Macの画面分割アプリを選ぶときに見るところ
Macの画面分割をアプリで何とかしたい人は、たいてい標準の機能を一度試してからたどり着く。左右に並べるところまでは進むのに、3分割ができない、外部ディスプレイに繋ぎ直すたび配置が崩れる、そもそも操作が指に馴染まない。ここでは標準の機能が届く範囲を先に線引きしてから、追加のアプリが埋めている隙間と、選ぶときに見るべきところを順に並べる。読み終わったときに「自分には追加のアプリが要るのか、要らないのか」が決められる状態を目指す。
標準の機能が届く範囲は、以前より広い
画面分割アプリの紹介記事の多くは、macOSの標準機能が左右2分割止まりだった時代に書かれている。現在は事情が変わった。ウインドウのタイル表示はmacOS Sequoia 15から加わった機能で、Appleのユーザガイドでもタイル表示は独立した項目として扱われている。
操作の入口は4つある。ウインドウを画面の左端や右端、四隅、上端にドラッグして放す方法。ドラッグ中にOptionキーを押し続けて素早く貼り付ける方法。ウインドウ左上の緑色のボタンにポインタを置いてレイアウトを選ぶ方法。そしてメニューバーの「ウインドウ」メニューから「移動とサイズ変更」を選ぶ方法になる。
キーボードだけで済ませたい場合の割り当ても公開されている。左半分がFn+Control+左矢印、右半分がFn+Control+右矢印、デスクトップ全体がFn+Control+F、タイル表示する前の大きさに戻すのがFn+Control+Rになる。2つのウインドウを同時に左右へ振り分けるFn+Control+Shift+左矢印、3つのウインドウを左半分と右の上下へ配置するFn+Control+Option+Shift+左矢印まで用意されている。手順の詳細はAppleのMacでウインドウをタイル表示するに載っている。
つまり「2分割と4分割を、ショートカットで、隙間の有無も選んで」という範囲は、追加のアプリなしで足りる。ここを知らずにアプリを探し始めると、標準で済む用事に月額や買い切りの費用を払うことになる。
Split Viewとタイル表示は、名前が似ていて中身が違う
もう1つ混同されやすいのが、Split Viewとタイル表示の関係になる。同じ「画面を割る」でも、割った先の置き場所が違う。
タイル表示は、いまのデスクトップの上でウインドウの位置と大きさが変わるだけになる。メニューバーもDockも見えたままで、他のウインドウも後ろに残っている。
Split Viewは、緑色のボタンにポインタを置いて「フルスクリーン」から「画面左側」または「画面右側」を選び、反対側で2つ目のアプリをクリックして作る。このとき新しいデスクトップスペースが作られ、2つのアプリだけがそこに入る。メニューバーとDockはポインタを近づけたときだけ現れ、中央の区切り線をドラッグすれば左右の比率を変えられる。区切り線をダブルクリックすると元の比率に戻る。
言い換えると、デスクトップ上に表示している他のアプリ(パワーポイントやメモ帳など)も一緒に画面分割をするこことはできません。 出典: icthelp.edujapa.com
この性質は、用途によって長所にも短所にもなる。原稿と資料だけに向き合いたいならSplit Viewの閉じた作りが効く。逆に、チャットの通知や別のウインドウを視界に残したまま作業したいなら、デスクトップ上に留まるタイル表示のほうが合う。片方が使いにくいのではなく、2つは別の道具になる。操作の全体像はAppleのSplit Viewの2つのアプリを素早く使用するに整理されている。
追加のアプリが埋めている隙間は4つ
標準の機能が広がったあとでも、画面分割アプリが残っている理由ははっきりしている。埋めている隙間は次の4つに集約される。
1つ目は配置の細かさになる。標準のタイル表示は2分割と4分割が中心で、横3分割や左右1対2のような比率は選択肢に入らない。横に広い外部ディスプレイを使っていると、3分割が欲しくなる場面は多い。
2つ目はショートカットの自由度になる。標準の割り当てはFnキーを含む3打鍵や4打鍵で、片手では押しにくい。追加のアプリなら自分の指に合わせて短い組み合わせに置き換えられる。
3つ目はレイアウトの保存になる。朝の作業と夕方の作業でウインドウの並びが違う人や、外部ディスプレイを抜き差しする人は、並べ直す手間そのものが負担になる。配置を名前を付けて保存し、1回の操作で呼び戻せるかどうかで差が出る。
