Macのメモリを解放するアプリの前に|使用量を減らす箇所を特定する

mac メモリ 解放 アプリを探している時点で、Macの動きが重い状態はすでに起きている。ただ、解放という言葉が指す動作はmacOSのバージョンによって意味が変わっており、いまのmacOSでは効く場面と効かない場面が分かれる。ここでは解放アプリが実際に何をしているのかを整理し、自分の環境で効くのかを判断する材料を並べ、無料と有料の選び方のポイントまでを示す。読み終えた時点で、アプリを入れるべきか、別の箇所を直すべきかが決まる状態を目指す。

解放アプリが実際にやっていること

まず、この種のアプリがどう説明されてきたかを確認しておく。

「メモリ解放アプリ」は、キャッシュに残って消費され続けているメモリを解放することでメモリの空きを作り、パソコンの動作を軽くするソフトです。実際、パソコンが重くなった際の対策として「メモリ解放アプリ」の導入を挙げるMacユーザーも少なくありません。 出典: 4900.co.jp

動作としては、使われていない領域をシステムに返させる命令を出し、アクティビティモニタの空き表示を増やす形になる。数字が動くので、効いたように見える。

ここで押さえておきたいのは、キャッシュされている領域は「無駄に埋まっている領域」ではないという点だ。Appleはキャッシュされたファイルを、パフォーマンス向上のために未使用メモリにキャッシュされたファイルのサイズと定義し、このメモリは上書きされるまでキャッシュされたまま残るので、そのアプリを再度開くときのパフォーマンスを向上できると説明している。つまり、空けた分だけ次回の読み込みが遅くなる。数字は改善しても、体感は改善しないことがあるのはこのためだ。

解放アプリの評価が分かれてきた背景もここにある。OS X 10.9以降のmacOSには圧縮メモリの仕組みが入っており、空きが少なくなると停止中のアプリのメモリを圧縮して、動作中のアプリに回す動きをmacOS自身が持っている。手動の解放は、この自動の動きと同じ領域を扱うことになる。圧縮は領域を捨てずに詰める処理で、解放は捨てる処理だ。同じ目的に対して手段が違うため、両方を同時に働かせると、詰めたものを捨て、捨てた分をまた読み込み直す往復が生まれる。

そのうえで、空きメモリが多い状態が良い状態だという前提そのものを疑う必要がある。macOSは空きを残しておく設計ではなく、使える範囲を先に埋めておいて、必要が生じた時点で明け渡す設計になっている。アクティビティモニタの空き表示が小さいことは、効率よく使えている合図でもある。解放アプリが動かしているのはこの表示であって、処理の速さそのものではない。

macOSが自分でやっている分を先に把握する

自分のMacで解放が要るかどうかは、アクティビティモニタを見れば判断できる。Appleの定義では、圧縮は利用できるRAMの容量を増やすために圧縮されたメモリの容量で、コンピュータの最大メモリ容量に近付くと、メモリ内の停止中アプリが圧縮され、動作中アプリがより多くのメモリを使用できるようになる。

同じ画面の読み方は、解放ツールを紹介する側の資料でも同じ順序で案内されている。

「メモリ」タブを開いて、「メモリプレッシャー」のグラフを重点的にチェックします。 グラフが緑色であれば問題ありませんが、黄色や赤が表示される場合は、RAMを解放するべきです。 また、グラフの近くにメモリの内訳が表示されます。物理メモリ (総メモリ容量)、使用済みメモリ、スワップ使用領域 (macOSが使用)、アプリメモリ (アプリやプロセスが使用)、確保されているメモリ (アプリが確保しており解放不可)、キャッシュされたファイル (実際に利用可能なメモリ)、圧縮 (非アクティブで、他のアプリに割り当て可能) などです。 出典: macpaw.com

Apple自身の説明でも、色の意味は3段階に分かれている。緑色はすべてのRAMを効率的に使用している状態、黄色は今後足りなくなる可能性がある状態、赤色はより多くのRAMが必要な状態を示す。

表示される項目の数が多いので、どこから見るかを決めておくと迷わない。順番としては、色を先に見て、次にスワップ使用領域を見る。緑でスワップも増えていないなら、空き表示が少ないこと自体は問題ではない。黄色や赤が出ていて、スワップ使用領域が伸びているなら、RAMが足りていない。この場合に効くのは一時的な解放ではなく、常駐している量を減らす手になる。

