PCの複数アカウントでアプリを共有する方法|Windowsで全ユーザーに使わせる手順

1台のPCに複数のユーザーアカウントを作ったとき、アプリを全員で共有できるかどうかは、アプリの種類とインストールのしかたで決まります。Microsoft Storeから入れたアプリは、アカウントごとにインストールが必要です。Webサイトからダウンロードしたデスクトップアプリは、管理者アカウントで「すべてのユーザー」向けにインストールすれば、他のアカウントからも使える場合があります。一方で、インストールしたアカウントでしか使えない作りのアプリや、ライセンスで利用者を限っているアプリもあります。

この記事では、2026年10月18日時点のMicrosoftの公式ドキュメントとサポートページに書かれている内容をもとに、アカウントによってアプリが見えたり見えなかったりする理由、インストール先での見分け方、全員で使えるようにする手順、ファイルだけを共有する方法を順に説明します。最後に、仕事用と個人用のWebサービスを分けたいだけの場合は、PCのアカウントを増やさなくてもよいという話を扱います。

アカウントによってアプリが見えたり見えなかったりする理由

検索上位には、Microsoftのコミュニティに寄せられた質問が入っています。Windows 10のPCで、メーカーのサイトからダウンロードしたアプリを別のユーザーアカウントでも使いたいが、他のアカウントに表示されるものと、されないものがある、という相談です。これに対して、次のような回答が付いています。

アプリケーションによっては、管理者アカウントで全ユーザー共有でインストールすれば、同一のパソコン上にログイン可能な複数のアカウントで利用できるタイプのものもあります。逆にインストールを実行したアカウント以外では使用を禁止しているアプリケーションもあります。 出典: learn.microsoft.com

同じ質問への別の回答では、Microsoft Storeのアプリはアカウントごとにインストールが必要で、デスクトップアプリはそのアプリの作り方次第で、ユーザーごとのインストールが必要かどうかが変わると説明されています。

この「作り方次第」の中身は、Windowsのインストーラーの仕組みを見ると分かります。Microsoftの開発者向け資料ALLUSERS プロパティによると、Windows インストーラーには「ユーザーごとのインストール」と「マシンごとのインストール」の2つの形があり、どちらで入るかはインストーラー側の設定と、インストールする人の権限で決まります。設定がない場合はユーザーごとのインストールになり、資料でも推奨される既定はユーザーごととされています。つまり、何も考えずに入れたアプリは、入れた本人のアカウントにしか入っていないことが多い、ということです。

インストール先のフォルダーで見分ける方法

アプリが全員向けに入っているのか、自分だけに入っているのかは、インストール先のフォルダーで見分けられます。MicrosoftのKNOWNFOLDERIDの資料には、Windowsが標準で使うフォルダーの既定の場所が一覧になっています。そのうち、アプリの共有に関わるものを抜き出すと次のとおりです。

フォルダー 既定の場所 誰の分か
Program Files C:\Program Files PC全体(64ビットのアプリ)
Program Files (x86) C:\Program Files (x86) PC全体(64ビットのWindowsで動く32ビットのアプリ)
ユーザーのプログラム C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Programs そのユーザーだけ
スタートメニューのプログラム(共通) C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs PC全体
スタートメニューのプログラム(個人) C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs そのユーザーだけ
パブリック C:\Users\Public PC全体で共有するファイル

確かめ方は簡単です。スタートメニューの「すべてのアプリ」でアプリを右クリックし、「詳細」から「ファイルの場所を開く」を選ぶと、ショートカットのあるフォルダーが開きます。場所がProgramDataの下なら全員向け、AppData\Roamingの下なら自分だけ向けです。アプリ本体の場所を知りたい場合は、ショートカットのプロパティにある「リンク先」を見ます。Program Filesの下なら全員向けで、AppData\Local\Programsの下なら自分だけに入っています。

他のアカウントにアプリが表示されない場合、多くはこの「自分だけ」の側に入っています。アプリ本体もスタートメニューの項目もそのユーザーのフォルダーの中にあるため、他のユーザーからは見えません。