4つ目は挙動の細かい調整になる。ドラッグで反応させる領域の大きさ、ウインドウ間の隙間、緑色のボタンをクリックしたときの動作の置き換えなど、標準では触れない部分を設定できる。
そんなとき、マウスでウィンドウの大きさを調整しても良いのですが、画面分割用のアプリケーションを使えば、キーボードショートカットを利用して簡単に画面を分割できます。 出典: better-practice.jp
無料で手に入るツールの現況
無料のものを比べるときは、機能より先に保守が続いているかを見たほうがよい。macOSは毎年更新され、ウインドウを操作するアプリはアクセシビリティ権限に依存しているため、更新が止まった製品は静かに動かなくなる。
Rectangleは無料で、ソースコードも公開されている。公式サイトではmacOS 10.15以降に対応し、IntelとApple Siliconの両方で動くと案内されている。開発は現在も続いており、リポジトリの更新は2026年9月23日時点で当日分が記録されている。星の数は29,900を超えていて、この分野では最も利用者が多い部類に入る。
Spectacleは、かつて定番として紹介されていたツールになる。ただし公式のREADMEには、このプロジェクトは積極的に保守されていないと書かれており、リポジトリは読み取り専用の状態に移されている。最後の更新は2022年1月で、作者自身がオープンソースの代替としてRectangleを挙げている。いまから新しく入れる対象ではない。
ShiftItも無料で配布されている。GPLv3で公開され、OSX 10.7以降向けのビルドがリリース欄に置かれている。最後の更新は2023年11月で、アーカイブはされていないものの、動きは緩やかになっている。
古い紹介記事でSpectacleやShiftItが上位に出てくるのは、記事が書かれた時期が理由になる。名前で判断せず、公式のリポジトリの最終更新日を1分見るだけで、状況は確かめられる。
有料のツールの、今日時点の値段
有料のものは金額が小さく、比較の主題になりにくい。それでも入手経路と対応OSは実際の使い勝手に効くので、並べておく。
| 名前 | 価格 | 必要なmacOS | 入手先 |
|---|---|---|---|
| Magnet | 490円 | 13.0以降 | Mac App Store |
| BetterSnapTool | 300円 | 10.12以降 | Mac App Store |
| Moom | 15ドル | 10.13以降 | 開発元のサイト |
| Rectangle Pro | 試用は10日間 | 公式サイトに記載 | 開発元のサイト |
Magnetは490円の買い切りで、Mac App Storeの配信ページではmacOS 13.0以降が必要と示されている。画面の端と隅へのドラッグ、ショートカット、メニューバーの3通りで操作でき、最大6台の外部ディスプレイに対応すると公式サイトが案内している。
BetterSnapToolは300円で、macOS 10.12以降に対応している。標準の貼り付け位置に加えて、自分で作った領域を画面の任意の場所に置けるのが特徴になる。緑色のボタンなどウインドウのボタンをクリックしたときの動作も差し替えられる。
Moomは開発元のサイトで15ドル、旧版からの移行は8ドルと案内されている。特徴は配置の保存で、複数のウインドウの並びをレイアウトとして記録し、後から丸ごと呼び戻せる。ノートを外部ディスプレイに繋いだり外したりする使い方とは相性がよい。
Rectangle Proは10日間試してから購入する形になる。無料版のRectangleを使っていて、設定を引き継ぎたい場合の移行先という位置付けになる。
選ぶときに見る4つのところ
金額の差が小さいぶん、選ぶ基準は費用以外に置いたほうがよい。順に見ていくと決まりやすい。
1つ目は、標準のタイル表示で足りるかどうかになる。まずFn+Control+左矢印とFn+Control+右矢印を1日使ってみて、不満が出た点だけを書き出す。不満が出なければ、そこで探索は終わってよい。
2つ目は、必要な分割の形になる。2分割と4分割で足りるなら標準で済む。横3分割や左右1対2が要るなら追加のアプリの領域に入る。
3つ目は、更新が続いているかどうかになる。公式サイトやリポジトリの最終更新日を見る。年単位で止まっているものは、次のmacOSで動かなくなる可能性を抱えている。
