ブラウザの分割表示で足りるのは、どこまでか

ブラウザの分割表示は、いまは主要なブラウザのほとんどに標準で入っています。Chromeは「分割ビュー」、Microsoft Edgeは「スプリットスクリーン」、Vivaldiは「タブタイリング」という名前で、1つの窓の中に2つ以上のページを並べられます。ブラウザの機能を使わずに、macOSのタイル表示で窓を左右に並べる方法もあります。どれを選ぶかは、並べたいページが「見比べる2枚」なのか、「1日中開いておく仕事のアプリ」なのかで決まります。この記事では、各社の公式ヘルプで2026年10月18日に確かめた手順、ショートカット、並べられる数を表にまとめ、作業の種類ごとの向き不向きを整理します。なお、このサイトはWebアプリを1つの窓にまとめるMac用ブラウザの開発元が運営しています。

4つの分割表示を、公式の記述で並べる

まず、それぞれの仕組みが何を並べるのかを比べます。

仕組み 呼び名 並べられる数 始め方(Mac)
Chrome 分割ビュー 2つ タブを右クリック、または Cmd+Option+N
Microsoft Edge スプリットスクリーン タブごとに2つ 「設定など」から「スプリットスクリーン」
Vivaldi タブタイリング 上限なし タブを複数選んで右クリックし「タイル」
macOS ウインドウのタイル表示 窓の数だけ 緑のボタンにポインタを置く、または Fn+Control+矢印

ChromeとEdgeは、1つのタブの中に2ページを入れる作りです。Edgeの分割画面の紹介ページには、タブごとに2つのWebサイトを分割できること、スマートフォン版のEdgeでは使えないことが書かれています。Vivaldiのタブタイリングのヘルプには、一度にタイリングできるタブの数に制限はないが、画面の大きさによってはある時点からページの内容が見えにくくなる、とあります。macOSのタイル表示はブラウザの外の仕組みで、Safariでも他のアプリでも同じように使えます。

分割表示を紹介する記事の多くも、出発点は同じ悩みです。

たくさんのタブを開きながら作業をする、ということをしつつ、編集画面であるタブ(右)と、常に一緒に表示させたい画面やお手本となるタブ(左)、これら2つのタブを1つの画面に表示する「分割表示」を活用することで便利にブラウザを使用した活動ができます。 出典: note.com

「お手本を見ながら編集する」作業に向くのは、どの方法でも同じです。違いが出るのは、並べたまま何時間も使うときと、3枚以上並べたいときです。

Chromeの分割ビュー:操作の名前と、片側だけ効く機能

GoogleのヘルプChrome で分割ビューを使用してマルチタスクを行うによると、分割ビューは1つのChromeの窓に2つのWebサイトを同時に表示する機能です。始め方は3通りあります。

  • 開いていないタブを右クリックして「現在のタブで新しい分割ビュー」を選ぶ
  • 今開いているタブを右クリックして「新しい分割ビューにタブを追加」を選ぶ
  • タブを窓の左端か右端までドラッグし、「分割ビューを作成」の表示が出るまで待って離す。下端に持っていくと上下の積み重ね表示になる

リンクを右クリックして「分割ビューでリンクを開く」を選ぶこともでき、Macでは Cmd+Option+N で今のタブを分割ビューにできます。分割ビューのタブを右クリックすると、「分割ビューを分離する」「積み重ね表示または並列表示に切り替える」「位置を入れ替える」などが選べます。

使い始めて戸惑いやすいのが、アクティブなビューの扱いです。ヘルプによると、2つのビューのうち片方が常にアクティブで、太い枠線で区別されます。戻る、進む、アドレスバーなどのツールバーの操作はアクティブな側にだけ効き、翻訳、印刷、リーディングモードもアクティブな側でしか動きません。非アクティブな側はスクロールしてもアクティブにならず、クリックして初めて切り替わります。左のページを翻訳したつもりで右が変わる、という失敗はこの仕様から来ています。

タブをドラッグしたときに勝手に分割されるのが煩わしければ、設定の「デザイン」で分割画面へのドラッグ&ドロップをオフにできます。

Edgeのスプリットスクリーンと、Vivaldiのタブタイリング

Microsoft Edgeのスプリットスクリーンも、1つのタブに2つのページを並べる仕組みです。前出の紹介ページによると、右上の「設定など」(Alt+F)から「スプリットスクリーン」を選んで始めます。終わり方は2通りあり、アクティブな側の右上にある「分割画面を閉じる」(X)を押すとページごと閉じ、「その他のオプション」(…)から「2つのタブを分離」を選ぶと、分割をやめて2つのタブとして残ります。閉じるつもりがなかったページを消してしまわないよう、この2つの違いは覚えておく価値があります。

Vivaldiは、並べられる数と始め方の多さが特徴です。ヘルプには、Cmd キーか Shift キーを押しながらタブを選び、右クリックで「タイル」を選ぶ方法のほか、タブをページの上にドラッグして「ドロップしてタイル」と表示されたら離す方法、ステータスバーの「ページのタイル張り」ボタン、クイックコマンドで「タイル」と入力する方法、キーボードショートカット、マウスジェスチャーが並んでいます。リンクを右クリックして「タイルでリンクを開く」も使えます。