解放が効く場面と、効かない場面

判断を1つの表に落とすと、自分がどこにいるかが分かりやすい。

いまの状態 解放アプリの効き方 先にやること
緑色で、体感も軽い 数字が動くだけ 何もしない
緑色だが、体感が重い ほぼ効かない CPUとディスクの読み書きを確認
黄色で、スワップが少ない 一時的に軽くなる場合がある 常駐アプリと拡張機能を減らす
赤色で、スワップが伸びている すぐ元に戻る 開いている量を減らす、容量を見直す
大きな書き出しの直後だけ重い 再起動で同じ結果 何もしない

この表は、空きメモリの量ではなく、色とスワップの組み合わせで行を分けている。同じ「重い」という症状でも、この2つの値が違えば打つ手が変わるためだ。表の読み方は1つだけだ。解放が効く可能性があるのは、黄色でスワップがまだ少ない領域に限られる。赤の側は、空けても次の瞬間に埋まるため、効いている時間が短い。

もう1つ、効かないケースとして押さえたいのが、原因がメモリではない場合だ。起動ディスクの空きが乏しい状態や、常時走るバックアップや同期の処理でディスクの読み書きが埋まっている状態は、メモリの数字を動かしても変わらない。アクティビティモニタの「CPU」と「ディスク」も同時に見ておくと、対象を取り違えずに済む。

確かめ方の手順も決めておく。重いと感じた時点でアクティビティモニタを開き、メモリプレッシャーの色、スワップ使用領域の値、CPUのアイドル状態の割合の3つを同時に記録する。色が緑でアイドル状態が小さいなら、詰まっているのはCPUの側だ。色が緑でアイドル状態も十分あるなら、ディスクの読み書きか、ネットワークの待ち時間を見る。ここを飛ばして解放から入ると、原因が別にあった場合に「効かないアプリを引いた」という結論になってしまう。

書き出しや移行の直後だけ重いという型も、解放の対象にはならない。この場合はインデックス作成や解析の処理が走り終われば自然に戻るため、待つのが最も安い手になる。途中で解放を挟むと、処理が読み直しから始まり、かかる時間が伸びる。

選ぶときのポイントは4つ

それでも導入を検討する場面はある。比較する軸は次の4つに絞れる。

  • 権限の要求範囲。ディスク全体へのアクセスや機能拡張の追加を求めるものは、影響範囲が広くなる。解放だけが目的なら、そこまでの権限は要らない
  • 自動実行の有無。一定間隔で自動的に解放する設定を持つものは、キャッシュを繰り返し捨てるため、かえって読み込みが増える場合がある。手動で実行できるかを確認する
  • 配布経路。App Storeで配布されているものは審査を通っており、できることの範囲が限られる。開発元のサイトから直接入れるものは機能が広い代わりに、署名と公証の状態を自分で確かめる必要がある
  • 表示の中身。空きメモリの容量だけを大きく出すものと、メモリプレッシャーやスワップ使用領域まで出すものがある。判断に使えるのは後者になる

この4つのうち、見落とされやすいのは自動実行だ。常時動かす設定にしておくと、作業中にキャッシュが繰り返し捨てられ、アプリを切り替えるたびに読み込みが走る。数字は常にきれいな状態に保たれるのに、体感は導入前より悪くなるという結果が起きうる。設定を開いて、間隔の指定を切れるかどうかを先に確かめる。

料金については、無料で入手できるものと、有料の総合ツールの一部として提供されるものに分かれる。無料のものは解放の実行に絞られていることが多く、有料のものは不要ファイルの削除やアプリの削除といった機能と束になっている。無料の範囲で足りるかどうかは、上の表で自分がどこにいるかで決まる。黄色の領域にいるなら無料のもので様子を見て、赤の領域にいるなら支出の前に常駐量を減らす。

おすすめできる進め方は、導入前にアクティビティモニタで7日間ほど色を記録しておくことだ。赤が出るのが特定の時間帯や特定の作業に限られるなら、道具ではなくその作業の組み方を変えたほうが効果が長く続く。記録するのは3つでよい。色が変わった時刻、そのとき開いていた画面の数、スワップ使用領域の最大値だ。1週間分を並べると、恒常的に足りないのか、特定の場面だけ足りないのかが分かれる。

