Macで複数の作業を同時に進めるための基本の操作
mac マルチタスクという言葉で検索する人の画面は、だいたい同じ状態になっている。Gmailのタブ、Slackのウインドウ、Notionのページ、資料のPDF、そして何を開いていたのか思い出せないSafariが1枚。どれも閉じられないまま重なり、必要なものを探すために毎回ウインドウをかき分けている。
困っているのは「並べ方が分からないこと」ではない。macOSには並べる仕組みが3つあり、しかもそれぞれ別の場所に設定があるため、どれを使っているのか本人にも分からなくなることが原因になっている。この記事では、その3つを層として切り分けて、どの層で何を決めればよいのかを順に整理する。操作の手順はすべて、macOS 27時点のAppleの公式ガイドに記載されている内容に沿っている。
macOSのマルチタスクは3つの層でできている
まず全体像を押さえる。ここが曖昧なまま個別のショートカットを覚えても、覚えた操作が効かない場面にぶつかって諦めることになる。
1つ目の層は1枚のデスクトップの中でウインドウを並べる層になる。タイル表示と呼ばれる機能がこれにあたり、画面を左右に割ったり、四隅に4つ置いたりする。ウインドウは通常の状態のままなので、メニューバーもDockも見えている。
2つ目の層は、デスクトップそのものを増やす層になる。macOSではこれを操作スペースと呼び、Mission Controlから作る。ある操作スペースで作業しているときは、その操作スペースの中にあるウインドウだけが表示される。仕事用と私用、案件Aと案件Bのように、文脈ごと丸ごと入れ替えたいときに効く。
3つ目の層が、フルスクリーンとSplit Viewになる。ここが混乱の元で、アプリをフルスクリーンにすると、そのアプリは自動的に自分専用の操作スペースへ移る。つまりフルスクリーンは「大きく表示する機能」ではなく、2つ目の層を裏で使っている機能になる。フルスクリーンにした瞬間にデスクトップが増えた感覚になるのは、実際に増えているからだ。
この3層は排他ではなく、重ねて使える。ただし操作が似ているため、どの層を触っているのか意識しないまま混ぜると、期待した動きにならない。
ウインドウを並べる層をタイル表示で立て直す
同じ画面に2つ以上を並べたいだけなら、操作スペースを増やす必要はない。タイル表示で足りる。
Appleの公式ガイドでは、タイル表示の入口として、ウインドウを画面の端にドラッグする、Optionキーを押しながら強調表示された場所にドラッグする、ウインドウ左上の緑色のボタンを使う、メニューバーの「ウインドウ」メニューから選ぶ、キーボードショートカットを使う、の5通りが案内されている。左端と右端のほか、四隅と画面上部のメニューバーも受け口になっていて、メニューバーまでドラッグするとデスクトップ全体に広がる。
キーボードから直接置きたい場合の割り当ては決まっている。左半分がFn+Control+左矢印、右半分がFn+Control+右矢印、上半分がFn+Control+上矢印、下半分がFn+Control+下矢印になる。タイル表示する前の大きさに戻したいときはFn+Control+Rを押す。2枚同時に配置したいときはShiftを足し、左と右ならFn+Control+Shift+左矢印を使う。
つまずきやすいのは、ウインドウを画面の上端へドラッグしたときにMission Controlが開いてしまう挙動になる。これは意図した仕様で、「デスクトップとDock」設定の「ウインドウを画面上部にドラッグしてMission Controlに入る」をオフにすれば止まる。同じ設定画面には「ウインドウを画面の左端または右端にドラッグしてタイル表示」「⌥キーを押しながらドラッグしてタイル表示」「タイル表示されたウインドウを隙間を入れて配置」も並んでいるため、タイル表示が効かないと感じたときはまずここを見るのが早い。
操作スペースを分けて、作業の文脈ごと入れ替える
ウインドウの数が10枚を超えたあたりから、並べる工夫では追いつかなくなる。そこで効くのが操作スペースになる。
作り方は短い。Mission Controlに入り、画面上端のSpacesバーで追加のボタンをクリックする。上限は明記されている。