4つ目は、入手経路になる。Mac App Store経由のものは更新が自動で届き、支払いもApple Accountにまとまる。開発元のサイトから直接買うものは、機能が先に進むかわりに、更新の受け取りと支払いを自分で管理することになる。どちらが良いかは、管理の手間をどこに寄せたいかで決まる。
この4つを順に当てると、多くの人は「標準のタイル表示で足りる」か「横3分割が要るので無料のものを1本足す」のどちらかに落ち着く。有料のものが効くのは、レイアウトの保存や独自の貼り付け領域といった、標準に存在しない機能が業務に直結している場合に限られる。先に不満を書き出しておくと、機能の一覧を眺めて迷う時間がなくなる。
画面を割っても片づかないときに起きていること
ここからは少し視点を変える。画面分割アプリを入れても作業が楽にならない、という声には共通した形がある。並べているものが、アプリのウインドウではなくブラウザのタブになっている場合になる。
Gmail、Slack、Notion、カレンダー、生成AIの画面。これらは別々のアプリに見えて、実体は1つのブラウザの中のタブになっていることが多い。この状態で画面を左右に割っても、左にブラウザ、右にブラウザが並ぶだけで、切り替えの手間は1つも減らない。タブは重なり続け、目的の画面を探す時間も変わらない。
この形の詰まりは、ウインドウの置き方ではなく、Webアプリの置き場所を変えることで解ける。Webアプリを1つずつ独立した窓として扱う道具があり、そこでアプリごとに独立したワークスペースを持たせると、画面分割の対象が初めて「タブ」ではなく「アプリ」になる。考え方の全体像はできることに、画面の分け方そのものはワークスペースにまとめてある。
同じ分類の製品でも設計の考え方は分かれる。広く知られているものとの違いを整理したWaveboxとの比較と、軽さを重視した設計との違いを見たFerdiumとの比較を並べて読むと、判断の軸がはっきりする。自分が毎日開いているサービスが対象に入っているかどうかは使えるアプリで確かめられ、費用の考え方は料金に載っている。
判断の順序を整理すると、次のようになる。並べたいものがアプリのウインドウなら、まず標準のタイル表示を試し、足りない分だけを画面分割アプリで補う。並べたいものがブラウザのタブなら、画面分割アプリを増やしても解決しないので、Webアプリの置き場所のほうを見直す。この2つを取り違えたまま道具を足し続けると、設定の数だけが増えていく。
よくある質問
macOS標準の機能だけで画面分割はできますか?
できます。macOS Sequoia 15から加わったウインドウのタイル表示では、画面の端へのドラッグ、緑色のボタン、ウインドウメニュー、キーボードショートカットの4通りで2分割と4分割が作れます。左半分はFn+Control+左矢印、元の大きさに戻すのはFn+Control+Rです。横3分割など細かい比率が必要なときだけ、追加のアプリを検討すれば足ります。
無料の画面分割アプリはどれを見ればよいですか?
現在も開発が続いている無料のものとしてはRectangleがあり、公式サイトではmacOS 10.15以降、IntelとApple Siliconの両方に対応すると案内されています。古い記事で紹介されがちなSpectacleは、公式のREADMEに積極的な保守を行っていないと明記され、リポジトリも読み取り専用になっています。無料のものを選ぶときは、最終更新日を必ず確かめてください。
有料の画面分割アプリはいくらくらいですか?
Mac App StoreのMagnetが490円、BetterSnapToolが300円です。開発元のサイトで販売されているMoomは15ドル、旧版からの移行は8ドルと案内されています。いずれも買い切りで、月額の負担は発生しません。金額の差が小さいため、価格より対応OSと更新の続き方で選んだほうが後悔が少なくなります。
画面を分割しても作業が楽にならないのはなぜですか?
並べている対象がアプリのウインドウではなく、1つのブラウザの中のタブになっている場合が多いためです。左右に割ってもブラウザが2つ並ぶだけで、タブを探す手間は変わりません。この形のときは、画面分割アプリを足すのではなく、Webアプリを1つずつ独立した窓として扱う仕組みに変えるほうが効きます。