3枚以上を並べたい人には、上限のないVivaldiが候補になります。一方で、ChromeやEdgeから乗り換えるとブックマークや拡張機能の移し替えが必要になるため、分割表示のためだけに乗り換えるかは、他の機能も合わせて判断することになります。

macOSのタイル表示:ブラウザを問わず窓を並べる

ブラウザの機能を使わずに、macOS側で窓を並べる方法もあります。Appleのウインドウのタイル表示アイコンとキーボードショートカットによると、窓の左上の緑色のボタンにポインタを置くか、メニューバーの「ウインドウ」から「移動とサイズ変更」を選ぶと、並べ方のアイコンが出ます。キーボードで操作する場合の主なものは次のとおりです。

  • Fn+Control+左矢印、右矢印:今の窓をデスクトップの左半分、右半分に移す
  • Fn+Control+Shift+左矢印:今の窓を左半分に、2つ目の窓を右半分に移す
  • Fn+Control+Option+Shift+左矢印:今の窓を左半分に、2つ目と3つ目の窓を右側の上下に移す
  • Fn+Control+R:タイル表示する前の大きさに戻す

この方法の利点は、並べる相手がブラウザでなくてもよいことです。ブラウザと表計算ソフト、ブラウザとターミナルのように、アプリをまたいで並べられます。また、2つの窓は別々の窓なので、片方をChromeの仕事用プロファイル、もう片方を個人用プロファイルにすることもできます。ChromeやEdgeの分割は同じ窓の中の2ページなので、ログインしているアカウントも共通になります。

弱点は、並べた配置が保存されないことです。窓を閉じたり、外部ディスプレイを抜いたりすると、毎朝並べ直すことになります。

分割表示が向く作業、向かない作業

ここまでの仕組みを、作業の種類に当てはめるとこうなります。

向いているのは、2枚を見比べながら手を動かす作業です。資料を見ながら文章を書く、スプレッドシートの仕様を見ながら管理画面に入力する、翻訳の原文と訳文を並べる、といった作業では、どの分割表示でも行き来の回数が目に見えて減ります。終わったら分割を解除すれば済みます。

向かないのは、仕事のアプリを常に開いておく使い方です。Gmail、Slack、カレンダー、Notionのように、1日中何度も戻るアプリを分割表示の片側に置くと、いくつかの問題が出ます。13インチや14インチのノートでは横幅が半分になり、メールの一覧やチャットの入力欄が窮屈になります。片側が通知のたびに目に入り、もう片側の作業が途切れます。そして2枚までのChromeやEdgeでは、3つ目のアプリを見るたびに分割を組み替えることになります。

分割表示がうまくいかないと感じるとき、原因の多くは機能の出来ではなく、「見比べる2枚」と「常駐させたいアプリ」を同じ仕組みで扱おうとしていることにあります。

常駐させたいアプリは、置き場所を決める

1日中戻るアプリについては、分割で並べるより、決まった置き場所を作るほうが合います。その方法の1つが、Webアプリを1つの窓にまとめるブラウザです。GmailやSlackを左のサイドバーに「アプリ」として登録し、クリックやキー操作で切り替える作りで、アプリごとに独立したセッションを持つため、仕事用と個人用のGmailを同時に開いておけます。こうした仕組みはワークスペースにまとまっています。

このタイプのブラウザでも、分割表示とサイドドックが使えます。たとえばコマンドパレット(⌘K)で選んだアプリを⌘Enterで右に分割したり、⌘⇧Dで1つのアプリを右端に細く固定したりできます。カレンダーやチャットを右端に置き、本体ではメールや資料を開く、という使い分けができ、本体の画面を覆うことはありません。機能の一覧はできることで確かめられます。同じ分野のWaveboxとの違いはWaveboxとの比較に並べられています。

無料版は1つのワークスペースに3つのアプリまで登録でき、インストールから14日間はすべての機能を試せると料金に書かれています。動作環境は macOS 12 Monterey 以降です。

選び方の目安は次のとおりです。見比べる作業が中心なら、今使っているブラウザの分割表示で十分です。3枚以上を並べたいならVivaldiのタブタイリングかmacOSのタイル表示、アカウントの違う2つの画面を並べたいならmacOSのタイル表示で別々の窓を並べます。仕事のアプリを常に開いておきたいなら、分割ではなくアプリごとの置き場所を作る方法を試します。まずは今日1日、どの2枚を並べたくなったかを数えてみると、どれを選ぶべきかがはっきりします。

よくある質問

Chromeで分割表示を始めるショートカットはありますか?

あります。Googleのヘルプによると、Macでは Cmd+Option+N で今開いているタブを分割ビューにできます。Windows と Linux では Shift+Alt+N です。タブを右クリックして「新しい分割ビューにタブを追加」を選ぶ方法や、タブを窓の端までドラッグする方法でも始められます。

分割表示で3つ以上のページを並べられますか?

Chromeの分割ビューは2つ、Edgeのスプリットスクリーンはタブごとに2つまでです。Vivaldiのタブタイリングには数の上限がなく、画面の広さが許す限り並べられます。macOSのタイル表示を使えば、Fn+Control+Option+Shift+矢印で3つの窓を一度に配置することもできます。

分割した左右で、別々のアカウントにログインできますか?

ChromeやEdgeの分割表示は同じ窓の中の2ページなので、ログインしているアカウントも共通です。別々のアカウントで並べたい場合は、Chromeのプロファイルを分けて2つの窓を開き、macOSのタイル表示で左右に並べます。アプリごとにセッションが分かれるブラウザを使う方法もあります。

Chromeの分割表示で、翻訳や印刷が思った側に効かないのはなぜですか?

Chromeの分割ビューでは、太い枠線で表示されたアクティブな側にだけ、ツールバーの操作や翻訳、印刷、リーディングモードが効きます。非アクティブな側はスクロールしても切り替わらないため、操作したい側を一度クリックしてアクティブにしてから実行します。

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