MacBookのバッテリー消費が早い|開いている画面から見直す

朝に満充電で持ち出したMacBookが、昼前に残り30パーセントを切っている。会議もしていないし、動画も見ていない。開いていたのはGmailとSlackとNotion、それに調べもの用のタブが20枚ほど。「macbook バッテリー 消費 早い」で調べる人の多くが置かれているのは、この状況である。

この症状を追うときに最初にやることは、修理を検討することでも、設定を片端からオフにすることでもない。バッテリーが痛んでいるのか、それとも電力を使っているソフトがいるのかを分けることである。前者は部品の話で、後者は開いている画面の話であり、対処がまったく違う。どちらなのかは、Macに標準で入っている2つの画面で15分もあれば判別できる。

以下では、判別の順番と、それぞれで何を見るかを扱う。最後に、Webアプリを1日中行き来する働き方そのものが消費にどう効いているかを整理する。

「消費が早い」という言葉には、別の2つの問題が入っている

同じ「早い」という言葉で語られている現象は、実際には2種類ある。

1つは、満充電から空になるまでの時間が短いという話である。これは電力を使っている側の問題で、何かがCPUを回し続けているか、画面が明るすぎるか、スリープに入れない状態が続いている。

もう1つは、バッテリーそのものが蓄えられる量が減ったという話である。新品のときに10時間動いていた個体が7時間で止まるようになったのなら、使い方は同じでも器が小さくなっている。

この2つは、見えている症状が似ているのに原因が重ならない。器が小さくなった個体で常駐アプリを切っても効果は限られるし、逆に器が十分な個体で修理見積もりを取っても意味がない。市販の解説記事が噛み合わないことが多いのは、この2つを分けずに手順を並べているからである。

一般的な持続時間の感覚については、次のような整理がある。

MacBookのモデルとその用途次第ですが、平均のバッテリー持続時間は10〜18時間程度です。ただし、実際にはそこまで長く持続しないケースがほとんどなので「Macのバッテリーがすぐに切れるのはなぜ?」と疑問に感じるかもしれません。 出典: macpaw.com

カタログの数字が出るのは、輝度を落として単一のアプリだけを動かした条件である。Webアプリを何枚も開いて仕事をしている状態と比べる相手ではない。だからこそ、自分の個体が今どちらの問題を抱えているかを、数字で確かめる意味がある。

劣化かどうかは充放電回数で先に分かる

器が小さくなっているかどうかは、充放電回数という数字で判断できる。ここで言う回数は、充電した回数ではない。

Appleは、バッテリーの電力をすべて使い切った時点で1回とカウントすると説明している。1日でバッテリー容量の半分を使って満充電に戻し、翌日も同じことをした場合、回数は2回ではなく1回になる。毎日充電器に挿していても、数字はゆっくりしか増えない。

確認の手順は短い。optionキーを押しながらアップルメニューをクリックし、「システム情報」を選ぶ。ウインドウ左側の「ハードウェア」から「電源」を選ぶと、「バッテリー情報」の欄に現在の充放電回数が出る。

出た数字を、自分のモデルの上限と見比べる。近年のMacノートブックは上限が1000回に設定されているモデルが多い。そして、上限に達したからといって突然使えなくなるわけではない。

バッテリーは最大充放電回数に達した後も、本来の蓄電容量の最大80%を維持するよう設計されています 出典: support.apple.com

つまり、回数が上限の半分にも届いていないのに持続時間が目に見えて短い、という個体は、劣化ではなく消費の側に原因がある。ここで数字を見ておかないと、後の手順すべてが当て推量になる。

エネルギーパネルは、電力を使っているアプリを名指しする

消費の側を見るときは、アクティビティモニタの「エネルギー」パネルを開く。上位記事がそろってこの画面を勧めるのは、推測を挟まずにアプリ名が出るからである。

Appleのガイドは、このパネルに並ぶ項目を次のように説明している。

項目 何が分かるか
エネルギー影響 アプリの現在のエネルギー消費の相対測定。低いほうが望ましい
12時間の電力 過去12時間または起動してからの平均エネルギー影響。ノートブックだけに出る
App Nap そのアプリのApp Napが働いているか
グラフィックカード 高性能なグラフィックカードを必要とするか
非スリープ そのアプリがMacをスリープさせないようにしているか