操作スペースは最大16個まで作成できます。 出典: support.apple.com
16個という数字は、実務では上限として機能しない。3つか4つで足りる人がほとんどで、増やしすぎると移動の距離が伸びて逆に遅くなる。
移動の方法は3通り用意されている。トラックパッドなら3本指または4本指で左右にスワイプ、Magic Mouseなら2本指でスワイプ、キーボードならControlキーを押しながら右矢印キーまたは左矢印キーを押す。Mission Controlに入ってSpacesバーのサムネールをクリックしてもよい。
見落とされやすいのが、アプリを操作スペースに割り当てる機能になる。Dockのアプリアイコンを、Controlキーを押しながらクリックし、「オプション」から「割り当て先」を選ぶと、「すべてのデスクトップ」「このデスクトップ」「ディスプレイ <番号> のデスクトップ」「なし」から選べる。チャットアプリを「すべてのデスクトップ」にして常に視界へ入れ、資料系を「このデスクトップ」で1か所に固定する、といった作り方ができる。
もう1つ知っておきたいのが、既定でオンになっている自動追従の挙動になる。アプリを切り替えると、そのアプリのウインドウが開いている操作スペースへデスクトップが勝手に移る。デスクトップ3で新しい書類を作ったのにデスクトップ2で開いた、という現象はこれが理由になる。「デスクトップとDock」設定のMission Controlにある「アプリケーションの切り替えで、アプリケーションのウインドウが開いている操作スペースに移動」をオフにすると止まる。
フルスクリーンとSplit Viewが向いている場面
フルスクリーンは、ウインドウの左上隅にある緑色のボタンをクリックするか、同じボタンにポインタを置いて「フルスクリーン」から「画面全体」を選ぶと入る。解除はもう一度緑色のボタンにポインタを置いて「フルスクリーンを解除」を選ぶ。
Split Viewは、その緑色のボタンから「フルスクリーン」の下にある「画面左側」または「画面右側」を選び、反対側で2つ目のアプリをクリックすると作られる。このとき新しい操作スペースが1つ生まれる。中央の区切り線をドラッグすれば片側を広げられ、ダブルクリックで元の比率に戻る。片側だけ別のアプリに差し替えたいときは、緑色のボタンから「タイル表示されたウインドウを置き換える」を選ぶ。
フルスクリーンの状態からほかのアプリへ移るときは、「トラックパッド」設定の内容に応じて3本指または4本指でトラックパッドを左右にスワイプする。この操作が効かないときは、設定側でジェスチャが無効になっているか、指の本数が想定と違っている。「トラックパッド」設定の「その他のジェスチャ」には「フルスクリーンアプリケーション間をスワイプ」という項目が独立して置かれているため、そこで本数を確かめる。
Split Viewを別のディスプレイでも使いたい場合は、「デスクトップとDock」設定の「ディスプレイごとに個別の操作スペース」をオンにしておく必要がある。この項目はステージマネージャを使うための前提にもなっている。
覚える操作は4つに絞る
マルチタスクの操作は数が多く、全部を覚えようとすると結局どれも身につかない。日々の仕事で繰り返し効くのは次の4つになる。
- Mission Controlに入る: Control+上矢印、または3本指で上にスワイプ
- 操作スペースを移る: Control+左右の矢印、または3本指か4本指で左右にスワイプ
- 画面を左右に割る: Fn+Control+左矢印とFn+Control+右矢印
- 今のアプリのウインドウを全部出す: Option+下矢印
この4つは、macOSの「キーボード」設定の「キーボードショートカット」から、サイドバーの「Mission Control」カテゴリで確認と変更ができる。既定で無効になっている項目もあるため、押しても反応しないときはチェックボックスが外れていないかを先に見る。変更したショートカットは、使っているアプリをいったん終了してから開き直すと有効になる。
なお、Mission Controlに入ったときに同じアプリのウインドウが散らばって見づらい場合は、「デスクトップとDock」設定の「ウインドウをアプリケーションごとにグループ化」をオンにすると、アプリごとにまとまって表示される。