全員で使えるようにする手順

自分だけに入っているアプリを他のアカウントでも使えるようにするには、次の順で進めます。

  1. 提供元のサイトや利用規約で、1台のPCを複数人で使う場合のライセンスの扱いを確かめる
  2. 管理者のアカウントでサインインする
  3. 今入っているアプリを「設定」の「アプリ」からアンインストールする(設定を残すかどうかの確認が出るアプリもある)
  4. 提供元のサイトから、全ユーザー向けのインストーラーを入手する
  5. インストールの途中で、インストール先を選ぶ画面が出たら「すべてのユーザー」に当たる選択肢を選ぶ
  6. インストール先がC:\Program Filesの下になっていることを確かめる
  7. 別のアカウントでサインインし、スタートメニューにアプリが出ていることを確かめる

5番目の選択肢の名前は、アプリによって「すべてのユーザー」「このコンピューターを使うすべての人」などと違います。この選択肢がないインストーラーは、ユーザーごとのインストールしか想定していない可能性があり、その場合は提供元が別に配っている全ユーザー向けのインストーラーを探すか、使いたいアカウントごとに入れることになります。

注意したいのは、アプリ本体を全員で共有しても、アプリの設定やログイン情報はユーザーごとに分かれる点です。設定ファイルは多くの場合、各ユーザーのAppDataの下に作られます。共有したアプリを開くと、別のアカウントでは初回起動の画面からやり直しになるのはこのためで、故障ではありません。

Microsoft Storeのアプリは、前の節の回答のとおりアカウントごとに入れます。他のアカウントで使う場合は、そのアカウントでサインインしてから、ストアで同じアプリを入れてください。

ユーザーアカウントを追加する手順と、種類の選び方

これから家族や同僚のアカウントを作る場合は、MicrosoftのサポートページWindows でユーザー アカウントを管理するにある手順で追加します。Windows 11では次のとおりです。

  1. 「設定」アプリを開き、「アカウント」から「その他のユーザー」を選ぶ
  2. 「その他のユーザーの追加」の横にある「アカウントの追加」を選ぶ
  3. 追加する人がMicrosoftアカウントを持っていればメールアドレスを入れる。持っていなければ「新しいメール アドレスに登録する」を選ぶ
  4. Microsoftアカウントなしで作る場合は、「このユーザーのサインイン情報がありません」から「Microsoft アカウントを持っていないユーザーを追加する」を選ぶ

アカウントの種類は「管理者」と「標準ユーザー」の2つです。管理者はシステム全体を制御でき、ソフトウェアのインストールやすべてのファイルへのアクセスができます。Microsoftは、管理者が多いとマルウェアを入れられるなどの危険が増すため、管理者の数を絞り、日常の利用には標準ユーザーを使うよう勧めています。

アプリの共有という点では、この選び方が手順に直結します。全員向けのインストールはPC全体に書き込むため、管理者の権限が要ります。家族のアカウントを標準ユーザーにしておけば、全員向けのアプリは管理者がまとめて入れ、各自は使うだけ、という分担になります。種類はあとから「その他のユーザー」で対象のアカウントを選び、「アカウントの種類の変更」で変えられます。

アプリではなくファイルを共有したいとき

複数のアカウントで共有したいのがアプリ本体ではなく、書類や写真の場合は、パブリックフォルダーを使います。KNOWNFOLDERIDの資料によると、パブリックフォルダーの既定の場所はC:\Users\Publicで、その中に「パブリック ドキュメント」「パブリック ダウンロード」「パブリックのピクチャ」「パブリック ビデオ」などがあります。ここに保存したファイルは、そのPCのどのアカウントからも開けます。

逆に言えば、各ユーザーの「ドキュメント」や「デスクトップ」に保存したファイルは、そのユーザーのフォルダー(C:\Users\ユーザー名)の中にあり、標準ユーザーの他のアカウントからは見えません。共有したいものはパブリックへ、見せたくないものは自分のフォルダーへ、と保存先で分けるのが基本です。

なお、管理者はすべてのファイルにアクセスできると、前の節のMicrosoftの説明にあります。家族や同僚と1台を共有する場合、自分のフォルダーに保存したものでも、管理者の権限を持つ人からは見える前提で考えてください。見られては困るものがある場合は、自分以外を標準ユーザーにしておくことが前提になります。