導入したあとの確かめ方も決めておく。解放を実行した直後の数字ではなく、実行から30分後の数字を見る。直後はどのツールでも空きが増えるため、効いたかどうかの判断材料にならない。30分後にもとの水準へ戻っているなら、その環境では解放が持続しないという結果になる。ここまで確かめておけば、翌月も課金を続けるかどうかを感覚ではなく実績で決められる。

解放の前に、常駐しているWebアプリを数える

色が黄色や赤に寄る環境で、メモリの上位に並ぶプロセスの多くはブラウザ関連になる。ここは道具を変えると数字が動く部分だ。

Gmail、Slack、Notion、Claudeのように1日を通して開いておくWebアプリは、閉じるものではなく常駐するものになっている。これを1つのブラウザのタブとしてまとめて並べると、どのタブが領域を持っているのか見分けがつかない。タブの見出しは短く切られ、同じサービスの仕事用と個人用は同じ文字列に見える。結果として、使っていない画面を開いたまま数日放置し、その分が圧縮とスワップに乗る。解放アプリを実行しても、開いたままの画面は次の瞬間に同じ量を取り戻す。

対象をタブから窓に移すと、この部分が操作できるようになる。Webアプリを1枚のタブではなく1つの窓として置く考え方はワークスペースに整理されている。アプリごとに独立したワークスペースを持たせると、いま要る画面と待機させておく画面を分けられるため、アクティビティモニタで見えた占有者と画面が1対1で結び付く。通知の扱いやアプリごとの消音、拡大率の設定はできることにまとめられている。

手元のサービスが対象に入っているかは使えるアプリで照らし合わせられる。道具を選び直すなら、項目ごとに並べたWaveboxとの比較とFerdiumとの比較が、対応OSと価格の違いを見る材料になる。無料で使える範囲と有料になる線は料金で確かめられる。

判断の手順としては、画面の数を先に決めてから、それでも足りない分を道具で埋める形になる。常駐させる画面を10個から5個に落とせるなら、解放の実行を1日に何回入れるかという議論そのものが不要になる。逆に、業務上どうしても10個を開いておく必要があるなら、そこは容量の側で吸収する話に移る。どちらの結論でも、先に数を確かめた分だけ判断が速くなる。

メモリの解放は、空いた数字を作る作業だ。動作が軽くなるかどうかを決めるのは、そのあとに何が入ってくるかで、そこは開いておく画面の数で決まる。順番を入れ替えると、同じRAMのままでも余裕の出方が変わる。

よくある質問

メモリ解放アプリを入れれば動作は軽くなりますか?

状態によります。アクティビティモニタのメモリプレッシャーが黄色でスワップ使用領域がまだ少ない場合は、一時的に軽くなることがあります。赤色でスワップが伸びている場合は、空けた領域がすぐ埋まるため効果が続きません。緑色で重い場合は原因がメモリ以外にあるため、CPUとディスクの読み書きを先に確認します。

キャッシュを解放すると不利になることはありますか?

あります。Appleはキャッシュされたファイルを、パフォーマンス向上のために未使用メモリにキャッシュされたファイルのサイズと定義し、上書きされるまで残ることで再度開くときの速度が上がると説明しています。解放するとこの分が失われ、次回の読み込みが遅くなります。空き表示の数字と体感は同じ方向に動かない場合があります。

無料のものと有料のもので、どう選び分けますか?

無料のものは解放の実行に絞られていることが多く、有料のものは不要ファイルの削除などと束になっています。選ぶ軸は、求められる権限の範囲、自動実行を止められるか、配布経路、そして表示にメモリプレッシャーとスワップ使用領域が含まれるかの4点です。黄色の領域なら無料の範囲で様子を見る形で足ります。

解放アプリを使わずに使用量を減らす方法はありますか?

常駐しているものを減らすのが基本です。ログイン項目の見直し、使っていないブラウザ拡張機能の削除、開いたままのタブの整理、同期や解析といった自動処理の停止が該当します。特に1日を通して開いておくWebアプリは、画面ごとに分けて扱える形にすると、どれを閉じてよいかが判断できるようになります。

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