見るべきは、画面を開いた瞬間の「エネルギー影響」よりも「12時間の電力」である。前者はその時に動いている処理を拾うだけなので、たまたま更新中のアプリが上に来る。後者は半日の平均で、常時電力を使っているものが上に浮く。

「非スリープ」の列も見落としやすい。ここに該当するアプリがあると、蓋を閉じてもMacが眠らず、カバンの中で電力を使い続ける。会議アプリ、画面共有ツール、動画の再生中のタブがこの状態を作る。

各項目の定義はAppleのアクティビティモニタのガイドにそのまま載っている。どの列が何を指すか迷ったときは、記憶ではなくこのページを開いたほうが速い。

Webアプリを開いたままにしている人に多い3つの出口

エネルギーパネルの上位に、GmailやSlackやNotionのプロセスが並ぶことがある。文書を書いているだけなのに、なぜ電力を使うのかが分かりにくい部分である。原因になりやすいのは次の3つである。

  • 裏で動き続けるタブ。表示していないタブでも、通知の受信、自動保存、リアルタイム同期のために通信と処理が続く。Webアプリは「開いている」だけで働き続ける設計になっている。

  • 全部を1つのブラウザに積む形。20枚以上のタブを同じブラウザに入れると、どのタブが電力を使っているのかがブラウザのプロセス名からは分からなくなる。名指しできないものは止められない。

  • スリープに入れない常駐。会議ツールや画面共有の待機状態が残ると、非スリープの扱いになる。会議が終わってもタブを閉じていない場合に起こりやすい。

この3つに共通するのは、原因が個々のアプリの出来ではなく、アプリの置き場所にあるという点である。同じGmailでも、常時同期のタブとして裏に置いてあるのか、必要なときだけ開く窓に入れてあるのかで、半日の平均は変わる。アプリごとに独立したワークスペースに分ける発想が電力の話として出てくるのは、この理由からである。

80パーセントで充電が止まるのは正常な動作

消費を追っていると、充電の側でも「おかしい」と感じる挙動に出会う。長時間つないでいるのに100パーセントにならない、という現象である。これは不具合ではない。

Appleは、「バッテリー」設定で「バッテリー充電の最適化」が有効な場合、特定の条件下ではバッテリーが80パーセントまで充電されたところで以降の充電が保留されることがあり、これは正常でバッテリーの寿命の最適化に役立つと説明している。すぐに満充電にしたいときは、メニューバーのバッテリーの項目から「今すぐフル充電」を選べばよい。

ほかに3つ、覚えておくと迷わない挙動がある。

  • 「充電上限」を設定している場合、その上限までしか充電されない。
  • バッテリーの状態管理が働いて充電が一時停止しているときは、残量が93パーセント以下に減ったところで充電が再開される。
  • 「バッテリー充電の最適化」をオフにしているのに80パーセント以上にならない場合は、バッテリーの温度が高すぎる可能性がある。通気のよい涼しい場所に移す。

これらの挙動はAppleのサポート記事に条件つきで書かれている。「充電されない」と「充電が保留されている」は別の話であり、後者を不具合として扱うと、直す必要のないものを直そうとして時間を失う。

設定側で削れるものと、削れないもの

アプリを名指しできたあとに、設定側でできることも一度洗っておく。ただし効き幅には大小があるので、順番をつけて扱うほうがよい。

効き幅が大きいのは画面の明るさである。ディスプレイは常に点いている部品で、消費全体のなかで占める割合が高い。屋内で作業しているなら、輝度を数段下げるだけで持続時間が伸びる。「明るさを自動調節」を有効にしておくと、環境光に応じて下がるので手動で戻す手間が減る。

次に効くのがスリープの扱いである。「バッテリー」設定で、電源に接続していないときのディスプレイのオフまでの時間を短くしておく。席を外すたびに蓋を閉じる習慣があるなら、前の節で触れた非スリープのアプリだけを潰せば、蓋を閉じた時間はそのまま電力を使わない時間になる。

