Gメールのアカウント切り替えが面倒|窓の置き場所から作り直す
Gメールのアカウント切り替えで検索する人の多くは、やり方が分からないわけではありません。右上のアイコンを押して選ぶ手順は知っていて、それでも面倒だと感じている状態です。面倒さの正体は操作の回数ではなく、切り替えたあとに「いまどのアカウントで見ているのか」を毎回確かめ直していることと、取り違えたときにやり直す手間のほうにあります。ここでは、切り替えが重くなる仕組みを分解したうえで、Googleの複数ログイン、ブラウザのプロファイル、Webアプリを窓ごとに分ける道具を、それぞれ何を解決して何を残すのかで並べます。
面倒だと感じているのは、手順ではなく確認のほう
切り替えの操作そのものは短いものです。プロフィール画像を押し、目的のアカウントを選び、読み込みを待つ。この流れは3手で終わります。それでも面倒に感じるのは、操作のあとに確認の作業がくっついてくるからです。
開いた画面が意図したアカウントのものかどうかは、画面を見ただけでは分かりにくくなっています。受信トレイの見た目は仕事用も個人用もほぼ同じで、違いは右上の小さなアイコンと、差出人欄に出るアドレスだけです。そのため、返信を書き始めてから差出人が違うことに気づく、という取り違えが起きます。書いた文面を捨てて開き直すところまでが1回の損失になります。
もう1つは、切り替えたあとに行き先を探し直す時間です。仕事用の受信トレイに移ったつもりでカレンダーを開いたら個人用のカレンダーが出てきた、という形で出ます。Googleのサービスは受信トレイ、カレンダー、ドライブ、ドキュメントと分かれているため、切り替えの判定はサービスごとに起きます。
1回あたりは数秒です。ただし1日に何十回も行き来していると、失っているのは時間よりも文脈のほうになります。切り替えている最中に、何をしようとしていたのかが抜け落ちる。この抜け落ちが、面倒という言葉の中身です。
Googleの複数ログインは、行き先を固定すると速くなる
まず費用がかからない方法から見ます。Googleのページで右上のプロフィール画像を押し、アカウントの追加からログインすると、以後は同じメニューで切り替えられるようになります。追加の導入作業は要らず、設定は1分ほどで終わります。
この仕組みは、アドレスの中の番号でアカウントを見分けています。最初にログインしたものが0番、次が1番という並びで、受信トレイのアドレスにもその番号が入ります。ここが実務上の要点です。番号を含んだアドレスをブックマークに登録しておくと、メニューを開いて選ぶ手順を飛ばして、目的のアカウントの受信トレイを直接開けます。
さらに、そのブックマークをブラウザのブックマークバーに並べ、仕事用と個人用で名前を分けておくと、切り替えが「選ぶ」から「押す」に変わります。確認の作業も減ります。押したブックマークがどちらのものかは、押す前から分かっているからです。
Googleのヘルプには、アカウント間で設定が共有されることは通常なく、言語設定やログイン手順をアカウントごとに変えられると書かれています。表示言語や署名を分けておけば、開いた瞬間にどちらなのかが見分けられるようになります。無料でできる工夫としては、ここが上限に近い場所です。
Gメール以外が増えた時点で、番号の仕組みは届かなくなる
この方法には範囲の限界があります。アドレスの番号でアカウントを見分けるのはGoogle側の仕組みなので、SlackやNotionのような他社のサービスには関係がありません。
Slackは組織ごとにワークスペースが分かれていて、同じブラウザで複数のワークスペースに入ること自体はできます。ただし切り替えの操作はSlackの作法で行うことになり、Googleの番号とは無関係です。Notionも同様で、仕事用と個人用でアカウントが別なら、ログインの状態はNotion側の事情で決まります。
つまり、行き来するサービスが増えるほど、切り替えの作法がサービスの数だけ増えていきます。Gメールはブックマークで直行できるのに、Slackは画面の中で探し、Notionはまた別の場所を押す。この不揃いが、切り替えを重く感じさせる二番目の原因です。
このあたりで検討に入るのが、ブラウザそのものを分ける方法と、サービスごとに窓を分ける方法の2つです。どちらもサービスを問わず効きますが、分離の単位が違います。
ブラウザのプロファイルで分けると、何が分かれるのか