Macでも考え方は同じです。Appleの「ユーザとグループ」設定を変更するによると、Macのアカウントには管理者、通常、共有のみの3種類があり、通常ユーザもアプリをインストールしたり独自の設定を変えたりできますが、他のユーザを追加したり他のユーザの設定を変えたりはできません。設定は「システム設定」の「ユーザとグループ」で変えます。

Webサービスのアカウントを分けたいだけなら、PCのアカウントは増やさない

「PCで複数アカウント」と検索する人の中には、1台のPCを家族と共有したい人だけでなく、1人で仕事用と個人用のGoogleアカウントやSlackを使い分けたい人も含まれています。後者の場合、Windowsのユーザーアカウントを増やすのは手段として重すぎます。アカウントを切り替えるたびにサインインし直しになり、開いていたアプリも切り替わるため、2つの仕事を同時に見ることができません。

分けたいのがWebサービスのログイン状態だけなら、ブラウザの機能で足ります。GoogleのChrome プロファイルのヘルプによると、右上のプロフィールアイコンから「Chrome プロファイルを追加」を選ぶと、ブックマーク、履歴、パスワードなどをプロファイルごとに分けて管理できます。ただし同じヘルプには、デバイスの利用者は他のどのプロファイルにも切り替えられるという注意があります。プロファイルは1人で使い分けるための仕組みで、他人から情報を守る仕組みではありません。他人と共有するPCなら、Windowsのアカウントを分けるほうを選んでください。

Gmail、Slack、Notionのように毎日いくつものWebサービスを使い、それぞれに複数のアカウントがある場合は、Webアプリを1つずつ独立した画面として並べるアプリ集約ブラウザという種類の道具もあります。サービスとアカウントの組み合わせごとにログイン状態を分けたまま、1つの画面の中で切り替えられる作りです。どのサービスに対応しているかは使えるアプリに、仕事用と個人用のように分ける単位はワークスペースに説明があり、費用は料金で確かめられます。同じ種類の道具は他にもあり、Waveboxとの比較やRamboxとの比較に違いが並べてあります。

どれを選ぶかの判断は、「分けたいのはPCの中のファイルか、Webサービスのログインか」で決まります。ファイルを分けたいならWindowsのアカウントを、ログインだけを分けたいならブラウザのプロファイルかアプリ集約ブラウザを選ぶ、という順で考えると、必要以上に重い手段を選ばずに済みます。

よくある質問

同じアプリを複数のアカウントでインストールすると、容量は2倍になりますか?

ユーザーごとのインストールの場合、アプリ本体が各ユーザーのフォルダー(AppData\Local\Programsなど)に別々に入るため、その分の容量を使います。管理者が全ユーザー向けにインストールすれば、本体はC:\Program Filesに1つだけ入り、各アカウントで共有されます。設定ファイルはユーザーごとに作られます。

Microsoft Storeのアプリを他のアカウントでも使うにはどうすればよいですか?

Microsoft Storeのアプリは、アカウントごとにインストールが必要です。使いたいアカウントでサインインし、そのアカウントでストアを開いてアプリを入手してください。購入したアプリを別のアカウントで使えるかどうかは、そのアプリのライセンスの条件によります。

標準ユーザーのアカウントでアプリをインストールできますか?

ユーザーごとにインストールする作りのアプリなら、標準ユーザーでも入れられるものがあります。その場合、アプリはそのユーザーだけに入ります。全ユーザー向けのインストールはPC全体に書き込むため、管理者の権限が必要で、途中で管理者の資格情報を求められます。

仕事用と個人用のGoogleアカウントを分けるために、Windowsのアカウントを分けるべきですか?

1人で使うPCなら、Windowsのアカウントを分ける必要はありません。Chromeのプロファイルを追加すれば、ブックマーク、履歴、パスワードなどを分けて管理できます。ただしプロファイルは同じPCの利用者なら誰でも切り替えられるため、他人と共有するPCではWindowsのアカウントを分けてください。

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