低電力モードも同じ設定画面にある。処理の上限を抑えて消費を下げる仕組みなので、書きものや調べものが主な時間帯には向く。動画の書き出しや大きなビルドを回している時間には、作業時間が伸びる分だけ相殺されることがある。

一方で、効き幅が読みにくいものもある。Bluetoothや位置情報をこまめに切る運用は、消費の実測差が小さいうえに接続のやり直しが発生する。ウイルス対策ソフトや同期ツールをまるごと止める判断は、電力よりも運用側の影響が大きい。10パーセントを取り返すために業務の前提を崩すのは、順序が逆になる。

設定の調整で戻る分には天井がある。半日で電池が尽きる状態を1日持つ状態に変えたいなら、削るのは設定ではなく、常時動いているアプリの数である。

窓の置き方を変えると、消費の山が低くなる

充放電回数が上限から遠く、それでも半日で電池が尽きるのなら、残る手は開いている画面の整理である。輝度を下げる、低電力モードを使う、といった設定側の調整は効果が読みやすい反面、上限がはっきりしている。仕事の中身が「Webアプリを何枚も行き来する」ことである人にとって、効き幅が大きいのはアプリの置き方のほうである。

Webアプリをまとめるブラウザは、この置き方を変える道具として作られている。1つのブラウザに全部のタブを積むのではなく、アプリごとに窓を分け、使っていないアプリは止めておく。どういう単位で分けられるのかはワークスペースの説明が具体的で、どのアプリが対象になるかは使えるアプリの一覧で確かめられる。

選ぶときに見る観点は3つある。1つ目は、使っていないアプリを止められるか。2つ目は、アプリごとにアカウントを分けられるか。3つ目は、必要な機能に対して料金が見合っているか。同じ領域の製品として名前が挙がるものは、それぞれ設計思想が違う。月額と機能の対応を知りたいならWaveboxとの比較とShiftとの比較を見比べると輪郭が掴める。無料で使い続ける前提ならRamboxとの比較のほうが近い。

道具の機能そのものはできることにまとまっており、価格帯は料金で確かめられる。導入の前に引っかかりやすい点はよくある質問に集まっている。

最後にもう一度、順番だけ確認しておく。充放電回数で器の大きさを見る。エネルギーパネルの「12時間の電力」と「非スリープ」で電力を使っているものを名指しする。そのうえで、名指しできたものの置き場所を変える。この順番で見れば、「消費が早い」という感覚は、対処できる具体的な項目に分解できる。

よくある質問

充放電回数が上限を超えていたら、すぐに交換したほうがよいですか?

上限を超えても使い続けられます。Appleは、最大充放電回数に達した後も本来の蓄電容量の最大80パーセントを維持するよう設計していると説明しています。持続時間が仕事に足りているなら急ぐ必要はなく、外出先で足りなくなってきた時点で交換を検討すれば間に合います。

アクティビティモニタで何を見れば原因のアプリが分かりますか?

「エネルギー」パネルの「12時間の電力」の列を降順で見ます。開いた瞬間の「エネルギー影響」は一時的な処理を拾うため、常時電力を使っているものは平均のほうに現れます。あわせて「非スリープ」の列も確認し、Macを眠らせていないアプリがないかを見ます。

充電が80パーセントで止まるのは故障ですか?

故障ではありません。「バッテリー充電の最適化」が有効なとき、条件によって80パーセントで充電が保留されます。すぐに満充電にしたいときは、メニューバーのバッテリーの項目から「今すぐフル充電」を選びます。最適化をオフにしても80パーセント以上にならない場合は、温度が高すぎる可能性があります。

タブを閉じるだけで消費は変わりますか?

変わる場合があります。表示していないタブでも、通知の受信や自動保存や同期のために処理と通信が続くためです。ただしタブを毎回閉じる運用は仕事の手を止めるので、使う頻度の低いアプリを別の窓に分けて、必要なときだけ動かす形にしたほうが続きます。

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