Webアプリを行き来する人に最後まで残る問題
ここまでの3層は、いずれもアプリのウインドウを対象にしている。ところがGmail、Slack、Notion、Claudeのように仕事の中身がブラウザの中にある場合、この前提が崩れる。
macOSから見ると、ブラウザは1つのアプリでしかない。中に30枚のタブが入っていても、Mission Controlには1枚のカードとして出る。操作スペースを分けても、タイル表示で左右に割っても、分けられるのはブラウザという箱であって、その中の仕事ではない。同じアカウントで別々の会社のSlackを開こうとすると、今度はログインがぶつかる。
この段差を埋める道具として使われているのが、Webアプリを1つの窓にまとめる種類のブラウザになる。アプリごとに独立した置き場所を作り、Cookieを分けて、キー1つで行き来できるようにするという考え方で、仕組みの全体像はできることのページにまとまっている。アプリごとにログインを分ける部分だけを詳しく見たい場合はワークスペースのページが該当する。
どのサービスを中に置けるのかは道具によって差があるため、手元で毎日使っているものが揃っているかは先に確かめておくとよい。対応している顔ぶれは使えるアプリの一覧で公開されている。開発や運用の作業が混ざる人向けに、同じ窓の中でシェルを開ける作りにしている製品もあり、その考え方はターミナルのページで説明されている。
層を取り違えないための切り分け方
最後に、症状から当たる場所を引けるように並べておく。
画面の割り方が思い通りにならないときは、1つ目の層を疑う。「デスクトップとDock」設定の「ウインドウ」にあるタイル表示の各項目と、Fn+Controlの組み合わせを確認する。ここで直る問題を、操作スペースを増やして解こうとすると、デスクトップの数だけが増えて散らかる。
切り替えの操作が効かないときは、2つ目の層と入力機器の設定を疑う。「キーボード」設定のキーボードショートカットにあるMission Controlのカテゴリと、「トラックパッド」設定のジェスチャの2か所が候補になる。
フルスクリーンにしたら他の画面へ戻れなくなったときは、3つ目の層と2つ目の層の関係を思い出す。フルスクリーンのアプリは独立した操作スペースにいるので、戻るときも操作スペースの移動と同じ操作を使う。
そして、上の3つをすべて整えてもタブの海が残るなら、それは層の問題ではなくブラウザの構造の問題になる。道具を入れ替えるかどうかを判断する材料として、費用の目安は料金のページで、導入前に迷いやすい点はよくある質問のページで確認できる。他社製品との作りの違いを並べて見たい場合はWaveboxとの比較のページが参考になる。
よくある質問
操作スペースはいくつまで作れますか?
Appleの公式ガイドでは最大16個までと案内されています。ただし数を増やすほど目的の場所までの移動が長くなるため、実務では3つから4つに収める使い方が扱いやすくなります。役割ごとに固定し、増やす前に中身を見直すほうが結果として速くなります。
デスクトップを切り替えるショートカットが効きません。どこを見ればよいですか?
「キーボード」設定の「キーボードショートカット」を開き、サイドバーで「Mission Control」を選んで、該当するショートカットのチェックボックスが入っているかを確かめてください。既定で無効になっている項目があります。ほかのアプリと組み合わせが重なっている場合も動きません。
フルスクリーンにすると他のアプリが見えなくなります。仕様ですか?
仕様です。アプリをフルスクリーンにすると、そのアプリは自分専用の操作スペースへ移ります。戻るときはControlキーと左右の矢印キー、または3本指か4本指での左右スワイプを使います。トラックパッドのジェスチャは「トラックパッド」設定で本数を確認できます。
ブラウザのタブが多すぎる場合も、操作スペースで分けられますか?
分けられません。macOSから見るとブラウザは1つのアプリで、中のタブは対象外になります。タブ側を分けたい場合は、アプリごとに独立した置き場所とログインを持てる種類のブラウザを使うか、用途ごとにブラウザ自体を分ける方法が現実的です。