のアプリの常駐チェックをオンにした場合、結局はログイン項目にそのアプリのモニター用項目が追加され、初期画面などは出さずに使うことができます。 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

逆向きも同じで、アプリの設定に「ログイン時に起動」の項目があるなら、そこをオフにするほうが確実である。システム設定の一覧から外しても、アプリ側の設定がオンのままなら、アプリの更新後に同じ項目が並び直すことがある。

チャット、メモ、クラウドストレージ、パスワード管理のアプリは、設定画面の「一般」か「詳細」の中に起動の項目を持っていることが多い。まずそこを探し、見つからなかったものだけをシステム設定の側で扱う。この順番にすると、どちらで切ったのか分からなくなる状態を避けられる。

常駐を減らしても軽くならないときに疑うもの

常駐を整理しても体感が変わらない、という結果はよく起きる。原因は3つに分かれる。

1つ目は、重さの正体がブラウザにある場合。次のような指摘がある。

Macが重いとき、まず疑うべきはスペック不足とは限らない。実際には、起動時に増えすぎた常駐アプリが、Macの軽快さを静かに奪っていることが多い。 出典: note.com

常駐が原因になるのは確かだが、ブラウザのタブが30個開いている状態は、常駐アプリを全部切っても変わらない。アクティビティモニタで同じ名前のプロセスが何行も並んでいるなら、削る対象は常駐の一覧ではなくタブの側である。

2つ目は、メモリではない場所が詰まっている場合。メモリプレッシャーが緑のままで動きが重いなら、見る先はディスクとネットワークである。ディスクのタブは、Macがディスクにアクセスして読み書きする回数と、読み書きされたデータ量を表示する。ネットワークのタブは受信と送信のパケット数、毎秒の転送速度、移動した情報の総量を表示する。同期の処理が走り続けていると、ここに数字が出続ける。

3つ目は、熱の側の問題。ノートパソコンでファンが回り続ける状態は、エネルギーのタブでどのアプリが消費しているかを見る。常駐しているものの数が少なくても、1つが回り続けていれば結果は同じになる。

切り分けの順番としては、症状が出ている最中にアクティビティモニタを開いたままにして、CPU、メモリ、ディスク、ネットワークの4つのタブを順に見る。数字が動いているタブが、手を入れる場所である。

窓の数と入れ物の数を数えてみる

常駐の一覧を読んだあとに、もう1つ数えておくとよいものがある。毎日開いているサービスの数と、そのうち同じサービスの別アカウントがいくつあるかである。

この数が10前後まで来ている人は、常駐アプリの数を削っても手数が減りにくい。デスクトップのアプリを切ったぶんがブラウザのタブに移るだけで、切り替えの回数は変わらないためである。一覧に「同じサービスの通知用」や「同じサービスの別アカウント用」が並んでいるなら、削る対象は常駐ではなく入れ物の側にある。

この形に効くのが、Webアプリを集めて1つの窓の中で扱うブラウザである。この種の道具はアプリごとに独立したワークスペースを持たせる作りになっており、同じサービスの複数アカウントをログインしたまま並べられる。何ができるのかはできることのページに整理されている。入れ物の分け方の考え方はワークスペースのページが早い。

自分が毎日開いているサービスが対象に入っているかどうかは使えるアプリの一覧で確かめられる。キーボードから手を離さずに済ませたい場合は、同じ窓の中でシェルを開ける仕組みがターミナルのページに書かれている。無料で使える範囲と有料の線引きは料金のページにある。

同じ役割の道具は複数あるので、項目ごとの差を追うならWaveboxとの比較を見ると並べて確かめられる。導入前に出てくる疑問はよくある質問にまとまっている。

判断の順番としては、まずログイン項目と機能拡張の一覧を読んで実体のない行を外し、次にアクティビティモニタで数字が動いている場所を見る。その2つを終えてもまだ手数が残るなら、削るのは常駐しているものの数ではなく、毎日開いている入れ物の数である。

よくある質問

Macの常駐アプリはどこで確認できますか?

アップルメニューから「システム設定」を選び、サイドバーの「一般」をクリックして「ログイン項目と機能拡張」を開きます。項目が下のほうにあるためスクロールが必要な場合があります。ここに「ログイン時に開く」「アプリのバックグラウンドでのアクティビティ」「機能拡張」の3つの欄が並び、名前と種類を一覧で読めます。

常駐アプリをオフにすると何が起きますか?

欄によって結果が変わります。「ログイン時に開く」を外すと手で開くまで起動しなくなるだけですが、「アプリのバックグラウンドでのアクティビティ」をオフにすると、Appleの説明にあるソフトウェアアップデートの確認やデータの同期が止まります。チャットやメールの通知が遅れる症状はここを切ったときに出やすいです。

設定を変えずに常駐アプリを止めて試す方法はありますか?

ログインウインドウが表示されたらShiftキーを押したまま「ログイン」ボタンをクリックし、Dockが開いたらShiftキーを放します。ログインウインドウが出ない場合は再起動して、進行状況バーが出たらShiftキーを押したままにし、デスクトップが表示されたら放します。登録は消えないので、次のログインで元に戻ります。

常駐アプリを減らしても軽くなりません。次に何を見ればよいですか?

アクティビティモニタを開いて、メモリプレッシャーの色を確かめます。緑のままで重いなら、原因はメモリではなくディスクかネットワークにあるので、その2つのタブで数字が動いているかを見ます。同じ名前のプロセスが何行も並んでいる場合は、常駐ではなくブラウザのタブの数が原因になっています。

記事一覧へ戻る