Chromeのプロファイルは、Cookieだけでなく情報全体を分ける仕組みです。Chromeのヘルプでは次のように説明されています。
プロファイルを使用すると、Chrome 上の情報全体(ブックマーク、履歴、パスワードなど)を、プロファイルごとに分離できます。 出典: support.google.com
Googleのサービスに限らず、あらゆるサイトで効くのがこの方法の強みです。仕事用に入れた拡張機能が個人のタブで動くことはなく、個人の検索履歴が仕事の入力候補に混ざることもありません。プロファイルごとにテーマカラーを変えられるので、窓の色で見分けもつきます。
運用上の注意も書かれています。ヘルプには、その端末を使う人は設定されている他のどのプロファイルにも切り替えられるため、信頼できる相手とだけ端末を共有するようにという記載があります。プロファイルは整理のための境界であって、他人から守るための鍵ではありません。
導入したらすぐに変えておきたい設定が1つあります。プロファイルの管理画面にある「起動時に表示する」をオンにすると、ブラウザを開いたときにどのプロファイルで始めるかを先に聞いてくれます。これを切ったままだと既定のプロファイルが先に開き、その日の最初の操作が意図しない側で起きます。
Safariにも同じ仕組みがあり、Macでは追加の導入なしに使えます。Appleのサポートでは、仕事用や学校用と個人用の閲覧を分けるために、生活の場面ごとにプロファイルを作る機能として説明されています。設定のプロファイル欄から作り、名前とアイコンと色、お気に入りのフォルダ、使う拡張機能をそれぞれに割り当てます。切り替えはファイルメニューから、そのプロファイル用の新しいウィンドウを開く形になります。ここで1つ知っておきたいのが、パスワードの扱いです。Appleは、iCloudキーチェーンに保存したパスワードは作成したどのプロファイルからも利用できると記載しています。取引先の認証情報を個人用の閲覧から切り離したい場合は、この線が期待した位置まで引かれないことになります。
ただし、プロファイルを分けても切り替えの速さは変わりません。分かれるのは中身であって、行き先の見つけやすさではないからです。Chromeの窓が4つ開いていれば、目的の窓を探す作業は残ります。
窓ごとに分ける道具を、料金と制限で並べる
サービスごとに専用の窓を持たせる作りの道具もあります。無料で始められるものが多く、無料の範囲と有料の金額が製品ごとに違うので、そこを並べます。数字は各社の料金ページに記載されているものです。
| 無料でできる範囲 | 個人向け有料 | 組織向け | |
|---|---|---|---|
| Wavebox | グループ2つ、各グループにアプリ2つ、拡張機能1つ | 月8.33ドル(年払い) | 1人あたり月12.50ドル |
| Rambox | アプリ数は無制限、1アプリにつき2インスタンスまで | 月7.00ドル、年70.00ドル | 1人あたり月14ドル(5人から) |
| Ferdium | 制限の記載なし。コミュニティが作る無料のソフト | なし | なし |
出典はWaveboxの料金ページ、Ramboxの料金ページ、Ferdiumの公式サイトです。WaveboxとRamboxはどちらも、新規のアカウントが最初から有料版の試用で始まる作りになっています。Waveboxは7日間、Ramboxは30日間の試用のあと、無料版を続けるか有料版に移るかを選びます。
読み方の要点は、無料版の制限がどこに置かれているかです。Waveboxはアプリの数で区切り、Ramboxは同じアプリに何個のアカウントを入れられるかで区切っています。Gメールを2つ入れたいだけならRamboxの無料版で足りますが、3つ目の会社のアカウントが増えると足りなくなります。逆にWaveboxは、扱うサービスの種類が少なければ無料のままで回せます。
Ferdiumはコミュニティが開発している無料のソフトで、同じサービスを何度でも追加して複数のアカウントにログインできると公式サイトに書かれています。費用がかからない代わりに、サポートの窓口は有志のコミュニティになります。
切り替えを「アプリの切り替え」に変えると何が変わるか
ここまでの方法のうち、複数ログインとプロファイルは、境界をブラウザの中に引いています。macOSから見ると、それらはすべて1つのアプリに属する窓です。
この違いが出るのがキーボードでの切り替えです。macOSのコマンドキーとタブキーによる切り替えは、アプリを単位にしています。そのため、ブラウザの中にいくつ窓があっても、この操作で選べるのは「ブラウザ」という1つの行き先だけです。仕事用の受信トレイに直接行くことはできず、まずブラウザに移り、そこから目的の窓を探す2段構えになります。
サービスごとに窓を持たせる作りの道具は、ここを変えます。窓が独立しているため、切り替えがアプリの切り替えと同じ扱いになり、探す工程が1段減ります。アプリごとに独立したワークスペースという考え方は、分離のためというより、行き先を固定して探す時間を消すための作りです。
もう1つ変わるのが、外から来たリンクの扱いです。メールソフトやチャットから受け取ったリンクは、既定のブラウザに渡されます。そのリンクがどのプロファイルのものかという情報は付いていないため、既定のプロファイルで開いてログイン画面に止まる、ということが起きます。サービスごとに窓が決まっている作りであれば、そのサービスのリンクは対応する窓で開かせられます。
どこから作り直すかを決める
作り直す順番は、いま起きている失敗の種類で決まります。特徴の一覧を見比べて選ぶと、必要のない引っ越しまで抱え込むことになります。
Gメールだけが2つで、他のサービスは1つずつなら、複数ログインと番号付きブックマークで足ります。費用も導入もかかりません。行き来するサービスが複数社にまたがっているなら、プロファイルか、窓ごとに分ける道具のどちらかに移る段階です。取り違えを消したいならプロファイル、探す時間を消したいなら窓ごとの分離、という分かれ方になります。
窓ごとに分ける道具を検討する場合、見るべき場所は3つあります。1つ目は、自分が使っているサービスがそのまま登録できるかどうかで、登録できるサービスの一覧は使えるアプリにまとまっています。2つ目は、サービスの束ね方です。案件ごと、会社ごとに窓の組を切り替える使い方はワークスペースで説明されています。3つ目は費用で、無料の範囲と有料の条件は料金に記載されています。
既にWaveboxのような有料の製品を使っていて、月額の負担だけが引っかかっているのであれば、比較の軸は機能ではなく費用と対応OSになります。その並びはWaveboxとの比較に整理されています。無料で使い続けられる選択肢から比べたい場合はFerdiumとの比較、開発環境と行き来することが多い場合はターミナルの内容が判断材料になります。
判断の基準は、切り替えの回数を減らすことではありません。回数は仕事の形で決まるので、多くの場合は減らせません。減らせるのは、1回あたりの確認と探索です。そこが消えているかどうかを、導入してから1週間の実感で測るのが現実的な見方です。
よくある質問
Gメールのアカウントは何個まで同時にログインできますか?
Googleは複数ログインの上限を公表していません。実務上は2つか3つが扱いやすい範囲です。数が増えるほど、どのアカウントで操作しているのかをGoogle側が判断できない場面が増え、既定のアカウントの設定が適用されることがあります。4つ以上を日常的に使うなら、ブラウザのプロファイルで分けたほうが取り違えは減ります。
シークレットウィンドウを2つ目のアカウント用に使うのはどうですか?
毎日使うアカウントには向きません。シークレットウィンドウは閉じるとCookieが消えるため、開くたびにログインと2段階認証をやり直すことになります。また、開いているシークレットウィンドウ同士はセッションを共有するので、3つ目のアカウントを入れる用途にも使えません。一時的な確認には便利ですが、常用の置き場所にはなりません。
窓ごとに分ける道具は無料のままで使えますか?
製品によって無料の範囲が違います。Ramboxの無料版はアプリ数が無制限で1アプリにつき2インスタンスまで、Waveboxの無料版はグループ2つで各グループにアプリ2つまでという区切りです。Ferdiumはコミュニティが開発している無料のソフトです。Gメールを2つ入れるだけなら無料版で収まることが多く、会社をまたいでアカウントが増えると有料版の検討に入ります。
プロファイルを分けると拡張機能も入れ直しですか?
はい、プロファイルごとに入れ直す必要があります。Chromeのプロファイルはブックマーク、履歴、パスワードを含めて情報全体を分ける仕組みなので、拡張機能も分かれます。よく使う拡張機能が多いほど初期設定の手間は増えますが、仕事用の拡張機能が個人のタブで動かなくなるという利点と表裏です。導入時にまとめて入れておくのが手早い進め方です。